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〜大切な命〜
第46話
ノアが苦しそうに倒れた。真っ青な顔で脈が弱く、息は荒い。
お腹を見たけど昨日の傷口は大体塞がっていた。体の中にモヤっとしたのが見えたけど……ニルスさん曰く毒だと言う。
昨日、何が……? それとも、私が起きられなかった時間に……
それから数刻後。
ニルスさんが集中して、何時間かノアと向き合っていた。毒は回りきっていたようで時間がかかるみたい。
……私の判断ミスだ……強い毒なんて見分けられるように、今までやってきたのにっ……何でっ。
「解毒、終わったぞ」
ニルスさんが、リビングのソファーに横になっているノアを撫でながら立ち上がった。
そういえば、ニルスさんって健康優良児よね。風邪もひかないし、体格も昔より大分良くなったし……魔法の使い方凄いし……
「よかった……どんな毒だったんですか?」
私がそうきくと顔を強張らせて「裏でしか手にはいらない猛毒だ。教科書をにも載ってない」だと言っていた。
その日の夜は、ノアの部屋で過ごした。何年か前のニルスさんみたいに……懐かしいな。もう、あんな事はさせません。
『俺の力不足』だっけ? 今なら、痛いほど分かってしまう。
いくら光魔法石で心を落ち着かせても、何かにうなされている。『忌み子』って言ってたやつかな……くそっ。何で、そんな事も……
ニルスさんから習った解毒魔法と十割自己流の光魔法をノアにかけてから、ノアの額から首にかけてべっとりついている汗を拭いた。
まだましになったけど……多分、毒にそういう成分が入っているんだと思う。
「うぅっ……いやっ……お、なかすいた……」
食べさせられないまま働かされていたのかな……?
「大丈夫よ。絶対にそんな事を繰り返させない」
私は、握りしめられた手を取って、今の自分の出来る最高の光魔法をノアにかけた。
自分のキャパを超えたら、私が心配かけちゃうもん。
すると、ニルスさんが扉を一回鳴らした。
「リナ。心配な気持ちは分かるが、後になって魔力が足りなくなっても仕方がないぞ」
「分かりました」
そういえば、ニルスさんは近々に聖騎士になれるかなれないかのテストがある。ニルスさんは筆記のテストは得意だけど、実技が苦手なのだ。私からも、剣への魔力の込め方や、上手い立ち回り……色々とね。あ、ラルフさんにも教えたけど、二人で特徴が全く違うから、教え方は違うけどね。
次の日。
ノアはうなされたままだ。でも、予約が入っているから、お店は閉められない。
それも、王姉様だ。サントラップの常連さん。私も何度か話をさせてもらった事がある。
私とノアは休みで、カールさんとマリーさんでお店を回している。殆どの家事と看病を私がやって、その他何も出来なかった。
何か嫌な気配がしたけど、バレないように空間魔法陣を造って、弓矢を撃った。ヒットはしなかった気がするけど、掠ったと思う。矢には、痛み止めの副作用として傷が治りにくくなる薬を塗っておいた。飲むと痛み止めだけど、傷口に入ると、結構面倒。
ニルスさんくらいの治癒魔法使いでも、かなり苦戦するだろう。
あの気配、どこかで見た事ある気がする……それにただならぬ雰囲気……私と同じ『能力者』か……?
私は……少数派の能力者であると思う。多分だけどね。
他の能力と比べて力が強い代わりに、代償が大きい。ま、神様に懐かれてるというか、好かれているのは神様の勝手の他無いけどね。
「リナっ……怖いっ……」
そんなうなされている声で目を覚まし……いや、私がうとうとしていた目を開けたら、ノアが肩を震わせて嗚咽を漏らしていた。
「大丈夫だよ。私が守ってあげる。だから、怖くない」
ゆっくり、はっきりと言いながらノアの頬を流れる涙を拭った。
「うぐっ……また、俺は忌み子っ。捨てられるっ……」
何かに取り憑かれているようなうなされ方。小さな子供のように、私にぎゅっと抱きついてきた。とても力んでいる。
「大丈夫。その手で離さないって決めたんでしょ? 私もノアを選んで離さないから、捨てられないし、忌み子なんてちっとも思えないよ」
背中を揺すりながら、光魔法をかけた。ゆっくり馴染ませるように、優しく包み込むように……私ができる最大の繊細さで魔法をかけたら、少し落ち着いた。
「ノア。ゆっくりでいい。ゆっくりでいいから、身を委ねて。私は、何でも聞くから、ね」
そう言いかけると、力が強くなった。普通に強い。男の子の獣人。いくら十歳前後だって、舐めてはいけない。
「俺はっ! 捨てられたんだっ! 捨てられたゴミを拾って、大事にするやつなんてどこにいるんだ?!」
「私は、捨てる前に逝くかもしれない。今まで二十五歳の一線を越えたこと無いし……貴方なら、ちゃんと一生を全うして、生き抜くでしょ」
コメント
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第47話、重たくて尊いお話でした……。ノアの「捨てられたゴミを拾って大事にするやつなんて」って叫び、胸がぎゅっとなった。リナの「私が守ってあげる」って台詞が本当に優しくて、でも自分は25歳までしか生きられないかもしれないって告白もあって、もう切なすぎる。毒の正体や気配の主も気になるし、次が待ち遠しいです。お疲れさまです、こはるさん🔥
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こはる
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こはる
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