橙side
昔から、人を笑わす事が好きだった
嫌な事でも、誰かが笑ってくれるから
我慢し続けていた
でも、気づいてしまった
自分の事を笑わせてくれる人は居ないって事に
そしたら、全部わかんなくなって
人を笑わせていた感覚も見失った
家にも、外にも、居場所はなく
ただ近くの公園のベンチに座ることが日課になっていた
「ねぇー、そこの君」
「…え?お、俺ですか?」
「そ、きみきみ〜」
「な、なんですか」
「こんな真昼間の公園で、そんな死んだ顔してるからさ〜。気になっちゃって」
「…すいません…帰ります…」
「えぇ〜帰っちゃうの?じゃあ…ちょっと遊んでこうよ」
「…は?」
「今から鬼ごっこするひとぉ〜!」
「え、ちょ、鬼ごっこ!?」
「そ、鬼ごっこ。ほら集まってきたー」
「おにぃさん、その人だれぇ〜?」
「この人はねぇ〜…鬼ごっこの鬼役の人!!」
「…は?」
「だからみんな逃げろー!!」
「わぁー!!」
「…いやいや…なんで勝手に…」
「おや?あんなに子供達が目を輝かせて待っているのに…やらないのかい?」
「っ…あーもう分かりましたよ!
あんたから捕まえてやるっ…!」
「おっと…危ない危ない」
彼は余裕そうに、避けてみせた
まるで、蝶のように華麗に
「ハァハァハァ…」
「逃げる側の勝利〜!」
「やったぁー!!」
「じゃ、みんなかいさーん!!」
「またね〜おにぃさんたち!」
「どうだったぁ〜?」
「疲れました…」
「でも、楽しかったでしょ」
「…はい、めっちゃ楽しかったですw」
「…いい笑顔だね」
「えっと…お兄さんは…楽しかったですか?」
「…うん、そりゃもちろん楽しかったよ!」
その笑顔は、どこか嘘のように見えた
「あーそうだ、名前言ってなかったね。
紫だよ〜、よろしくね」
「俺は、橙です。よろしくお願いします…なのか?」
「まぁまぁ良いじゃん☆」
それから、公園で何度か会うようになった
その度に振り回さて…笑顔にしてくれた
_つづく
コメント
3件
何だか…いいなぁ。 今ちょっと泣きそう(。•́‿•̀。 )
想像以上に長くなったんで連載にします、次回で終わる…はず(´°∀°`)