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桃瑞
地雷さん🔙or自衛
キャラ崩壊大
ご本人様関係ありません
ふつ~に五千文字超えてんで 時間がある時にお読み下さい
桃ツンデレかも…
. ₊ ⊹ . ₊ ⟡ ˖ . ₊ . ݁₊ . ݁ ⟡ ݁⊹ . ₊ ݁.. ₊ ⊹ . ₊ ⟡ ˖ . ₊ . ݁₊
俺以外に、そんな顔すんな。
# 01.お前は、何も分かってない。
「瑞、これ食べる?」
桃が差し出したのは、コンビニで買った小さなプリンだった。
瑞「えっ、食べる! 桃くん、だいすき!」
そう言って、瑞は満面の笑みを浮かべた。
桃「……っ」
瑞「ん? どうしたの?」
桃「いや、別に」
瑞「もしかして、瑞に好きって言われて照れた?」
桃「調子乗んな」
瑞「あははっ! 桃、顔赤いよぉ!」
桃「赤くねえ!」
練習室に笑い声が響く。
いつもの光景だった。
桃は瑞のことをよく構う。
飲み物を買ってやったり、忘れ物を届けてやったり、帰りが遅くなれば一緒に帰ったり。
別に、特別なことをしているつもりはなかった。
……いや。
本当は、特別なことだった。
桃は瑞が好きだった。
笑った顔も、拗ねた顔も、眠そうに目をこする仕草も。
全部、どうしようもないくらい好きだった。
ただし。
瑞本人は、そのことにまったく気づいていない。
瑞「ねえ桃くん、今日の帰りさ、みんなでご飯行くんだって!」
桃「へえ」
瑞「桃くんも行こ! 絶対楽しいよ!」
桃「……お前が行くならな」
瑞「え? 瑞がいなくても楽しいでしょ?」
桃「……は?」
瑞「だって、みんないるもん!」
桃は思わず黙り込んだ。
そういうところだ。
瑞は、誰にでも懐く。
誰にでも笑いかける。
誰にでも、何のためらいもなく「だいすき」と言う。
それが瑞のいいところだと分かっている。
1,400
けいか🎼
1,416
蓮香(仮)
589
分かっているのに。
桃「……瑞、ほんと何も分かってねえな」
瑞「えっ、何が?」
桃「何でもねえよ」
瑞「なになに!? 教えてよぉ!」
桃「うるせえ」
瑞「えーっ!」
瑞は頬を膨らませた。
桃はその顔を見て、また好きになってしまう自分に呆れた。
ほんと、どうしようもない。
このままじゃ、いつか本当に。
自分だけが勝手に苦しくなってしまう。
そう思っていた。
――その日の夕方までは。
# 02.知らない笑顔。
「瑞ちゃん、それ俺にも一口ちょうだい」
緑絵翠が、瑞の持っているお菓子を指さした。
瑞「いいよぉ! はいっ」
翠「ありがと。……あ、これうまい」
瑞「でしょ!? 瑞これ好きなんだぁ!」
翠「今度買おうかな」
瑞「じゃあ一緒に買いに行こ!」
翠「いいねぇ」
二人は楽しそうに笑っていた。
少し離れた場所で、その光景を見ていた桃は、手元のスマホを伏せた。
……別に、普通の会話だ。
お菓子を分け合って、一緒に買いに行く約束をしているだけ。
何もおかしくない。
それなのに。
桃「…………」
赫「桃、どうした?」
桃「何が」
赫「いや、顔。怖い怖い」
桃「普通だろ」
赫「普通のやつは、あんなに人を睨まねえって」
桃「睨んでねえよ」
赫「はいはい」
赫は桃の視線の先を見て、何かを察したように口元を緩めた。
赫「……あー、なるほどね」
桃「何がだよ」
赫「いやぁ? 別にぃ?」
桃「おい」
赫「瑞って、誰とでも仲いいもんなぁ」
桃「……」
赫「ま、頑張れよ」
桃「は?」
赫はそれだけ言うと、さっさと離れていった。
何なんだ、あいつ。
桃は小さく息を吐いた。
そのとき。
瑞「桃くんーっ!」
名前を呼ばれて顔を上げると、瑞がこちらに駆け寄ってきた。
瑞「ねえねえ、今度みんなで遊びに行こうって話になったんだけど、桃くんも来る?」
桃「……誰と?」
瑞「翠っちーと、茈ニキと、赫くんと、
尊ちゃん! あと、みんなの予定が合えば!」
桃「ふーん」
瑞「桃くんも来てほしいなぁ」
桃「……何で」
瑞「え?」
桃「俺じゃなくてもいいだろ。みんないるんだし」
瑞はきょとんとした。
瑞「……桃くんがいたら、もっと楽しいから?」
その答えは、あまりにも自然だった。
まるで、何の疑いもなく。
桃は一瞬、言葉に詰まった。
桃「……そういうの、簡単に言うなよ」
瑞「えっ?」
桃「……いや、もういい」
瑞「ちょ、桃くん!?」
桃はそのまま練習室を出た。
背中に瑞の声が追いかけてきたけれど、振り返れなかった。
嬉しかった。
瑞が自分を必要としてくれることは、嬉しかった。
けれど、それ以上を望んでしまう自分がいた。
みんなと同じじゃ嫌だった。
ただの仲間じゃ嫌だった。
瑞にとって、自分だけは違う存在でありたかった。
――そんなこと、本人には言えないくせに。
# 03.こっちを見ろよ。
数日後。
練習が終わったあと、桃は忘れ物を取りに戻った。
もう誰もいないと思っていた練習室から、楽しそうな声が聞こえる。
瑞「えへへ、ほんと?」
尊「うん。瑞ちゃんといると楽しいよ」
瑞「瑞も尊ちゃんといるの好きー!」
尊「俺もだよ」
桃の足が止まった。
扉の向こうでは、瑞と陽宮尊が並んで座っていた。
尊が何かを話すたびに、瑞が笑う。
その笑顔は、桃の前で見せるものと同じだった。
いや。
もしかしたら、自分の前よりも楽しそうに見えた。
桃「…………」
瑞「……あ、桃くん!」
桃に気づいた瑞が、ぱっと顔を輝かせた。
瑞「どうしたの? 忘れ物?」
桃「ああ」
尊「お疲れ。今から帰るところ?」
桃「……まあな」
尊「そっか。じゃあ俺、先に出るね。瑞ちゃん、また明日!」
瑞「うん! またねぇ!」
尊が出ていく。
残された二人の間に、微妙な沈黙が落ちた。
瑞「……桃くん?」
桃「何」
瑞「何か怒ってる?」
桃「怒ってねえよ」
瑞「……ほんと?」
桃「しつこい」
言った瞬間、瑞の表情が変わった。
いつもの笑顔が、少しだけ消える。
瑞「……ごめん」
その声があまりにも小さくて。
桃は自分が何をしたのか、ようやく理解した。
違う。
こんなことを言いたかったわけじゃない。
瑞に謝ってほしいわけでもない。
ただ。
桃「……っ、瑞」
瑞「瑞、先帰るね」
桃「待てよ」
瑞「……何?」
桃は言葉を探した。
けれど、何を言っても自分勝手な気がした。
嫉妬していた。
それだけだ。
瑞が自分以外と笑っているのが嫌だった。
自分以外に「好き」と言うのが嫌だった。
そんな感情をぶつける資格なんて、どこにもない。
桃「……ごめん」
瑞「……え?」
桃「さっきの。言いすぎた」
瑞はしばらく桃を見つめていた。
それから、ふにゃりと笑った。
瑞「……ううん。大丈夫だよぉ」
まただ。
また、そうやって笑う。
本当は傷ついたかもしれないのに。
桃「……大丈夫じゃないなら、そう言えよ」
瑞「……え?」
桃「無理して笑わなくていいから」
瑞の瞳が、揺れた。
瑞「……桃くんって、ずるいね」
桃「は?」
瑞「そういうこと言うから、瑞……」
そこで、瑞は口を閉じた。
桃「……瑞、何?」
瑞「……何でもない」
桃「おい」
瑞「ほんとに何でもないよぉ!」
瑞は立ち上がり、逃げるように練習室を出ていった。
桃は、追いかけられなかった。
今の言葉の続きを聞くのが、怖かった。
もしも。
もしも自分が期待してしまうようなことを言われたら。
もう、今まで通りには戻れない気がした。
# 04.お前の特別になりたい。
翌日から、桃は少しだけ瑞と距離を置いた。
必要な話はする。
練習中も普通に接する。
けれど、以前のように自分から話しかけることは減った。
お菓子も買わない。
帰り道も、あえて別々にする。
このままじゃ駄目だと分かっていた。
でも、瑞の笑顔を見るたびに苦しくなるのなら、少し離れたほうがいい。
そう思った。
一方の瑞は。
瑞「……桃くん、今日も先帰っちゃった」
翠「んー? 最近ちょっと忙しいのかなぁ」
瑞「……そうなのかな」
翠「気になる?」
瑞「……うん」
翠は少しだけ目を細めた。
翠「瑞ちゃんは、桃ゞのこと好きなの?」
瑞「……えっ!?」
翠「ふふっ。図星?」
瑞「ち、違っ……!」
翠「違うのぉ?」
瑞「…………」
翠「……そっか」
瑞は俯いた。
瑞「……好き、なのかも」
口に出した瞬間、胸がぎゅっと苦しくなった。
瑞「でも、桃くんってみんなに優しいでしょ? 俺だけじゃないし……」
翠「うん」
瑞「俺が勝手に期待して、勝手に好きになってるだけだから」
翠は何も言わず、瑞の頭をぽんぽんと撫でた。
翠「……じゃあ、ちゃんと聞いてみたら?」
瑞「……何を?」
翠「桃ゞがどう思ってるか」
瑞「む、無理だよぉ!」
翠「どうして?」
瑞「だって……もし、違ったら」
翠「うん」
瑞「……今までみたいに、隣にいられなくなるかもしれない」
翠は優しく笑った。
翠「でも、何も聞かないまま離れちゃうのも、寂しくない?」
瑞は答えられなかった。
その言葉が、胸の奥に残った。
その日の帰り。
瑞は勇気を出して、桃にメッセージを送った。
『桃、今日ちょっと話せる?』
返事は、すぐに来た。
『いいよ』
たった三文字。
それだけなのに、瑞の心臓はうるさいくらいに鳴っていた。
待ち合わせ場所は、いつもの駅前。
桃は先に来ていた。
瑞「……桃くん!」
桃「おう」
瑞「……待った?」
桃「いや」
少しの沈黙。
瑞は何度も口を開きかけて、閉じた。
何を言えばいいのだろう。
どう切り出せばいいのだろう。
けれど、このままじゃ嫌だった。
瑞「……桃くん、最近、俺のこと避けてる?」
桃「……っ」
桃は目を逸らした。
桃「……そんなつもりはねえよ」
瑞「……そっか」
その返事が、あまりにも寂しそうで。
桃は思わず瑞を見た。
瑞「……瑞、何かした?」
桃「……違う」
瑞「じゃあ、どうして?」
桃「……」
瑞「……桃くん」
その声が震えていた。
瑞「俺、桃くんと前みたいに話したいよ」
桃の胸が、痛いくらいに締めつけられた。
瑞「桃ツンデレに話しかけても、すぐ帰っちゃうし……。俺、桃くんといるの、好きなのに」
桃「……っ」
瑞「……俺だけ、寂しいのかな」
違う。
違う、違う。
寂しいのは、こっちだ。
お前が他の誰かと笑っているのを見て、勝手に嫉妬して。
好きだと言う勇気もないくせに、勝手に距離を置いて。
それなのに。
瑞を寂しくさせていたのは、自分だった。
桃「……ごめん」
瑞「……」
桃「俺が悪かった」
桃は深く息を吸った。
もう、逃げたくなかった。
桃「……こ、瑞が、他の人と楽しそうにしてるの見るのが嫌だった」
瑞「……え?」
桃「尊と笑ってんのも、翠とお菓子食ってんのも。……全部、気になって仕方なかった」
瑞は、目を丸くした。
桃「でも、お前が誰と仲良くするかなんて自由だろ。俺が勝手に嫉妬してるだけだし……」
桃は苦笑した。
桃「だから、少し離れたら楽になると思った」
瑞「……」
桃「……でも、無理だった」
桃は瑞を見つめた。
桃「瑞が好きなんだよ」
瑞の呼吸が止まった。
桃「……ずっと前から」
もう、取り消すつもりはなかった。
桃「瑞が誰にでも笑いかけるのも、誰にでも優しいのも、知ってる。そういうところが好きになったんだから、嫌いになれるわけねえ」
桃「……でも、俺は」
言葉が詰まる。
それでも、伝えたかった。
桃「俺以外に、そんな顔しないでって……思っちゃうんだよ」
瑞「…………」
桃「……ごめん。こんなの、困るよな」
瑞は俯いた。
桃「返事は今すぐじゃなくていい。俺、ちゃんと……」
瑞「……桃くん」
桃「……ん?」
瑞「……ばか」
桃「……は?」
瑞「……ばかぁ……」
瑞の声が震えた。
桃は慌てて顔を覗き込む。
桃「お、おい、瑞? どうした?」
瑞「だって……こ、瑞、ずっと……」
瑞はぎゅっと拳を握った。
瑞「瑞だって、桃くんが好きなのに……!」
桃「…………え?」
瑞「桃くんが誰にでも優しいから、俺だけじゃないって思ってた! だから、好きって言えなかったのに……!」
桃は、何も言えなかった。
瑞「……桃くんが他の人と話してるのだって、嫌だったよぉ……」
桃「……」
瑞「でも、そんなこと言ったら困らせると思って……。瑞、ずっと我慢してたのに……」
桃はゆっくりと、瑞の手を握った。
桃「……ごめん」
瑞「……ううん」
桃「……好きだよ、瑞」
瑞は顔を上げた。
桃「……俺と、付き合ってほしい」
瑞は一瞬、目を見開いた。
そして。
瑞「……っ、はい……!」
その返事を聞いた瞬間、桃はようやく笑った。
ずっと欲しかった言葉。
何度も諦めようとした想い。
全部が、ようやく届いた気がした。
# 05.俺だけにして。
「……なあ、瑞」
瑞「……なぁに?」
付き合うことになった二人は、駅前から少し離れた静かな道を歩いていた。
手は、繋いだまま。
桃「……これからさ」
瑞「うん?」
桃「俺のこと、もっと頼ってね」
瑞「……うん」
桃「寂しいときも、嫌なことがあったときも。ちゃんと言って」
瑞「……うん」
桃「……あと」
瑞「まだあるのぉ?」
桃「ある」
桃は少しだけ視線を逸らした。
桃「……俺以外に、簡単に好きって言わないで」
瑞「……えっ?」
桃「……いや、無理にとは言わねえけど」
瑞「…………」
桃「……やっぱ今のなし」
瑞「やだ」
桃「……は?」
瑞は繋いだ手をぎゅっと握った。
瑞「……桃くんにだけ、いっぱい言う」
桃「…………」
瑞「……好きだよ、桃くん」
桃は足を止めた。
瑞「……大好き」
桃「……っ、瑞ぇ……」
瑞「えへへっ。顔赤いよぉ?」
桃「うるせえ!」
瑞「あははっ!」
桃は恥ずかしさをごまかすように、瑞の手を引いた。
桃「……こっち来て」
瑞「えっ、なになに?」
桃「……近くにいて」
瑞「……っ」
瑞は真っ赤になった。
瑞「……桃くん、今日どうしたのぉ……」
桃「……何が」
瑞「……いつもより、甘い……」
桃「……嫌?」
瑞「……嫌じゃ、ない」
桃「……ならいいでしょ」
瑞は嬉しそうに笑った。
そして、繋いでいないほうの手で、そっと桃の服の袖をつまんだ。
瑞「……ねえ、桃くん」
桃「何?」
瑞「……瑞、桃くんの特別になれた?」
桃は、すぐに答えた。
桃「……最初から、瑞しかいないよ」
瑞「……っ!」
瑞は顔を隠すように俯いた。
桃「……何」
瑞「……嬉しいのぉ……!」
桃「……っ、だから、そういうところだって……」
瑞「えへへっ!」
桃は笑った。
もう、嫉妬しないとは言えない。
きっとこれからも、瑞が誰かと楽しそうにしていたら、少しくらいは気になってしまう。
けれど、もう一人で抱え込む必要はない。
好きだと伝えられる。
寂しいと伝えられる。
そして、瑞もきっと、本音を話してくれる。
桃「……瑞」
瑞「んー?」
桃「大好き」
瑞「…………っ、ら、桃くんぅぅ……!」
桃「あははっ! お前が言えって言ったんだろ!」
瑞「そ、そうだけどぉ……!」
桃「……これから、いっぱい言うから覚悟しとけよ」
瑞「……っ、うん!」
瑞は、繋いだ手をもう一度握り直した。
瑞「……瑞も、いっぱい言うね」
桃「おう」
瑞「……大好き」
桃「……俺も」
二人は笑い合いながら、夜道を歩いていった。
もう、隠さなくていい。
もう、我慢しなくていい。
だって。
桃にとっての特別は、最初から一人だけだったのだから。
そして瑞にとっても。
自分の名前を、誰より優しく呼んでくれる人。
それが、桜司桃だった。
――END。
. ₊ ⊹ . ₊ ⟡ ˖ . ₊ . ݁₊ . ݁ ⟡ ݁⊹ . ₊ ݁.. ₊ ⊹ . ₊ ⟡ ˖ . ₊ . ݁₊
純粋っていいね
コメント
1件
『俺以外に、そんな顔しないで。』第3話、完結おめでとうございます!桃が瑞に嫉妬して距離を置くところ、すごく切なかったです。「俺以外にそんな顔しないで」っていうタイトル回収のシーン、胸がぎゅっとなりました。でも最後は両片想いが通じ合って、本当に良かった。翠ちゃんの「ちゃんと聞いてみたら?」の一言がなかったら、ずっとすれ違ってたかもと思うと、周りの優しさも大事だなって。二人の甘いやりとり、これからも見守りたいです!