「ゾム、俺に料理を教えてくれ!!」
こうなるには、長い長い経緯が存在する。
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ここ数日、ずっとカレンダーと睨めっこを繰り返している。俺にはちはだかるのは、デカデカと赤丸で囲まれた日付。
12月25日、すなわちクリスマスである。
去年、一昨年、そのまた昔…俺はクリスマスに繰り返してきた鬱に対しての失態を思い出し、ぐっと歯を噛む。
『シャオちゃん、デート行かん?』
『シャオちゃん、これあげるで』
『シャオちゃん、大好きやで』
『シャオちゃん、今日の夜、空いとる…?』
あかん勃ちそう。
話がズレた。
何を言いたいかなんて、明確や。ずっと鬱にリードされっぱなしやないか!
漢として恥ずかしくないんかシャオロン!彼女を満足させるのは彼氏の責務やぞ!
ということで、俺でもできるクリスマスにおすすめのトピックスを探している最中である。
グー◯ル先生にもお世話になっているが、なかなかいいものは見つからない。グ◯グル先生、まじめに働いとんの?
今宵何度目かもわからないため息を漏らし、ベットにダイブした。やっぱり俺に彼氏なんて重役向いてへんのかもしれん。
そうして適当にタップしたサイトの見出しに、俺は目を奪われた。
「これや!!!!!!」
なりふりかまわず、俺は叫んだ。
そして、冒頭に戻る。
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「でもお前、…無理やろ」
「ひどいねゾムさん!!」
汚物を見るような目で言ったゾムに、思わず反発する。そりゃあ、炎の料理人なんて言われてますけれども。鬱のためならなんだってしますよ!頑張りますよ!
「一応聞いとくけど、何を作りたいん?」
「ローストビーフ」
「はい解散」
「待って待って待って!」
去って行こうとするゾムの袖を掴み、必死で了承を乞う。俺にはお前しかおらんねん。
「米を洗剤で洗ったやつに料理を教えろと」
「それは忘れろ!もう学んだ!!」
お願いやで、頼むって、信頼できるゾム様、どうかこの坊主にご慈悲を…。
「いくらでも食害されてやるから!!」
そう言った途端、ゾムはゆっくり振り返った。それはそれは、悪い顔で。
「言ったな?」
もしかして、マズったかもしれない。
「よっしゃ、料理教えたるわ!」
こうして、地獄の料理教室は幕を開けた。
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掛け持ち連載です。アホですね。
ぜひよろしくお願いします。
コメント
5件
すごく尊いです...!
よろしければ続きを、、