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柱合会議を終えあまねが退出した後,悲鳴嶼行冥から”柱稽古”の提案があった。その後柱で改めて集まり最終論議をした。
禰豆子が太陽を克服して以来鬼の出没はピタリと止んだ為悪い提案では無いと柱の中で特に意見が別れる事はなく柱稽古をすることになったしのぶは隊員達に向けての手紙を書き、柱稽古について知らせた。
しかし、しのぶ自身 カナエの仇を取るための準備で忙しく到底柱稽古に参加できる状況では無かったため柱稽古への参加を見送った。
その夜。しのぶが蝶屋敷に帰り寝巻きに着替え髪の毛を降ろし寝る支度をしていると御館様の鎹鴉が来た。しのぶは何事かと思い鴉を中へ入れると 珠世という鬼との共同研究の提案を受けた。
「鬼舞辻無惨を倒す為… 貴方の仇討ち出来る確率を上げる為に協力して下さいませんか?」
そう告げる鴉の提案に対してしのぶは内心鬼に対していい気持ちを抱いている訳では無かったため 戸惑ったものの、無惨を倒す為、御館様のお望みであれば… と渋々その提案を承諾することにした。鴉によればその珠世という鬼は明日産屋敷邸に来るそうで、しのぶにそこに同行して欲しいとの事だった。しのぶは頷き、鴉が戻っていくと眠りについた。
カナエの温もりが無くなった事にすっかり慣れたとしのぶ自身は思っていたものの、やはり何処か寂しい気がした。しのぶは親を無くしてからはカナエの子守唄で眠るのが日課だった。その柔らかく優しいカナエの声色は今でもしのぶの耳に鮮やかに残っている。
____ その日しのぶは泣き寝入りした。
その次の日,しのぶは午前中、隊士の治療を行い午後のうちには産屋敷邸に出向く事にした。
「… カナヲ, 私は御館様から鬼との共同研究を命じられました 」
しのぶはカナヲを診察室に呼び出し向かい合い、そう延べた。
「御館様からのご命令なのですか…」
カナヲもしのぶのその言葉に驚いた表情を見せた。
「私が向こうの屋敷に出向いている間,蝶屋敷の事はアオイ達に任せます。カナヲはこの数日のうちに始まる柱稽古に専念をして下さい」
薬の共同制作には時間がかかる事が御館様曰く想定されていた。恐らく数日は珠世の屋敷に泊まる事になるだろう、その為屋敷の事や隊士の治療はアオイらに任せる事にした。
「かしこまりました。尽力致します」
カナヲはそれを聞き、頭を下げて診察室を出た
その一方で柱稽古第一の関門である隊士の基礎体力向上を任された元音柱・宇髄天元は刻一刻と稽古の準備を始めていた。
カナヲが診察室を後にするとしのぶはアオイらに事情を伝え産屋敷邸に向かった。
産屋敷邸に着くと布団に横になり、包帯でグルグル巻きにされた痛々しい姿の御館様の姿があった。その横には御内儀であるあまねも居た。しのぶは御館様の布団を挟む様にあまねと対面で正座をした。
「やぁ…しのぶ…。よく来たね…」
か細い不思議な産屋敷耀哉の声色がしのぶの耳を包む
「御館様…。体調は大丈夫ですか?」
しのぶは心配そうに布団に横になる耀哉の姿を見る。
「見ての通り…こんな姿になって…しまったけどね、大丈夫だよ。」
耀哉は優しく微笑みそう告げた。
「柱の子達は…柱稽古を企画しているようだね」
「はい。悲鳴嶼さんの提案で柱稽古を企画しました」
しのぶはその問いに頷き答える
「期待…しているよ。」
耀哉はそう告げ、次を続けた
「共同研究の事…、承諾をしてくれてありがとう。しのぶ」
「いえ…。にしても何故共同研究を?」
しのぶは耀哉にそう問いかけた
「…私の見解では、無惨は首を…切っても死なない…。だから行冥が首を取っても死ななければ太陽が昇るまでの持久戦と…なるだろう。その間、無惨を弱らせる薬…が必要なんだ。」
「だから私に珠世さんという鬼との共同研究を…?」
「嗚呼… だけどそれだけじゃないよ。」
耀哉は続けた
「しのぶの…使う毒では, 恐らく仇討ちは…難しいだろう…。しのぶに毒が…あると気付かれては元も子も無い… 珠世さんも薬や薬学に詳しいから…より仇討ち出来る確率をあげるための毒を…作ってくれるよ。 」
「それに…禰豆子の変貌についても 一緒に調べて欲しいんだ。」
そう。しのぶは自身が藤の花の毒を摂取している事を耀哉に相談していたのだ。輝哉はそんなしのぶの仇討ちの確率をあげる為にも共同研究を命じたのだ。しかし、しのぶ自身カナヲに毒の事を言い出せるタイミングはまだ掴めなかった。
しのぶはそんなしのぶの為をおもってくれている輝哉の頼みを断る気は起きなかった。
_____ その後はあまねがしのぶにお茶を用意し、珠世が来るまで時間を潰した