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夜は、
静かすぎた。
音も、
人も、
少ない時間。
こういうときほど、
言葉は
重くなる。
スマホが震える。
一度。
そして、
もう一度。
ジュン
……好き、かもしれない。
画面を、
しばらく見つめる。
既読は、
つけない。
「好き」
その言葉は、
告白じゃない。
逃げ道を、
塞ぐ音。
ベッドに腰を下ろす。
制服のまま。
着替える気も、
起きない。
キッチンの明かりだけ点ける。
買ってきた惣菜。
冷めたコロッケ。
サラダは、
明日のお弁当用の残り。
食べながら、
編集をする。
声は、
いつも通り。
「“好き”って言われて、
苦しくなるなら」
「それ、
もう恋じゃない」
「それは、
責任を渡されてるだけ」
動画を止める。
少しだけ、
間を空ける。
「“好き”はね」
一拍。
「嬉しい言葉じゃない」
「断れなくするための、
一番、綺麗な刃物」
保存。
投稿。
画面が切り替わる。
コメントが流れ出す。
《わかる…》
《これ刺さる》
《R、怖い》
《でも、ほんとそれ》
わたしは、
何も返さない。
共感は、
ここまで。
スマホが震える。
ジュン
Rにだけは、
本音言ってる。
既読は、
つけない。
特別。
その言葉が出た瞬間、
人は、
考えなくなる。
画面を伏せる。
——“好き”は、
優しい顔をした、
刃物だ。
そして。
切られていることに、
一番、遅く気づくのは、
いつも、
切られている側。
スマホが、
もう一度、震える。
ジュン
……俺、
Rがいないと、
ダメかもしれない。
画面いっぱいに、
その文字。
指が、
止まる。
そして。
わたしは、
ゆっくりと、
微笑んだ。
——それは、
恋じゃない。
——“完成”だ。
This isn’t love.
It’s just Love-Conditioning ♡