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「……一つ、いいだろうか?」
唇を離した彼から、急に改まったように言われて、
「何ですか?」と、首を傾げた。
「うん……今日は、君のキスで、目覚めさせてもらったから、だから私は……、これからは君だけのものでいると誓おう」
そんな台詞を、やや気恥ずかしそうに伝えられたら、私まで恥じらうしかなくて……。
だけど、伝えてくれた彼の想いにはちゃんと応えなくてはと、
「……私も、ずっとあなただけのものに……」
と、思いのままを返した。
「ありがとう、彩花」
柔らかな笑顔とともに手が引かれて、
「ほら、先にシャワーを浴びて来るといい」
そう促され、ホテルのスゥイートルームさながらの部屋付きの浴室で、夕べの余韻が残る身体を熱いシャワーで洗い流した。
そのまま脱衣所で、メイクを仕直していると、
私の後にシャワーを浴びていた貴仁さんから、「そこの棚にあるバスローブを、取ってもらえないか?」と、声をかけられた。
「はい」と返して、真っ白なバスローブをドアの隙間から手渡すと、無造作に前を合わせただけの恰好で彼がバスルームから現れて、その大きくはだけられて水滴の浮いた胸元に、目が吸い寄せられた。
しっとりと湿り気を帯びた肌と、洗ったばかりの無造作な濡れ髪が、よけいにセクシュアルな魅力を搔き立てる。
彼が放つ色気にあてられ、うろうろと視線を泳がせる私に、
「どこを見ている?」
貴仁さんが近づいてきて、不意に顔を迫らせた。
「あっ、あの、えっと……、」
その密着度合いに、ますます狼狽しきりでいると、メイクブラシを持った手が、ふと捕らえられた。
「それを置いて、私の胸に手を当ててみてくれないか」
言われるままにメイクブラシを置き、ローブから覗いた水沫の散る濡れそぼった胸元に、伸ばした手でおずおずと触れてみた。
「……鼓動が早いだろう?」
手の平から伝わる心臓の音が確かに加速しているのを感じて、コクっと頷く。
「君がそばにいるだけで、こんなにも胸が騒いでしまう」
切なくも掠れた声で告げられて、胸板に当てがった手の上から思わずふっと唇を寄せると、薄い皮膚を通してその鼓動はいっそう高まって感じられた。