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照が戻ってくるまで、あと三週間。
支社では歓迎会の準備が少しずつ始まっていた。
「岩本さん帰ってきたら忙しくなるな」
「また頼れる人が戻ってくる」
そんな会話が聞こえてくる。
────────
午後。
辰哉と目黒は得意先へ向かっていた。
商談も無事に終わり、帰り道。
🖤「深澤さん」
💜「ん?」
🖤「岩本さんって……」
辰哉は少し驚く。
💜「照?」
🖤「はい」
💜「どうしたの?」
🖤「皆さん、すごく仲いいって言うので」
辰哉は自然と笑った。
💜「長い付き合いだからね」
🖤「学生の頃からですか?」
💜「うん」
💜「高校の時から」
その笑顔は、目黒が今まで見た中で一番優しかった。
🖤「そうなんですね」
それ以上は聞けなかった。
────────
会社へ戻る。
エレベーターの前で辰哉のスマホが震えた。
画面が一瞬だけ目黒の視界に入る。
💛 照
名前だけが見えた。
辰哉は嬉しそうに画面を開く。
💜「もしもし?」
「うん、今終わった」
「あとで電話する?」
短いやり取りをして電話を切る。
目黒は何も言わなかった。
でも。
“照”
名前で呼ぶんだ。
先輩なのに。
その距離の近さに、胸がざわつく。
────────
夕方。
🧡「めめ」
康二が缶コーヒーを一本渡す。
🧡「ちょっと休憩しよ」
ベランダへ出る。
少し風が吹いていた。
目黒はぽつりと呟く。
🖤「康二くん」
🧡「ん?」
🖤「深澤さんって」
🖤「好きな人……いるのかな」
康二は一瞬だけ目を閉じる。
聞かれると思っていた。
🧡「……おるで」
目黒は静かに息を止める。
🖤「そう、ですよね」
🧡「うん」
それ以上は言わない。
言えなかった。
でも、その一言だけで十分だった。
目黒は苦笑する。
🖤「勝手に期待してただけか」
🧡「めめ……」
🖤「大丈夫です」
そう笑った顔は、少しだけ寂しそうだった。
────────
その夜。
照は仕事を終え、自宅へ戻る。
カレンダーを見る。
支社へ戻るまで あと20日
あと少し。
その時、辰哉からビデオ通話がかかってくる。
画面がつながるなり、辰哉が笑う。
💜「お疲れ!」
その笑顔を見た瞬間。
照は今日一日の疲れが全部抜けていく気がした。
💛「お疲れ」
💜「今日ね、目黒に照のこと聞かれた」
照の表情が少し止まる。
💛「……なんて?」
💜「高校からの友達だよって」
照は静かに笑った。
💛「それだけ?」
💜「うん」
辰哉は何も気付いていない。
照は画面越しにその笑顔を見つめながら思う。
(もうすぐだ)
(あと少しで、隠さなくてもいい距離に戻れる)
しかしその頃。
目黒は自宅で一枚の写真を見つめていた。
合同会議で撮った集合写真。
その中で、自然と隣に立つ照と辰哉。
二人だけが、どこか特別な空気をまとっているように見えた。
🖤「……もしかして」
小さな違和感が、確信へと変わり始めていた。
コメント
2件
めめ〜😭 なんかすんなり失恋した感じ、めっちゃ分かる…
第42話、読み終えました。照さんが戻るまでのカウントダウンが進む中で、目黒くんの切ない気持ちがひしひしと伝わってきました…。「照」って名前で呼ぶ距離感に気づいて胸をざわつかせる場面とか、康二くんに「好きな人いるのかな」って聞くシーンとか、一つひとつの描写が沁みます。最後の集合写真の違和感→確信への流れも、とても丁寧でドキドキしました。続きが気になります…!