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嫌だ、ギデオンと離れたくない、そばにいたいとギデオンがいる方を見ると、今まさにギデオンが頭を押さえながら起き上がろうとしている。 リオは必死に声を上げた。
「ギデオン…っ、助けて…」
|掠《かす》れた、小さな声しか出ない。でも、ギデオンは気づいた。気づいてくれた。リオを見て、ふらふらと立ち上がり、鋭くデックを睨む。
「何をしている…リオを離せ!」
「嫌だね。リオは俺と行く」
「誰だ…おまえは?なぜ、おまえと行かなければならない?リオと俺は、共にいると約束した。絶対に連れて行かせない!」
「ギデオン…」
リオは嬉しかった。嬉しくて泣きそうだ。そうありたいと願っていたけど、約束はしていない。でも今、ギデオンは約束したと言った。ギデオンも、俺の傍にいたいと想ってくれているの?本当に?俺も傍にいたい。ずっとギデオンの傍にいたい。離れたくないよ。
リオは、力の入らない手でデックの背中を叩く。
「デック…離せよ」
「それ以上喋んな。大人しくしてろ。また血を吐くぞ。あれだけの魔法を使ったんだ。しばらくは休養しなきゃならない。それに応急手当しかしていないから治癒も必要だ。だから俺と共に来い!」
「デック…」
リオの懇願も|虚《むな》しく、デックがギデオンから離れていく。
リオは震える手をギデオンに向かって伸ばす。
ギデオンが足を前に出すけど、一度毒が体内に入ったために、力が入らない様子だ。一歩二歩と歩き三歩目でふらつき、前のめりに倒れた。
「ギデオンっ…」
ギデオンに助けてほしい。俺をデックから奪い返してほしい。でも無理もしてほしくない。まだ全身に力が入らないはずだ。それなのに無理に動いたら、全身の筋肉が痛む。雪に足を取られて斜面を転げ落ちてしまう。
だから…助けなくていい。体力が戻ったら、助けに来て。俺も体力が戻ったら、必ずギデオンの元へ戻るから。ギデオン、大好きだよ。
リオは、言葉にできない想いを胸に、再び身体を起こそうとするギデオンを見つめた。ギデオンもリオを見ている。でもリオの身体はデックに運ばれて、ギデオンからどんどん離れていく。ついにはギデオンの姿が見えなくなって、リオは震える息を吐きだした。垂らした指先に、濡れた感触がする。アンが慰めるように、飛び上がりながらリオの指を舐めている。
「アン…ありがと」
そう呟いた後、リオはついに力尽きて目を閉じた。