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19 - 第十九話「声が出ないまま叫んだ、その先 」

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2025年07月25日

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現実世界――


ないこの声はまだ細く、確かな力を持つわけではなかった。

だけど、その小さな声が、彼女自身の心の壁を少しずつ溶かし始めていた。


ないこ(心の声):

「声が出せなくても……気持ちは伝えられるかもしれない」


ないこはゆっくりとスマホを手に取り、グループチャットを開く。

そこには、いれいすのメンバーたちの温かいメッセージが溢れていた。


りうら: 「無理しなくていいから、待ってるよ」

いむ: 「焦らず、ゆっくりでいい」

初兎: 「いつでも話したくなったら、ここにいる」

いふ: 「ずっと味方だからな」

悠佑: 「戻ってきてくれて嬉しいよ」


ないこは震える指で返信を打とうとするが、うまくいかない。

言葉が指先に届かない。


ないこ(心の声):

「まだ、うまく伝えられない……」


そんな時、部屋の扉がノックされた。

開けると、いむがゆっくりと現れた。


いむ: 「声がまだ出ないなら、無理に話さなくていい。俺が話すよ、代わりに」


いむは静かに、ないこのスマホを受け取り、グループチャットにメッセージを送った。


いむ(メッセージ): 「ないこが戻ってきた。ゆっくりだけど、確かにここにいる。みんな、待っててくれてありがとう」


メンバーの返信はすぐに飛んできた。

温かく、そして安心できる言葉たち。


ないこはその様子を見て、小さく涙を流した。

自分の声が出なくても、仲間は変わらずそばにいてくれる。

それだけで十分だった。



深層――鏡の裏側。


闇ないこは、自分の涙が止まったことに気づいた。

それは、ないこの存在が持つ“希望”の光だった。


闇ないこ(呟く):

「声がなくても……お前は、叫んでいるんだな」


鏡のひび割れはゆっくりと広がり、闇の世界と現実の境界が少しずつ曖昧になっていく。


闇ないこはその変化に戸惑いながらも、どこか安堵の表情を浮かべていた。



現実世界――


ないこはギターを抱きしめ、ふと立ち上がった。

声はまだ出ないけれど、その手が紡ぎ出す音は、確かに“生きている”証だった。


ないこ(心の声):

「声がなくても……音がある。私の心の声が、ここにある」


その音色は、闇に立ち向かう小さな光となり、これからの道を照らしていくのだった。




次回:「第二十話:音に込めた想い」へ続く



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