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### 第十二章:三日目の夜、狂犬の咆哮と、双子の証明
三日目の渓谷での戦いは、まさに異次元だった。
夜明けに絆を結び直した蹴介と翅の二人は、前衛で凄まじい双子シナジーを発揮した。
マッハを超える翅の『神速体術・絶対領域唯我独尊』の軌跡を追うように、蹴介の『大神流・三連獣牙烈脚』の重い蹴撃が空間を縦横無尽に飛び回る。
不殺の鉄則のもと、大翔の索敵、怜のハッキング、瑠偉と倫太郎の完全凍結、溯と秀兎の空間断裂が次々と炸裂し、襲いかかる特級魔獣の群れを傷一つつけずに完全制圧していった。
――そして、三日目の夜。
渓谷のさらに奥、険しい岩肌に囲まれた新たな野営地の洞窟。
昼間の大激戦を終え、疲れ果てた十四人は、賢太の硬化結界の中でそれぞれ眠りについていた。
静寂が洞窟を満たす午前2時、突如として蹴介の脳裏に、昼間の戦闘時に感じた異常なまでの魔力の同調感が、濁流のようなノイズとなって押し寄せてきた。
『――兄ちゃん! 待ってよ、兄ちゃん!』
激しい頭痛とともに、蹴介はガバッと布団から起き上がった。
抑え込んでいた、生き別れた弟の本当の記憶や思い出が、頭の奥底からドクドクと蘇り始めていく。
『兄ちゃん、これ食べたら治るよ』と笑っていたあいつの顔。
And昨日の夜、翅が涙を流しながら語っていた「バカで、うるさくて、肉体派の脳筋」という不器用な常識人の兄の性格。
「……あ。あ、ああ……ッ!!」
パズルのピースが、あまりにも残酷に、完全に噛み合ってしまった。
昨夜、目の前で大泣きしながら自分の思い出を語っていたあの「綿部翅」の正体。
蹴介は震える膝を必死に動かし、静かに眠っている翅の元へと、幾ずるようにして近づいた。
「……う、嘘だろ……。お前……お前、ずっと、俺の、目の前に、いたのかよ……ッ!!」
あいつが飛影家に引き取られ、呪縛から俺を守るために、自分が実の弟であることを必死に隠して黙っていたのだと、狂犬の直感がすべてを理解した。
「あ……あぁ……うわああああああんっ!!」
蹴介は、茶色の萌え袖を抱きしめるようにして、翅の枕元で声を上げて泣き崩れた。
大部屋の静寂を切り裂く、胴哭の咆哮。
その激しい泣き声に、翅がハッと目を覚まし、茶色の犬耳フードの下から目を見開いた。
「……蹴、介……? どうしたんだよ、いきなり大声出して……」
翅が慌てて起き上がり、超ロングな萌え袖を伸ばして蹴介の肩を掴もうとした。
だが、蹴介は翅の手を強く握り返し、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、その本当の名前を叫んだ。
「名前は……!! お前の、本当の名前は……翅(つばさ)……だろおおおおうっ!!! お前が、俺の、生き別れの、実の弟の、翅なんだろおおおっ!!!」
「な……ッ!?」
翅の身体が、硬直したように凍りついた。瞳から、大粒の涙がドッと溢れ出す。
「思い出したんだよ……! なんで気づかなかったんだ、俺はバカだ、大バカ野郎だ……ッ! 翅、翅ぇ!! 会いたかった、会いたかったよおおおっ!!」
蹴介は翅の細い身体を、灰色の萌え袖ごと壊れるくらいに強く抱きしめて泣き続けた。
全てがバレてしまった。でも、もう隠す必要なんてなかった。
翅もまた、実の兄の温かい胸の中で、茶色の萌え袖で蹴介の背中を強く、強く抱き返した。
「……にいちゃん……っ! にいちゃん、にいちゃんあぁあああっ!!」
その二人の胴哭に、遼太や渉、要、瑠偉、怜たち他の十二人も次々と目を覚ました。
「ガはは……。よかったな、蹴介、翅」
要が赤のフードの下で、涙を拭いながら静かに微笑んだ。
「……ふん。ますますこのクラス、泣き虫ばかりで機能性を損なっていてイライラするな」
遼太が水色の萌え袖で目元を隠しながら、隣の渉と顔を見合わせて優しく口元を緩める。
### 第十三章:共鳴する天体と、因果の揺らぎ
夜が明けた旅の四日目。渓谷の朝霧のなかを歩く十四人の空気は、絶対的な信頼感で満ち満ちていた。
「よかったねえ、蹴介、翅。これでまた一つ、隠し事がなくなっちゃった」
秀兎がいつもの満面の笑みで二人の背中を叩く。
「うるせぇ秀兎!」と叫ぶ蹴介の隣で、翅は嬉しそうに茶色の萌え袖で口元を隠していた。
京太郎@ドラマ部門1位獲得
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麗太
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そんな賑やかな前衛の様子を、少し離れた後方から、静かに見つめている少年がいた。遼太だ。
(生き別れの、兄弟……か)
遼太は水色の萌え袖の先をぎゅっと握りしめ、冷徹な瞳の奥に、言葉にできない歪んだ寂しさを宿していた。
『――待ってよ、遼太。置いてかないで』
戸籍からも綺麗に抹消されてしまった、血の繋がった「もう一人の兄弟」のぼんやりとした記憶。
名前は思い出せない。だが、その子が放っていた魔力の温度だけは、遼太の魂が今でもずっと覚え続けていた。
「……はぁ。ますますこの旅、センチメンタルな空気が漂っていて機能性を損なうな。イライラする」
遼太がわざと冷淡にため息をつくと、すぐ隣を歩いていたピンクの萌え袖の少年――渉が、ぴくりと肩を震わせた。
(……生き別れの、兄弟)
渉はピンクの超ロング萌え袖の先を口元に当て、眼鏡の奥の瞳を大きく彷徨わせていた。
『――大丈夫だよ、僕が絶対に最高の逃げ道を逆演算してあげるから』
世界の因果から消されてしまった、瓜二つだったはずの兄弟の記憶。
顔もぼんやりとしていて思い出せない。けれど、あの日引き裂かれた時に感じた、空間が捻じ切れるような圧倒的な局所重力の残滓だけが、消えない傷跡として深く刻まれていた。
そう、お分かりだろう。
この如縣 遼太と、千導 渉の二人もまた、歴史の闇によって引き裂かれた、実の「生き別れの兄弟」だったのだ。
けれど二人はまだ、その真実のパズルが目の前で完全に噛み合っていることには気づいていない。
「……何、渉。僕の顔に何かついてる?」
「な、何でもないよ、遼太! 君のそのクソ真面目な顔を見てたら、僕の優秀な頭脳の計算式が、ちょっとブレちゃっただけさ!」
渉は慌ててピンクの萌え袖をパタパタと回し、生意気な口調で誤魔化した。
### 第十四章:五日目の夜、重なる天体と因果の旋律
五日目、文字通り世界を滅ぼしかねない【怪物SSSランク】の超巨大魔獣が姿を現した。
しかし、本名を明かし、血の繋がりまで完全覚醒させた十四人の敵ではなかった。
大翔のスキャンと怜のハッキングで敵の全行動を100%逆演算し、要、圭介、賢太が前衛で攻撃を完全に無力化。
瑠偉と倫太郎の絶対零度で大気を物理凍結させ、溯と秀兎の空間断裂が退路を完全に断つ。
仕上げは、蹴介と翅の神速三連烈脚と、遼太と渉の融合魔術。
怪物SSSランクは傷一つつけられることなく、一瞬で完全制圧された。
――コンテンツを全て完遂した五日目の夜。
十四人はすべての旅程を終え、初日に泊まったあの宿場町の大部屋へと戻ってきていた。
部屋の中はいつも通りの賑やかな空気に包まれていたが、どこか特別に温かい静寂が満ちていた。
畳の上で、遼太は灰色の萌え袖を捲り上げてお茶を飲んでいる蹴介の隣へと、静かに腰掛けた。
「……なぁ、蹴介。お前が昨日の夜、翅と再会したのを見てさ、僕も少しだけ、昔のことを思い出したんだ。名前は、どうしても思い出せない。……でもさ、そいつは本当に、僕と違って生意気で、プライドが高くて、口を開けば『僕の優秀な頭脳が~』って、いっつも自分の知性を自慢してくるような、本当に可愛い奴だったんだよ」
遼太は冷徹な優等生の仮面を少しだけ緩め、愛おしそうにクスクスと笑った。
「……え?」
蹴介がお茶を飲む手をぴたりと止めた。その性格の描写が、大部屋の向こうでポテチを食べている『千導 渉』とあまりにも完璧に一致していたからだ。
「そいつさ、ちっちゃい頃……あいつが隣にいてくれたあの時間が、僕の人生で一番、優しくて温かい記憶だったんだと思う」
遼太の目から、静かに一粒の涙が溢れ、水色の萌え袖に吸い込まれていく。
同じ頃、部屋の反対側のソファーの隅では、渉が茶色の犬耳フードを被った翅の隣に座り、同じように優しい思い出を語り尽くしていた。
「ねえ、翅。聞いてよ。そいつはさ、僕と瓜二つの顔をしてるくせに、やることなすこと全部理屈ばかりで、頭が固い頭脳派の優等生なんだよ。僕がからかうと、いつも『脳面を叩き潰すぞ』って怒るんだけど、僕が寂しくて泣きそうになると、何も言わずにその水色の綺麗な服の袖で、僕の涙をそっと拭いてくれるような、世界で一番優しい奴だったんだ」
渉の眼鏡の奥から、ボタボタと大粒の涙が溢れ出し、ピンクの萌え袖を濡らしていく。
「……あ、あれ……? これって……?」
渉の隣で話を聞いていた翅、そして遼太の隣で話を聞いていた蹴介の二人が、大部屋の両端で同時にハッ……と目を見開いた。
(遼太が探してる生意気な奴って、絶対に渉だろ!?)
(渉が会いたがってるクソ真面目な優等生って、絶対に遼太じゃねぇか!?)
今すぐ立ち上がってバラしたい衝動が二人を襲う。
しかし、蹴介と翅はグッと拳を握り締め、お互いに視線を交わし合うと、遼太と渉の二人には、今はまだ何も言わずに「黙っておく」ことを決めた。
如縣と千導という最高峰の名門の呪縛が裏でどう動いているか分からない。ここで下手にバラせば、明日学院に帰る二人の身にどんな歴史の闇が牙を剥くか分からないと、双子の直感が静かに察したからだ。
「……へぇー。変わった奴だな、遼太。でも、そいつが今どこにいようが、お前のその優しい想いは、絶対にそいつに届いてるよ」
蹴介は不器用に応じ、灰色の萌え袖で遼太の肩をぽんと叩いた。
「うん。……ありがとう、渉。そのもう一人の兄弟も、きっとどこかで、渉のそのピンクの萌え袖を見て、可愛いって思ってくれてるよ」
翅も茶色の萌え袖で渉の涙をそっと拭い、静かに微笑んだ。
本当の血の繋がり、そして目の前の相棒こそがずっと探していた兄弟であることには、まだ気づいていない遼太と渉。
すべてを察しながらも、二人の平穏と未来を守るために、優しい嘘を抱えて黙り続ける蹴介と翅。
十四人の絆は、まだ見ぬ次なる真実の夜へ向かって、より一層深く、静かに紡がれていくのだった。
### 第十五章:秘密の地下寄宿室、十四人の新たな始まり
五日間の討伐旅を完璧な完全不殺で完遂した翌日。
第一班の十四人は、教官たちの驚愕の眼差しを浴びながら、何事もなかったかのように「私立 烏鷺ノ宮魔導寄宿学院」の巨大な正門をくぐり抜けた。
表向きは、それぞれの寮へと一度戻り、いつもの普通の生徒のフリをして平穏な学園生活に溶け込んだ彼ら。
けれど、放課後の鐘が鳴り響いた瞬間、彼らの足は自然と、4つの寮の垣根を越えて密かに集まる「秘密の地下寄宿室」へと向いていた。
バタン、と重い防音の扉が閉まった瞬間、十四人のいつもの賑やかな大騒ぎが地下室に爆発した。
「あー、マジで疲れた! 学院に戻ってきた途端、またこの機能性ゼロの限定制服パーカーを着なきゃいけないの、本当にイライラするんだけど!」
水色の萌え袖をぶんぶんと振り回しながら、遼太がソファーに深く腰掛けた。
「放課後のレポートは、僕の優秀な頭脳が完璧に普通の生徒っぽく改ざんして提出しておいたからさ。はい、お疲れ様のポテチ」
渉が、ピンクの萌え袖をパタパタさせながらポテチの袋を開けて遼太に差し出した。
二人はお互いが生き別れの兄弟であるという決定的な真実にはまだ気づいていない。けれど、そんなことは関係ないとばかりに、誰よりもベタベタと仲良く同じソファーに並んで座っている。
その様子を、部屋の隅のカウンター席からじっと見つめている二人の少年がいた。実の双子――蹴介と翅だ。
「……おい、翅。あいつら、今日も相変わらずベタベタ仲良くポテチ食ってるけどさ。……やっぱり、どう見ても『本物の兄弟』だよな」
「あぁ、蹴介。でも如縣と千導は名門だ。下手に今バラしたら、上級生や生徒会に二人の魔力共鳴を危険視されて、不殺の鉄則すら破られかねない」
「そうだな。あいつらの平穏な学園生活を守るためにも……あの二人が自分で答えに気づくまで、俺たちは全力でトボケ通そうぜ、翅!」
「うん。頼んだよ、兄さん」
翅が小さく微笑み、二人は萌え袖越しにこっそりと固いグータッチを交わした。裏でこっそり二人の守護計画を練る双子の絆は、最高に熱かった。
「おい蹴介! 翅! お前ら何コソコソ話してんだよ! ほら、大翔の索敵によると、売店のポテチの新作がもうすぐ売り切れるぞ!」
赤のフードを跳ね上げ、要が豪快に笑いながら二人の背中を叩いた。要の周りには自然とみんなが集まっていく。
「要、叩くな。筋肉の振動で数式がブレる」
黒の猫耳フードを直しながら、怜が冷淡に眼鏡のブリッジをくい、と上げる。
「でも、電算上、今回の討伐旅で僕たち十四人の連携力は無限大に跳ね上がっている。上級生たちがどんな罠を仕掛けてこようが、僕たちのハッキングと防壁数式を破ることは不可能だ」
「うん、怜の言う通りだね。みんな、本当によく頑張ったよ」
白の犬耳を揺らし、泰輝がクラスの常識人としてみんなに冷たい飲み物を配る。
「ふん、馴れ合うつもりはねぇが……まぁ、このチームなら、悪くはねぇよ。……おい圭介、俺のコンソメ味を勝手に食うな」
瑠偉がぶっきらぼうに毒づくと、緑のフードの圭介が「いいじゃねぇか、瑠偉! 固いこと言うなら今からここでガチバトルしようぜ!」と魔拳を爆縮させて獰猛に笑った。
そのすぐ隣では、ライトブルーのフードを跳ね上げた倫太郎が、「兄さんに手を出すなら、俺がこの部屋ごと物理的に完全凍結させてやる」と、男らしくハキハキとした口調で圭介を睨みつけている。
「あはは! 倫太郎くん元気があっていいねえ! じゃあ、ボクは空間を細切れにしちゃおうかなー」
黄色のフードの溯がのんびりと言い放つ。
「ダメだよ溯、烏鷺ノ宮のルールは『人殺し厳禁』。死ななきゃ何してもいいけど、部屋を壊したら要くんに怒られちゃうからねえ。あはは!」
黄緑の猫耳フードを揺らし、満面の笑みのまま物嘘なことを言う秀兎の隣で、賢太が「部屋が壊れる前に、俺の鉄壁闘気で補強しておくぞ」と真面目に身構えていた。
その様子を、大翔が「消灯時間まであと2時間。それまでは、この平穏な放課後を楽しもう」と静かに見守っている。
最初はみんな一人ぼっちで、孤独と未知の環境への不安に震えていた。
けれど、下の名前の呼び捨てで呼び合える特別な相棒と仲間を見つけた。
本名を明かし、重い過去の因縁を共有し、本当の血の繋がりや失われた家族の記憶までをも取り戻した十四人。
まだ見ぬ次なる真実や学園の歴史の闇が牙を剥こうとも、この機能性ゼロの限定制服パーカーを身にまとった化け物たちの第一班には、一切の隙も問題もない。
「よーしお前ら! 旅の打ち上げだ! 残ったポテチは全員で山分けだぞォ!!」
要の豪快な号令とともに、地下寄宿室には、遠慮のない対等なタメ口と、どこまでも青く、愛おしい十四人の笑顔が弾けた。
不殺の鉄則を抱きしめながら、最強の同級生たちの、眩しすぎる本当の学園生活は、ここから新しく始まっていくのだった。
(第一部・完)
コメント
3件
トウトイ!
えっ双子可愛い尊い
わあ……読み終えて、胸がぎゅっとなりました。 蹴介が翅の枕元で咆哮のように泣き崩れる場面、あまりに切なくて何度も読み返しました。ずっと名前を隠して弟を守り続けた翅の強さと、思い出した瞬間の蹴介の慟哭が、萌え袖越しにまで伝わってくるようでした。 そして遼太と渉にも同じ血の絆が……まだ知らない二人の横で、すべてを察して黙っている双子の選択がまた尊くて。 不殺の鉄則も全編通してブレず、十四人の信頼感が地下室のポテチのシーンにまで温かく溶け込んでいるのが、本当に素敵でした。続きが気になります……!