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俺は息をしながら廃病院の暗闇を駆け抜けた。
背後には香の気配が迫っている。
『どこ行く的な?』
その低い声が
まるで闇そのもののように追い掛けてくる。
俺は手探りで廊下の角を曲がり
崩れた診察室の扉へ飛び込んだ。
しかし__________
『逃げるの上手い的な。ヨンス』
静かな声が傍で響く。
俺は震える手で壁に手をつき息を殺した。
香の影が廊下の暗がりにゆっくり伸びてくる。
「なんで…なんでこんなに執着するんだぜ…」
俺の声は震えていた。
香は微笑む。
『俺にとってヨンスはただの存在じゃなくて
世界そのものだから的な』
その言葉は凍りつくほどの狂気を含んでいた。
俺は背後の窓を見た。
逃げるにはこれしかない。