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読み終わりました…っ🥀 身代わりの魔石を作るために、マリノアルが自分の魔力を流しながらクオールに魔石へ魔力を込めさせるシーン、すごく切なかったです。特に「報酬だと思え」って言うところ、あの日の口づけの意味を今になってくれる優しさと、それでも別れを選んだマリノアルの覚悟がひしひしと伝わってきて…。 最後の「さようなら」のメモ、静かに心に刺さりました。雨が上がって夕焼けに染まる部屋の描写も美しくて、余韻がずっと残ってます。
時間と共に激しく降る雨、夜には上がっていることを願いながら机に向かう。
机の上にはマリノアルの手の平サイズの小さな魔石。
倒した魔物の体内から取り出したこの魔石は魔法を駆使しながら形を綺麗に整えていく。赤黒く濁り澱みを纏っていたものは浄化魔法を使えばたちまち透明になり美しさが増す。
陽の光に翳せばキラキラと輝いて綺麗だろう。
「ふぅ…これくらいでいいか、あまりやり過ぎても形も悪くなって見栄えが悪くなる。あとはこの魔石の土台…もしくは装飾……」
自分が持つ装飾を参考にしてみるものの、そもそも普段から装飾品は身につけていないので何が良いのか全く分からない。
「……何かこの魔石が入る小さな袋にでも入れておけばいいか。肌身離さず持っておく必要もないからな」
軽いため息を1つ。マリノアルは彼を呼んだ。
「お呼びでしょうか、マリノアル様」
当たり前となった片膝を付き頭を垂れる騎士の在り様。
「…そこの椅子に座れ」
「はい、失礼します。」
マリノアルの部屋に椅子が2つ。1つは部屋の主、マリノアル自身に合わせた小さな椅子。
もう1つはこの部屋への入室、滞在を許された専属執事クオールに合わせた大きめの椅子。使う事は滅多にないがマリノアルの椅子では小さすぎて窮屈そうにしていたのを見かねてマリノアルが魔法で作ったものだ。
「手套を外して両手を出して」
「?はい」
言われた通り手套を外し両手をマリノアルの前に差し出す。マリノアルはその手の平の上に先程の加工した魔石を置いた。
「…!っこれは魔石っ…」
クオールは驚きを隠せず思わずマリノアルを凝視する。
「…両手でしっかり持ってその魔石にゆっくり魔力を流し込め」
クオールは言葉を飲み込みマリノアルの言う通り魔力を流し込むと両手に包まれた魔石から弱々しい光が漏れる。
クオールの表情は苦しそうに歪み、息が荒くなる。
「っ…ぐっ……」
マリノアルは小さな両手でその大きな手を包み己の魔力をクオールに流し込み始めた。
「っ…マリノアル様…」
「魔石に魔力を流し込む事に集中しろ」
クオールの魔力は普通の人よりも極端に少なく、例えば光の玉を1つ作り出しただけですぐに枯渇し命の危険が伴う。
マリノアルの魔力の譲渡を受けながらクオールは魔石に魔力を流し続けた。
弱々しかった光はやがて強く赤く変化していく。
そうしてしばらくすると光はゆっくりと消えていった。
マリノアルはクオールから手を離す。
「気分は」
「大丈夫です。魔力譲渡ありがとうございます、マリノアル様」
「ああ。…魔石を見せてみろ」
クオールはゆっくりと手を開く。魔石はクオールの髪と同じ真っ赤に染まっていた。
「真っ赤な色、成功したようだ。」
その声色はどこか満足そうで。
「あの、マリノアル様」
「何だ」
「私の魔力が少ない事はご存知のはずです。何故私の魔力を流す必要があったのでしょうか」
「お前を守る為の魔石だ。本人の魔力でなければ意味が無い」
「は、」
当たり前のように言われた言葉にクオールは理解が追いつかない。
「この魔石はいわば身代わり石だ。1度きりではあるがお前を危険から、例えば死んでしまうような命の危険からこの石が身代わりとなってお前を守ってくれる。お前の魔力で出来ているこの石は常にお前と繋がっているからずっと持っている必要はない。」
使用人としてこの家にいるなら早々危険はないだろうしただの御守りと思えばいい、とマリノアルは言う。
「…何故…そこまで…」
クオールは困惑しかない。相変わらず事務的なやり取りが主でマリノアルの気まぐれで口付けを交わしたあの日と同じ夕焼けで紅く染まる時間の間だけ部屋へ招かれ、会話らしい会話もないまま髪を梳かれる。そうして薄暗くなり始めればこの2人きりの静かな時間が終わりとなる。
マリノアルの真意を知りたいと思っても踏み込んでしまえば二度とマリノアルに会えなくなる、そんな思いがずっとまとわりついて離れなかった。
「…これまで仕えてくれた報酬だと思え。」
たった1度だけなのに。味方でいてくれたあの1度だけなのに。そう何度も自分に言い聞かせた。
あの時の自分は確かにこの男を愛した。想いを伝えることはなかったけれど、きっと自分たちは同じ想いを抱いていた。クオールの心からの想いに満たされて幸せを感じた、だから、ちゃんと終わらせる為にあの日口付けを受け入れたのだ。
今更すぎるけれど、意味はないかもしれないけれど、 あの時ボロボロになりがらも俺の為に頑張ってくれた感謝を込めて報酬を今、お前に。
「…っ…ありがとう…ございます…」
両手できつく強く魔石を握りしめるクオール。
マリノアルは優しく微笑んでどういたしましてとクオールの頭を撫でた。
強く降り続いていた雨はいつの間にか上がり、部屋を夕暮れが紅く染めていた。
10歳の誕生日を迎えた翌朝、机の上には1枚のメモ用紙。
ーさようならー
マリノアルの姿は無かった。
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植まどか
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#死に戻り
青空美空
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陽星☀️🎧☄️🩷
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