「だって…佐藤が瑛太の傍にいろって…絶対に離れるなって…」
一体どういう事だ?
「それって僕に言っていいのか?」
「あっ!?」
千葉は口を開けたままポカーンとしていた。
「普通、駄目だろ! でも、何で葵さんの言う事に簡単に従ってるんだよ?」
「だって佐藤の占い、スゲー当たるんだぞ。この前の怪我だって言い当ててたし…‥」
「今度は何て言われたんだよ?」
「野良犬に腕と足を10箇所以上噛まれて入院するんだってさ」
「だからって、僕の傍にいるのと何か関係あるのかよ?」
「瑛太の傍にいれば犬に噛まれずに済むらしいんだ」
葵さんと話をしていた千葉の表情の意味がようやくわかった。
「僕には関係ない。それじゃあ、僕は帰るから付いて来るなよ」
そう言って、諦めるような奴ではないのはわかっていた。
思った通り、千葉は僕の数メートル後ろを、隠れながら付いて来ていた。
僕は気付かないフリをして、そのまま歩き続けた。
そして、とうとう自宅に到着した。
しかし、いつの間にか千葉の姿はなくなっていた。
いなくなるのは勝手だけど、一言ぐらい何か言ってからいなくなれよ。
部屋に入りベッドで横になっていると、メールが受信された。
《わかった。出来るだけ間に合うように行くからね》
仲村からだった。
でも…内容が全く理解できなかった。
それでも、メールの内容から何処かで待ち合わせをしているのは読み取れた。
とりあえず何の事かわからなかったので、仲村に電話をしてみる事にした。
プルルルル…プルルルル…‥
しばらく呼び出していたが、応答はなかった。
《何の事だよ? 待ち合わせをした覚えなんてないぞっ》
電話に出なかったのでメールを送った。
直ぐに返信が来た。
《メールを送信出来ませんでした》
何だこれ?
そして、もう一度同じメールを送信した。
《メールを送信出来ませんでした》
どうなってるんだ?
もしかして…‥
嫌な予感がした…‥
葵さんの言ってた日って…‥
だとしたら、直ぐに仲村を探さなきゃ。
でも、どこで待ち合わせをしたっていうんだ?
考えてもわかる訳がなかった。
だって僕が誘った訳じゃ…‥
はっ…‥
もしかして…‥
僕ではない僕になりすました誰かが誘ったんだ。
まさか…‥
僕はメールの送信履歴を確認した。
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