テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#元カレ
まぁ
12,388
世羅 鈴🎨🎤
305,052
#普通
野々さくら
206
芙月みひろ
442
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
カランコロン。
「いらっしゃい」
何度目かの鈴の音がして、他のお客さんが増えてきたのだと分かる。
時刻は五時二十分、ディナータイムに入った頃合いだ。
「あ、そろそろ帰ろうか?」
「そうだね」
会計に行くと、ママさんは麗華にはまた来るように散々言うくせに、私にはツーンとしていて、それを見ていた麗華はまた大笑いしていて、「羨ましいなぁ」とポツリと呟いていた。
私からしたら、美人で、気遣いが出来て、ノースリーブとハーフパンツをキレイに着こなして、話し方まで大人っぽい麗華の方が百万倍羨ましいけど。
麗華の人生を生きれたら、楽しくて仕方がないんだろうなぁ。
商店街のショーウィンドウに反射する麗華と私の姿から目を逸らし、そんなこと考えていた。
『じゃあ、次はいつにしよっか?』
この夏休みの間、週一ぐらいで会っていて、別れる時に必ず交わしていた会話。
今までは軽く会えたけど、これからは麗華だって新たな生活が始まり、友達だって出来て、しかもお小遣いとか貰わずバイト代で本を買ったり、交友費とか捻出しているしっかりした子で、私と会うどころじゃなくなるかもしれない。
そう思うと、次をどうしようかなんて言い出せなかった。
「じゃあ、またね」
いつもの十字路。麗華は左に、私は真っ直ぐに帰るため、ここで別れる。
ニコッと笑う麗華の顔には一切のかげりもなく、私の胸はキュッと締め付けられていく。
次の約束は?
そう言えない私は、下手な笑顔を浮かべて、「またね」と返す。
ホント、臆病な自分が嫌になる。
また時間があったらレンラクしてね、ぐらい軽く言えば良いのに。……友達なんだから。
「文っ!」
「へ?」
突然の声に振り返ると麗華は別れたところで立ったままでいて、ニッコリと手を振ってくれた。
「次会った時さぁー、私の話を聞いてもらっていいー?」
控えめで大人しい麗華が大きい声を出すのは初めてで、初めはビックリしちゃったけど、気付けば笑顔が溢れていた。
「うんっ!」
次はいつ会えるかは分からない。
一週間後? 二週間後? 一ヶ月以上先かもしれない。
だけど麗華が「次」を考えてくれていることが嬉しくて、明日からの学校生活、頑張れるような気がしたんだ。