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第3話:偽りのニュース
朝の通学路。
黒髪ショートの真城蓮は、パーカーのポケットに手を突っ込みながらスマホを見つめた。画面は恐ろしいニュースで溢れている。
「ホロ・ガーディアンズが市民を襲撃」「生成AIが暴走」「救助失敗で死者多数」――すべて偽情報だった。
「こんなの、俺たちやってない……」
肩口に浮かぶセキセイインコ型AI「ピコ」が翼を震わせる。
デマ拡散速度、臨界。危険域。
SNSのタイムラインに流れる映像は、昨日の戦いを改ざんしたフェイク動画。人々の視線は疑惑と恐怖に染まり、街はざわめいていた。
そこに映し出されたのは、ノイズの渦から現れたフェイク怪物。
姿は無数のモニターを組み合わせたような異形で、灰色の画面が次々に顔へと変化し、嘘の言葉を叫び続ける。
「くそっ、敵の狙いは俺たちの信用か!」
灰と赤のアーマースーツを纏った鳴海隼人が叫び、ポメ型AI「マル」が即座に解析。
偽情報発信源、四十カ所に分散。全てを潰さねば収束不能。
隼人の拳が怪物の壁を砕き、爆風が広告パネルを揺らした。
一方で、制服の上にドクターコートを羽織った結城未来が前へ出る。
「サラ、プロンプト!《心理安定リンク》!」
キツネ型AI「サラ」が尾を広げ、市民に流された偽映像を上書きするように心を安定させる。
光の網が人々を包み、逃げ惑う足が止まる。
「理央、行け!」
隼人の指示に応え、赤とグレーのワークスーツを着た秋月理央が工具ベルトから生成ユニットを展開。
「チィ、プロンプト!《多砲塔生成》!」
リス型AI「チィ」が輝き、周囲の街灯や信号機を素材に次々と砲塔をホログラム合成。
一斉射撃がフェイク怪物を貫き、スクリーンの顔が破壊される。
その隙を突いて、肩までの茶髪を揺らす天羽光が舞台役者のように腕を広げる。
紫と墨染めのアート風スーツに光が走り、イルカ型AI「ルナ」が放つ感情波が街を包む。
「ルナ、プロンプト!《感情波・真実化》!」
偽りの情報が弾け飛び、街中のスクリーンに“本当の映像”――彼らが市民を救う姿が流れ出した。
「今だ、みんな!」
蓮が叫ぶ。緑のライトスーツにホログラムの翼を大きく広げ、ピコが肩で鳴く。
五人のAIがリンクし、巨大な光の環が街上空に浮かぶ。
「ホロ・レゾナンス!」
翼の光刃、隼人の衝撃波、未来の治療光、理央の砲撃、光の感情波が一つに収束。
フェイク怪物を包み込むと、無数の偽画面が一斉に粉砕され、灰色の欠片となって消え去った。
街に静けさが戻り、人々の視線が変わった。
「……あれが、真実なんだ」
「助けてくれたのは、彼らだ」
蓮は額の汗を拭い、仲間を見回す。
「嘘なんて壊せる。俺たちなら」
ホログラムの翼が小さく羽ばたき、夕陽の光を反射した。
ホロ・ガーディアンズ。
彼らは「真実」を武器に戦うヒーローとして、街に刻まれ始めた。