ピピピピピ──
スマホのアラーム音で目を覚ました。
ちなみにこの音は明澄のスマホから。あたしのスマホはいまだに起動できていない。もうどうしようもないから明日お母さんに言うつもりだよ。
床でふとんを敷(し)いて寝ていた明澄がもぞりと動いてアラームを止める。
現在時刻、午前2時45分。
あたしは部屋の電気をつけ、起き上がる気のない明澄の身体を揺さぶった。
「ふたりかくれんぼの時間ですよー」
「すやぁ~……」
「本当に寝てる人は『すやぁ~』なんて言わないから。さあ観念して起きてー」
言いながらバサッとかけ布団(ぶとん)をはぎ取る。
「うぅ……」
明澄は憂鬱(ゆううつ)そうにゆっくり上体を起こした。
取られて寒かったのかはぎ取られたふとんをすぐに引きよせて身体に巻いている。
「……本当にやるの?」
「あたりまえだよ。さ、行くよ」
始める舞台は、テレビだけつけた真っ暗な部屋。
テレビは1階にあるので、あたしはうさっちの耳をつかみ明澄と階段を下りていった。
◇◆◇
真っ暗なリビングにポツリと浮かぶテレビの明かり。その近くにあたしと明澄は向かいあって座っていた。
テレビの明かりで照らされたあたしたちの影が壁に伸びている。明澄はそれすらブキミに感じているのか、テレビの方に身体を寄せていた。
テレビの音は明澄の要望で消音にしている。
午前3時。
あたしは雰囲気を出そうと、おどろおどろしい声を出した。
「じゃあ……始めようか……」
「そんな怖い声出さないで……!」
「ごめん」
思いっきり明澄ににらまれたので普通に話すことにする。
まずは2人で普通にかくれんぼをして最後にうさっちをオニにして隠れるから、
「オニはじゃんけんで決めよう。負けたほうがオニね」
「うん……」
じゃーんけーんぽん。
あたしはパーを、明澄はグーを出した。
「明澄がオニだ。じゃああたし隠れるから──どうしたの?」
明澄の顔色はさっきよりも悪くなっていた。それはなにかに怯(おび)えているようだ。
「だ、大丈夫。なにか廊下にいたような気がしただけだから……」
「っマジ!? あ、ちょっとスマホ貸して!」
明澄からスマホを受け取り、あたしは廊下に飛びだした。
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