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【青side】
ないこが手を出してこない!!!!!!もう付き合って1ヶ月ほどになるというのに、一向に手を出してこないのだ。
そりゃ俺だって人間だから当然そう言う欲もあるわけで、何度かそれっぽく誘ったつもりだったが、うまいことあしらわれてしまった。
かといってストレートに「ヤりたい」なんて言える訳もなくて(ないこに抱かれてみたくて後ろを解してたら1人でする時にそこを触らないとイけなくなったのは別の話)。ないこが忙しいことはわかっている。日々の仕事とリーダー業務とで、これといった休みがないのもわかっている。だが俺も限界社畜だし、月に3回ほどある共通の休みくらいはないことべったり甘々な日を過ごしたいのだ。そもそもないこは本当に俺のことが好きなのだろうか?
ふとそんな考えが頭に浮かぶ。 付き合ってはいるが俺は男だし、ないこは優しいから俺に気を遣って付き合ってくれているだけかもしれない。もしかしたら他に好きな人がいるかもしれない。そうしたら俺はないこの未来を邪魔する、いらないやつ……? 街ですれ違う女の人を見るたび、その人の隣にないこが立っている幻覚が揺れる。みなお似合いの、素敵そうなカップルに見えた。 思い詰めていたからか後ろから駆け寄ってくる人影に気付かなかったので、突然しょにだに話しかけられた時は「うわぁ!?」と声が出てしまった。
「しょにだ!?びっくりした……」
「うわぁてwwwそんな驚くこととちゃうやろw」
「い……いや!考え事してて急に後ろから話しかけられたら驚くやろ普通に!」
「そうかぁ?」
「そっ……そうや!」
目があっちこっちに泳いで挙動不審な俺を見て、しょにだはくつくつと笑い出した。
「まろ、お前……wそういうこと考えてたんとちゃう?w」
「なっ……!?!?!?」
自分でも顔が真っ赤になるのがわかった。
「どうせないちゃんが手ェ出してくれへんとかその辺やろ?」
「うぐっ……なんでこうも筒抜けになるんやろ……」
「まぁこんなところでこんな話も変やし、一旦うち来る?今日金曜日やから明日ないし、うちで呑んでってもええよ」
しょにだの有難い提案に、俺は乗ることにした。
【白side】
「何で手ェ出してくれないの〜!?まろもう待てない〜っ……」
夜10:00手前。俺の家でまろが吠える。 ないこが手を出してくれないことを気に病んでいたまろを家にご招待し話を聞いたが、思った以上に重症らしい。案の定ガバガバ飲んで、あっという間に酔っ払いが完成してしまった。 因みにまろはないこに抱いて欲しいらしい。
「でもないこもまろに負担かけたくないんやないの?入れられる側結構翌日とかキツイし。僕はイムくんのこと満足するまで離さへんけど」
「それでもいいの!まろはないこたんといっぱい遊びたいしイチャイチャしたいのに〜!」
ぽえぽえボイスで言うまろに、俺も苦笑するしかない。
「じゃあ誘ってみたらどうや?1番手っ取り早いで」
「……ないこたん忙しそうだから疲れさせたくないし…きっとまろより好きな人がい「んなわけないやろ!」
見当はずれなことを言うまろに、思わず大声をあげてしまった。当のまろはビックリして目を見開いている。
「すまん、びっくりさせてもうた。……でもまろ、それは違う。ないちゃんがまろ以外のこと好きになるはずないやろ。それはないちゃんに失礼や」
「……うん…」
「……やっぱり直接誘ってみたらええんやないの?疲れてるとか疲れてないのかの問題じゃなくて、ないこもまろが手出してこないの気にしてると思うで」
「……そうなん?」
「…………まさか手ェ出してこなくて悩んでるの自分だけだと思ってたりしないやろな?」
「う”……」
目がまた泳ぎ始めたまろに、俺は諭すように言った。
「イムくんは僕がが手ぇ出して来るまでずっと悩んでたんよ、自分はホントは僕に好かれてないんじゃないかって。でも僕は僕で手を出すタイミングが分からんかってんよ」
「……え」
「どっちかから誘わないと、どっちもタイミングわからんのやからチャンス失うで」
「………………わかった」
だんだん酔いが醒めてきたのか、さっきよりもぱちっと開いた目で頷くまろ。
「しょにだ、今日はありがとう」
「もう帰るん?」
「早くないこたんといちゃいちゃしたい」
「デロ甘かよ。はよ帰れ」
椅子から立ち上がって帰り支度をするまろは少し上機嫌だ。
「わかった。ないこに連絡しとく?」
「いや、大丈夫。今日はありがとー!おやすみ」
「おやすみ〜」
玄関のドアが閉まるのを確認すると、今まで閉じていた寝室の扉が開いた。そこからひょこっと顔を出したのは、他でもない俺の可愛くてかっこいい彼女だ。
「しょーちゃん終わった?」
「うん。まろもう帰ったで。……おまたせ、おとなしく待っとってえらかったなぁ♡」ちょっと恥ずかしくて小さくなった自分の声に、イムくんが答える。
「へへ……///優しく……してね?♡」
ニコッと口角を上げたイムくんは、雌の目をしていた。
【桃side】
まろが手を出してきてくれない。 そう、俺がここ最近ずっと悩んでいるのはこのことだ。
いれいすメンバーをはじめいれりすのみんなも知っての通り、まろは限界社畜だ。日々忙しく働き、その合間に歌みたを出したり配信をしたりとものすごく忙しそう。とても「ヤってくれ」なんて言える感じじゃない。でも俺はまろの恋人だし、怖いもの見たさでヤってみたいのだ。
…………まろのかっこよさに思わず抱かれたくなってしまうから一人で後ろを開発しているし、実はもうこっちでイけたりするのだが……
結局恥ずかしくてこっちから誘うことはまだできていない。 収録後のスタジオでウンウン唸っていると、後ろから俺を呼ぶ声がした。
「ないこ、どしたん?なんか悩み事でもあるんか?」
焦茶色から下にいくに連れて檸檬色に染まる髪と、髪と同じ黄色をした目。あにきこと悠佑だ。
「え?うん……ちょっとね…」
「……話しづらいことなんか」
歯切れの悪い俺に何かを察してくれたのか、あにきは「一旦どっかいくか」と言ってくれた。
「ほいで?どないしたん、ないこがそんな思い詰めるなんて珍しいやん」
近くにあったとある居酒屋に到着し、席を確保したところであにきが聞いてきた。
「そのぉ…まろのことなんだけど……」
「まろがなんかしとるん?」
こんな話題親や家族にだって相談したことないのに、アニキに相談するのはちょっと恥ずかしくて口籠もってしまう。
「そのぉ……」
「?」
「…………まろが、」
「うん?」
「……………………まろが手を出してくれない!!!」
「……………………は?」
俺が叫ぶと、あにきはぷっと吹き出した。
「あにきなんで笑うの!?」
「っははっ、いや、ないこがそんな思い詰めてるからてっきりもっと重い話やと思ってたんよwいれいすを脱退しようとおもてるとか」
「まさか!いれいすは6人で一つなんだよ!っていうかそんなことより、まろが抱いてくれないのが悩みなの!」
ぷぅっと頬を膨らませると、あにきはようやく笑いを収めて喋り出した。
「自分から誘ってみたん?」
「いや、まろ忙しそうだし……負担になったらやだなぁと思ってまだ誘ってたことない」
「うーん……」
唸ったあにきに、俺はちょこっと、いやかなり気になっていることを聞いてみた。
「あにきはりうらとどうしてんの?」
「え、俺ら?普通にヤりたいときに『ヤりたい』っていうけど」
「その……恥ずかしく……ないの?」
「全然?りうらには俺の強いとこも弱いとこも恥ずかしいことも全部曝け出すって決めたからなぁ……まろはいつも適当やけど決めるときは決めてくれるで。ないこもそれはわかっとるんやろ?」
「う…うん……でもその…最近さ、まろは俺のことほんとに好きでいてくれてるのかなって怖くて……」
ぼそぼそと言う俺に、あにきが眉を顰める。
「そんなこと気にしとるん?ないこはまろがホントはないこのことが好きじゃないって本気で思てるん?」
「だってまろ手出してくれないし……」
ごにょごにょ弁解すると、あにきは長いため息をついた。
「あのなぁ……ないこ、男同士は受け入れる側にはえっぐい負担かかんねんな。正直マジで次の日はやばい。まろだってないこに負担かけたくないと思ってるで、きっと。ないこもまろも、誘うタイミング掴めてへんだけだと思うんよ」
「……そうかも……ちなみに致した次の日ってどんな感じ…」
筋肉の塊のあにきが言うのだから相当だ。俺は気になって訊く。
「……まず腰が死ぬ、喉も死ぬ、ダルい、基本体動かなくなる」
「……えっ」
予想以上のハードさに、思わず生唾を飲む。
「腰は言わずもがなやな。喉はずっとでっかい声で高音出してる感じやし……俺が結構キツイからないこは相当キツイと思うで」
「うわぁ…………えっあにき、もしかしてたまにめちゃめちゃ腰痛そうにしてたり喉死んでたりしたのって前日に致しt」
「それ以上言ったらあかん!!」
真っ赤になったあにきが俺の言葉を止める。どうやらあにきの羞恥心が限界突破したようだ。
「わ……わかった」
「ふぅ……取り敢えずないこの目下の目標はまろを誘うことからなや!ほな俺この後用事あるから!!またなんかあったら何でも言いやー」
そう言って、あにきは半ば逃げるように席を立った。