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紗姫は、城址公園の地下にある潜窟に戻った。
櫻花と伊織が待っていた。
「坂口さんのノートをお借りしました」
座卓に置いたノートに、まず櫻花が目を通した。
「これは……。明らかに犯罪です」
伊織も、じっくりと読んで驚いた。
「こんな酷いことを……。国民をバカにしている」
伊崎信也は、公設秘書の給与を国から騙し取っていた。
公設秘書の給与は国庫から出る。
身分は『特別職国家公務員』だ。
だが、信也の[公設第二秘書]は勤務実態が無かった。
仕事をしないのに国から給与を貰う、これは詐欺だ。
坂口が『幽霊秘書』を疑ったのは半年前だ。
1年前、信也の[公設第二秘書]が自己都合で退職した。
坂口は[私設秘書]だが、この機会に[公設秘書]への登用を期待した。
以前から「公設秘書」を希望していたし、信也にも伝えていた。
ところが、新しい[公設第二秘書]は、知らない人だった。
「どんな人だろう?」と思ったが、地元の事務所に挨拶は無かった。
議員会館に連絡しても、まったく気配を感じない。
「本当にいるのか?」と疑い始めた。
地元の〈陳情〉に同行して上京したとき、それとなく探ってみた。
東京の事務所にも、議員会館にも、それらしい人は居ない。
『幽霊秘書』を確信した坂口は、証拠を集め始めた。
だが、いきなり告発しては、議員を裏切ることになる。
といって曖昧にできない。坂口は、はっきりと訊ねた。
「秘書給与を詐取していませんか?」
信也は「なんのことだ」と惚けたが、目は笑っていなかった。
この日から、信也は坂口の動向を注意した。
理由は『秘書給与の騙し取り』だけではない。
もう一つ、大きな秘密があったからだ。
その秘密は、珊瑚の調査で解かった。