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璃空
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#『彼』の行く末
鐘寺 実昼
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ピコロン⚡
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#恋愛
第三話 「選択」
(なんだこれ…、動けねえ…!)
天海空《あまみ そら》は、蛍光灯がついた薄暗い部屋で目を覚ました
いくら解こうとしても、キツく縛れた縄はびくともしない
同時に、気を失う前の記憶が浮かんできた
(…そうか、確かあの時、奥に誰か……)
思い出そうとした時だった
「…おや、起きたみたいだね」
「っ!?」
驚いて顔を上げると、いつの間にか目の前に女が立っていた
眼鏡をかけており、苺色の長髪で、膝まで届く白衣を着た女だった
「私特製の麻酔、だいぶ効いたね。まさか三時間も寝るなんて」
女は右手に小さい注射器の様な形の弾を見せた
(そうか、あれを撃たれて…)
女は近づいてくると、強引にローブのフードを剥いだ
「っ、」
そして、まじまじと俺の顔を眼鏡越しに見つめてきた
「ふ〜ん、まだ若いな…」
そう 言うと、一歩下がり、まるで不思議なものを見るようにこちらを見た
右手を頬に添え、ニタリと不吉な笑みを浮かべて口を開く
「君、銃弾を躱したらしいね。どう言う原理でそんな事が出来たのかな?」
その桜色の瞳が奥の深いところまで見透かすようだ
だが、油断出来ない
今、拘束されているこの状況で何ができるか、どうすれば脱出できるか、頭をフル回転させる
「…別に、アンタに言う必要は無い」
鼓動が早くなるのが分かる
もしも、予想通りだとしたらこの場所は、この街の中で一番とも言えるほど危険な場所だ
「…ふ〜ん、それじゃあ、もう一つ質問」
そして、予想は時に現実となる
女は突然声のトーンを低くし、威嚇するように瞳を鋭くし、問いかける
「なんで君達は『Night Lily』のアジトに侵入したのかな?」
どくんと、心臓が跳ねる
額に汗が滲む
やはり、ここは「Night Lily」のアジトだった
「っ……」
言うべきか
言えば殺されるのか?
先ほどの一言で頭が真っ白になったまま、なかなか回転が出来ずに困惑する
(…どうする…。本当の目的、…言うべきなのか…?)
しばらく何も言えずに慌てていると、突然女は手を上げてその手に持っているものを見せた
「…!それはっ!!」
それは、姉から貰った大切なピアスだった
「…はいこれ!」
「…?」
姉に渡された紙袋の中には、小さなケースが入っていた
中は見えず、知らない店の金色のマークだけが描いてあるシンプルな紺色のケースだ
「空、お誕生日おめでとう!」
「…!」
その時、今日が自分の誕生日だと思い出した
姉はこっそりと地道に貯めたお金でなんとか奮発して買ってくれたようだ
ケースを取り出し、開けると中に入っていたのは_
「…これ、ピアス…?」
中には、青い結晶の付いたピアスが入っていた
まるで祝うかのようにその姿を輝かしている
「…どうかな…?」
少し心配するように姉は尋ねる
「かっこいいよ。姉貴、本当にありがとう」
姉は、嬉しそうに微笑んだ
「…返せ…」
倒れた時に、外れてしまったのだろう
なんとか奪い返したいものの、縄は解けない
「大事なものっぽいから取っておいたけど…、やっぱりアタリだったみたいだね」
女は意地悪く嘲笑う
「それじゃあ、もう一回聞くよ。ここに侵入した目的は?」
これ以上、大切な物を奪わないでくれ
観念した俺はしぶしぶ答えた
「…私情だ…」
記憶を辿り寄せて口を開く
「…アンタらなら、奴らの情報を少しでも手に入ってると思ったからだ」
「奴ら…?」
女は首を傾げ、顎に手を当てる
そして俺は、やっとの思いで掴んだ奴らの名を言おうとした
だが、言う直前、胸、否、もっともっと深い場所でドス黒い何かが疼いた
俺はそれを抑えて、口を開く
「…〈Inferno〉。知ってるだろ?」
「ッ!?」
その名が部屋に響いた途端、 女は目を見開き、息を呑んだ
まるで、何故その名を知っているんだ。と言わんばかりだ
そして、握られた拳が震えたのを俺は見逃さなかった
「知ってるのなら、少しでも奴らの情報を教えて欲しいんだ!」
「随分と面白い奴だな」
ふと、背後から声がした
だが、声的にあの時、自分に発砲した男とは同じ人間では無いと直感で気付いた
「あ、亜蓙冴…」
コツコツと足音を立てて視界に来た男は、あやめ色の少し伸びた髪を束ねた若草色の瞳を持つ男だった
「お前、なんで奴らを追っている?」
男は銃を片手に問いかける
まるで、品定めをするかのようにぎろりとこちらを見下ろす
「…どうしても、知りたいんだ…。…なんで、…なんで姉貴を殺したのか」
声が震えるのが分かる
自分でも、考えた
この二年間、仕事をしても、誰かといても、その疑問は絶えることなく、俺の中にはいつも黒い霧が立ち込めていた
「…!」
女はまたもや目を丸くした
きっとこの女は、奴らについて詳しいところまで知っているのだろう
だが、男はもういいと言わんばかりに、俺の額に銃口を押し付けた
「っ!」
冷たく冷え切った鉄
この距離では、避けることも、何もすることが出来ない
額に冷や汗が伝う
結局、俺は無力だ
「…最後に、答えろ。答え次第で、引き金を引く」
男の握る手元からかちゃりと音がした
だが、男の背後にいた女は少し焦るように男の視界に映る
「す、少し考えたらどう?まだ聞いていないこともあるし、それに………。」
女は一拍ためると、しっかり男と目を合わせて言う
「ボスの判断を、私は聞きたい」
ぴくりと、男の眉が動いた
だが、呆れたように息をするが、俺から銃口を離さない
「はぁ、だから聞くんだろ?おいお前、一つだけ答えろ」
男はこれまで以上に目を鋭くする
「話を聞いたら〈inferno〉について知っているようだったな」
「嗚呼、そうだ」
喉の奥が引き攣る
今まで縄を解こうと必死に動かしていた手も、今は緊張で硬直してしまっている
「…なら、選べ。このまま俺に撃ち殺されるか、うちに入るか。どっちを選ぶ?もちろん、入るならそれなりの条件があるが」
「………は?」
思考が止まった
入る?俺が?
『Night Lily』に!?
コメント
3件
うわあああ第三話、めっちゃ緊迫感ある展開だった!!😭💦 天海くん、まさか捕まっちゃうとは…!しかもあのピアス、お姉さんからの大事なプレゼントだったんだね…思い出シーンでじーんときたよ🥺💕 女研究員の不気味な感じと、後から現れた亜蓙冴って人の圧がすごくて、ページめくる手が止まらなかった! 最後の「♡♡♡れるか、入るか」って選択、めっちゃ気になる〜!!次回どうなるの!?早く読みたいよおおお🔥✨