第2章「仄暗い願い」その17
「――権堂くん!」
練習が終わり、着替えを済ませ、多目的棟を出てしばらくした頃。
後ろから、修介を呼ぶ声が飛んできた。
「綾咲さん?」
振り返ると、かなり息が上がった姫乃の姿が目に入る。
「どうしたの? そんなに慌てて」
「……」
息を整えているのか、姫乃は修介の問いにすぐには答えなかった。
だがなんとなく――それだけが理由の沈黙では、なかったように修介は感じた。
「権堂くん」
「な、なに」
「……わたしも、聞き込みいく」
「え」
反射で出た声は驚いていたが、心情的には意外とそうでもなかった。
練習直後の様子と、急いで追いかけてきた様子が、彼女の言葉を予想させたのだろう。
「でも、これから練習の最終調整だし、だから俺が抜けることにしたのに」
「……だって……安藤くん、一緒に練習してた人たちにまであんなこと言われて……」
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