テラーノベル
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最近、向井康二は目黒蓮の“気配”に敏感になっていた。
隣に座るとき。
歩く速度。
声のトーン。
ほんの些細なこと全部が、やけに意識に引っかかる。
(前まで、こんなんじゃ……)
授業中、黒板を見つめながらも、視界の端にはいつも目黒がいた。
⸻
その日の帰り道。
校門を出たところで、クラスメイトに呼び止められた。
「向井、ちょっといい?」
「あ、ええよ」
振り返った瞬間、目黒の足が止まる。
「先行ってて」
そう言うと、目黒は一瞬だけ迷うような顔をした。
「……待つ」
「すぐ終わるって」
「待ちたいから 、待つ!」
短く、それだけ。
結局、少し離れた場所で目黒は立ち止まったまま待っていた。
(なんで待ってくれてんねん……)
用事を終えて戻ると、目黒は何も言わず並んで歩き出す。
「なあ蓮」
「ん」
「さっきの、待たんでよかったのに」
目黒は前を見たまま言った。
「向井を一人にしたくなかった」
その言葉に、康二の胸がきゅっと締まる。
「……過保護ちゃう?」
冗談っぽく言うと、目黒は一瞬だけこちらを見た。
「そうかも 笑」
否定しない。
それが、妙に嬉しくて、困る。
⸻
翌日、体育祭の準備が始まった。
「向井、目黒、これ運んで」
重たい備品を二人で運ぶことになる。
「持てる?」
「余裕やって」
そう言った直後、バランスを崩した。
「危なっ——」
目黒の腕が、すぐに康二の腰を支えた。
距離が、一気に近くなる。
「……大丈夫 ?」
低い声。
すぐそばの、真剣な表情。
「……だ、大丈夫」
離れたあとも、腰の感触が消えない。
(触れられただけで、こんなん……)
自分の反応に、康二は戸惑った。
⸻
準備が終わったあと、二人は体育館の裏で少し休んでいた。
「なあ蓮」
「ん?」
「俺さ……」
言いかけて、止まる。
何を言いたいのか、自分でも分からない。
目黒は、急かさない。
ただ、静かに待っている。
「……最近、変やねん」
「何が」
「蓮のこと、考える時間増えて」
目黒の指が、ぴくっと動いた。
「俺の事 、考えてくれてる ?」
「おん 、」
即答だった。
沈黙が落ちる。
風が、二人の間を通り抜ける。
目黒は、ゆっくり言った。
「向井は……誰かに、そんなふうに思ったことある?」
質問の意味が、胸に刺さる。
「……ない」
嘘じゃない。
「俺も、なかった」
その言葉に、顔を上げる。
目黒は、康二を真っ直ぐ見ていた。
「だから……どうしたらいいか、分からない」
珍しく、弱い声。
康二は、思わず言ってしまった。
「……一緒に、分からんままでええんちゃう?」
目黒の目が、少しだけ柔らぐ。
「向井は……本当に、優しいな」
「それ、蓮の台詞やろ」
小さく笑い合う。
でも、心臓はずっと、落ち着かない。
触れていないのに、
触れたいと思ってしまう距離。
康二は、はっきり自覚していた。
(俺、蓮のこと……)
まだ言葉にはできない。
けれど、もう逃げられない感情だった。
ごめんなさい🙏色々忙しくて更新遅くなります
リクエストもらったものは絶対に書くので!!気長に待ってくれると嬉しいです✨
コメント
2件
幸せ爆弾大爆発😌😌♡♡