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その後、あっという間に日が沈み珠世が来る予定時刻になった。そろそろかとしのぶが思っていると1人の人影が産屋敷邸の正面に現れた。
珠世は上質な着物に身を包み、髪の毛は丁寧に結われていてとても気品がある女性だった。彼女は頭を下げ、屋敷に上がった。耀哉はしのぶを珠世に紹介すれば、珠世はしのぶを見て優しい笑を浮かべ
「よろしくお願いします。」
としのぶに向かって頭を下げた。しのぶは内心の 鬼である彼女への嫌悪感を押し殺し笑顔を作った。
しのぶと珠世の2人の顔合わせが終われば産屋敷邸を後にして、珠世は早速しのぶを共同研究のために自身の屋敷へと案内した。
足を踏み入れた珠世の屋敷はとても清潔でしのぶにとっての第一印象は”治療に適した屋敷”だった。ほのかに漂う薔薇の様な花の香りとそれに混ざる消毒液の香りが鼻腔を突く。
屋敷に入るや否やドタドタと慌ただしい足音と共に1人の少年が姿を表した。彼は珠世を見る否や
「珠世様ッ!!おかえりなさいませッ!!相変わらず今日もお美しいッ!」などと褒めちぎった
それに対し珠世が「愈史郎,静粛に」と口を開けばその少年… ”愈史郎” は はっと静かになった。珠世は愈史郎が落ち着いたのを見れば、しのぶに視線を移す
「愈史郎 。この方が 胡蝶さん です。しばらくの間はこの家に滞在し、研究に協力して下さいます。失礼のないように」
珠世はそう念押し、しのぶを彼に紹介した、しのぶはそれを聞き 愈史郎に向かって笑顔を作り頭を下げた。
それに対し愈史郎は鼻をふんと鳴らし、しのぶを見下し
「珠世様の足手まといになるなよッ。」
指さしそう告げた。珠世は申し訳なさそうにしのぶに向かって頭を下げれば、しのぶ用の寝室へと案内をした。
寝室はしのぶも驚く程に綺麗でふわりと花の様なよい香りが更にしのぶの鼻腔を擽った。 珠世はしのぶが荷物を置くと
「少ししたら、研究を始めましょう。夕食は此方で準備します それまでは荷解きをしてゆっくりして下さい」
珠世はそう告げ しのぶの部屋を後にした。 しのぶは軽く荷解きを済ませ、部屋の椅子に腰を掛けた。無事に到着したという内容の手紙を軽く書き、鎹鴉に渡しカナヲへと届けさせた。丁度鴉が飛び立つと同時に部屋の扉が叩かれた。扉の向こうで
「胡蝶さん 入っても宜しいでしょうか?」
という律儀な珠世の声が響いた。
「勿論ですッ!どうぞ」
しのぶは筆を置き、それに返答をすると珠世はドアを開けて部屋に足を踏み入れた
「荷解きは終わった様子ですね 」
珠世はしのぶの部屋を軽く見渡すと上記を述べこう続けた。
「研究室の方へご案内します。着いてきて頂けますか?」
「勿論です。」
しのぶは椅子から立ち上がり,頷いた。珠世がそれを見てくるりと方向を変え部屋を出ればしのぶはそれに続いて部屋を後にした。
着いた研究室は広々としていて、様々な医療関係の書籍や資料が並べられていた 珠世は研究室に入ると白衣を着て、顕微鏡や必要な道具を並べ始めた。しのぶには
「胡蝶さん は 動きやすい服装になって本棚に入っているこの書籍を準備願います。」
と告げ、書籍の名前が書かれた紙をしのぶに手渡した。しのぶは羽織と隊服の上を脱いでシャツ姿になると袖を捲り、早速本棚へと足を動かした。その間珠世は顕微鏡を調整していた。
しのぶは書籍を全て取り出すと机の上に置き,珠世が顕微鏡から顔をあげれば、珠世の指示に従いつつ二人で研究を進めていった。
”禰豆子を人間に戻し、無惨を弱体化させる” ことを目標に…