テラーノベル
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【第一話:煙草の匂いと、赤いカウントダウン】
黒羽快斗の記憶にある松田陣平は、いつも煙草の匂いと、機械のオイルの匂いがしていた。
それは快斗がまだ、マジックハットの高さにも満たない小学生の頃のことだ。
父親の興行について行った先で、快斗は偶然、テロリストが仕掛けた本物の爆弾の近くに迷い込んでしまった。
泣くことすら忘れて凍りつく快斗の前に現れたのが、黒いスーツにサングラスをかけた、およそ警察官には見えないガラの悪い男だった。
「おい、ボウズ。そこから動くんじゃねぇぞ」
男――松田陣平は、不敵な笑みを浮かべて快斗の前にしゃがみ込むと、迷いのない手つきで爆弾の解体を始めた。
ねじを外し、配線を手際よく捌いていくその指先は、快斗の知るどのマジシャンよりも速く、そして美しかった。
『あの、お兄さん……それ、マジック?』
『あ?……まあな。世界で一番スリリングな、命がけのマジックだ』
残り時間が数秒を刻んだその瞬間、松田の手によって爆弾の液晶は沈黙した。
安堵でへたり込む快斗の頭を、松田は大きな手で手荒に、けれど優しく撫てくれた。
『ほら、おうちへ帰りな。泥棒にでもなんなきゃ、また会うこともあるだろ』
それが、快斗にとっての「命の恩人」との出会いだった。
あの鮮やかな指先と、自分を救ってくれた広い背中。快斗にとって松田陣平という男は、心の奥底でずっと大切に、そして誇らしく思い続ける特別な存在となっていた。
――だからこそ、数年後。
中学2年生になった快斗は、偶然耳にした警察無線から流れてきた「ある情報」に、血の気が引くのを感じた。
「……杯戸ショッピングモールの、観覧車……!?」
標的の名前は、松田陣平。
あのとき自分を救ってくれた男が、今、再び爆弾魔の罠にかかろうとしている。
「待ってろよ、お巡りさん……! 今度は俺が、あんたを助ける番だ!」
まだ『怪盗キッド』の衣装も、ハンググライダーも持たない、ただの14歳の少年。
けれど快斗は、父親譲りのマジックの道具と、持ち前の天才的な機転だけを武器に、夜の街へと駆け出した。
【第一話:煙草の匂いと、赤いカウントダウン】
黒羽快斗の記憶にある松田陣平は、いつも煙草の匂いと、機械のオイルの匂いがしていた。
それは快斗がまだ、マジックハットの高さにも満たない小学生の頃のことだ。
父親の興行について行った先で、快斗は偶然、テロリストが仕掛けた本物の爆弾の近くに迷い込んでしまった。
泣くことすら忘れて凍りつく快斗の前に現れたのが、黒いスーツにサングラスをかけた、およそ警察官には見えないガラの悪い男だった。
「おい、ボウズ。そこから動くんじゃねぇぞ」
男――松田陣平は、不敵な笑みを浮かべて快斗の前にしゃがみ込むと、迷いのない手つきで爆弾の解体を始めた。
ねじを外し、配線を手際よく捌いていくその指先は、快斗の知るどのマジシャンよりも速く、そして美しかった。
『あの、お兄さん……それ、マジック?』
『あ?……まあな。世界で一番スリリングな、命がけのマジックだ』
残り時間が数秒を刻んだその瞬間、松田の手によって爆弾の液晶は沈黙した。
安堵でへたり込む快斗の頭を、松田は大きな手で手荒に、けれど優しく撫てくれた。
『ほら、おうちへ帰りな。泥棒にでもなんなきゃ、また会うこともあるだろ』
それが、快斗にとっての「命の恩人」との出会いだった。
あの鮮やかな指先と、自分を救ってくれた広い背中。快斗にとって松田陣平という男は、心の奥底でずっと大切に、そして誇らしく思い続ける特別な存在となっていた。
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――だからこそ、数年後。
中学2年生になった快斗は、偶然耳にした警察無線から流れてきた「ある情報」に、血の気が引くのを感じた。
「……杯戸ショッピングモールの、観覧車……!?」
標的の名前は、松田陣平。
あのとき自分を救ってくれた男が、今、再び爆弾魔の罠にかかろうとしている。
「待ってろよ、お巡りさん……! 今度は俺が、あんたを助ける番だ!」
まだ『怪盗キッド』の衣装も、ハンググライダーも持たない、ただの14歳の少年。
けれど快斗は、父親譲りのマジックの道具と、持ち前の天才的な機転だけを武器に、夜の街へと駆け出した。
コメント
3件
始まり方すごい…!✨️
千導渉さん、第1話読了しました〜!!😭💕 もうね、出会いのシーンからしてエモすぎる……!「世界で一番スリリングな、命がけのマジックだ」って台詞、松田さんマジかっこよすぎでは!? 煙草とオイルの匂いが記憶に刻まれてる描写にグッと来ました。そして中学生快斗が「今度は俺が助ける番だ!」って駆け出すラスト、アツすぎて鳥肌立ちました…!!まだ怪盗キッドじゃない生の快斗だからこそ響くものがある。続きが待ちきれないです🔥