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私
の名前は九条院沙耶架。
この国で最も裕福な一族と言われる九条院の一人娘にして次期当主候補筆頭でもある。
幼い頃から英才教育を受けてきたおかげで学業の成績は常にトップを維持しており、スポーツの方も陸上水泳合気道剣道弓道空手柔道等々様々な競技で全国大会出場の常連となっている。
また美しい見た目と抜群のスタイルを持っていることもあって、アイドル活動にも何度か参加したことがあるのだが、そちらでもかなりの成績を残した。
そんな完璧な存在である私が最近ハマっているものがある。
それはゲームと呼ばれる娯楽の一種であり、最近はまっているのは恋愛シミュレーションと呼ばれるもの。
簡単に言えばヒロイン達との甘い生活を疑似体験出来るというものである。
今日も学校が終わったあと私は真っ直ぐ家に帰り、早速ゲーム機を手に取った。
画面に映るのは可愛らしい女の子の姿であり、彼女こそこのゲームのメインヒロインの一人である。
「さてと……それじゃあさっそく始めるとしましょうか!」
こうして私はいつものようにゲームを始めた。
まず最初に画面の中で主人公の少年が登場する場面から始まる。
ちなみに主人公は男の子なので普通なら攻略対象には入らないはずなのだが、このゲームでは何故か主人公もヒロインの一人として扱われているようだ。
そして主人公が主人公であるために求められる資質とは──
「……ねえ聞いてる?」
「へっ!? はいっ! ちゃんと聞いていますよ!」
目の前にいる女の子からの問い掛けに対して慌てて返事をする。
今現在、教室には僕ら二人しかおらず、静けさに包まれていたせいか彼女の声がよく聞こえた。
ちなみに彼女は僕と同じクラスで隣の席ということもあり、こうして話をする機会が多い。
「ねえねえ天宮さん! この前の数学のテストどうやった?」
話しかけてきたのは友人の鈴木くん(仮)だ。
名前に関しては特に意味はなく、適当につけたものである。
ちなみに彼もまた僕と同じく友達が少ないタイプなので、自然と親しくなったのだ。
「ああうん……まあまあかなぁ」
彼女はいつものように曖昧な答え方をして誤魔化した。「んー……どうかしらね?」
沙耶架が曖昧に笑ってごまかすたびに周囲の女子生徒からは非難の声が上がるのだが、それでも彼女は態度を変えようとしない。
そのせいでクラスでは浮いた存在になりつつあるものの本人は気にしていないようであった。
また彼女の人気は外見だけに留まらない。
成績は常にトップクラスで運動神経抜群かつ芸術にも秀でており、誰に対しても優しく接することから教師からも絶大な信頼を寄せられているらしい。
まさしく才色兼備という言葉に相応しい少女と言えるだろう。
そして今日もまた授業が始まるのだけど、ふと窓の外を見るとグラウンドで体育の授業をしている生徒たちの姿があった。
今まさに行われている種目はソフトボールのようで、どうやら一組対二組の対抗戦になっているようだ。
両チーム共に白熱しており、接戦を繰り広げているようである。
そんな中で沙耶架の目に留まったのは一人の少年であった。
その人物とは聖川真斗という名前の二年生であり、彼のポジションはサード。
つまり一番目立つポジションにいることになる。
それなのに彼は特に緊張している様子もなく自然体のままだ。まるで散歩でもするような軽い足取りでこちらに向かってくるのだが、その表情からは何を考えているのか読み取ることが出来ない。
「いやぁ~、やっと見つけたよ。キミを探してたんだ」
「……あの、失礼ですけどどちらさまですか?」
「ああ、これは申し訳ないね。まだ名乗っていなかったか。ボクの名前は――」
そこまで言いかけたところで彼の言葉が途切れてしまった。
一体どうしたというのだろうか?
「いや、待てよ。今ここで本名を名乗ってしまうのはまずいか」
名前を教えてもらえなかったのは少し残念ではあったが、確かにあの女の子には見覚えがあった。
入学式の時に壇上で挨拶をしていた生徒会長だ。
まさか自分が生徒会長に選ばれるなんて思ってもいなかったけど、これもきっと何かの縁なんだと思うことにしよう。
「それじゃあよろしくね、真白さん」
「……はい、分かりました」
真白と呼ばれた少女は小さく返事をしただけでそれ以上は何も言わずに部屋を出て行ってしまった。
おそらくあまり人と話すことが得意ではないタイプなのかもしれない。
もしくは恥ずかしがり屋とか内弁慶などもあるかもしれないですね。
でもどんな性格であっても、自分を良く見せるために仮面を被ってしまうことがあるはずです。
そしてそれが当たり前になってしまうんですよね。
だけどそれでは自分が本当にやりたいことを見失ってしまいますよ。
仮面を脱ぎ捨てて本音をぶつけ合いましょう!
「……なんですかこの意味不明な文章は?」