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勇者たちとともにエドラも魔石に封じたが、正直いってここまで憎まれるほどのことをしただろうか。
それともこれはバヴァルの遺志を継ぐため?
「シーフェル王女……いや、バヴァルの愛弟子というのが正しいか?」
「フン、それこそ下らない。レザンスを滅ぼすためにわたくしを無理やり蘇らせた……そんなのはどうでもいいことですわね。荷物持ちのあなたに頼った魔女こそ愚かで下らない存在でしたわ」
「王国の王女だったお前が、なぜ聖女として勇者になぜ加担した?」
「破滅を望むもの同士が一緒になった、ただそれだけのこと」
王国を訪れた勇者グルートが王女の理解者だったわけか。だが、見習い騎士が話していた印象とはまるで異なるな。
「お前の都合は分からない。だが、これ以上さらに破滅を望むつもりなら――」
「化け物ごと消す……そういうことかしら? フフフ……存分に」
スキュラには元々従っている数体の狼がいるが、
「ウウウウーー!!」
おれに敵意をむき出しにするよりも先に、シーニャが狼に対して動いていた。狼はシーニャに任せるとして、おれはエドラ本体をスキュラから引き剥がすことにする。
「野蛮な獣を飼っているとはお似合いですわね。畜生同士惹かれ合ったということかしらね」
「さぁな」
「そんなあなたには醜い怪物が持つ弱体魔法で弱らせて、弱り切った無様な姿を見せて頂くとしますわ!」
やはり弱体化を狙って来るか。スキュラもそうだが、エドラも近接攻撃をして来るタイプでは無い。
――つまり、離れたところから魔法を繰り出してくる。神殿内に流れる小規模な滝の水に目をやり、手で何かを引き寄せ始めた。流れていた水を決まった位置に落ち着く状態へと変え始めている。
大気中の水蒸気が昇華、小さな氷晶を、おれの周りに降らせてきた。
「ダイヤモンドダスト……か。なるほど」
「フフフ……魔法にお詳しいことですわね。それも魔女に教わったということかしら?」
「どうだかな」
「氷の結晶はあなたごとき雑魚には勿体ない輝きの攻撃。息が出来ない苦しみのまま、無様に散ることを期待しますわ」
弱体が効かないことを覚えているのか、得意の水と氷で攻撃をしてきた。
しかし――
「期待を裏切るようで申し訳ないが、おれには氷も水も効かない。盾が全て塞いでくれているからな!」
「……へぇ? よくよく見ればあなた、似合わない装備で身を固めているのね。それはあなたのガチャで出たものかしら?」
「そうだ」
「そんなレアな物を出しているということはグルート様の時は片鱗を見せずに隠していた……そういうこと?」
やはりグルートには今でも忠実か。
「あの時はあれがおれの実力だった。片鱗も何も無い。使えたなら、あの時点でお前たちを懲らしめていただろうな」
「言い訳をほざくな、荷物持ちの雑魚めが!! 魔法を使わずともわたくし自らお前を消す!」
さっきまで冷静に事を構えていたエドラ。しかし氷の結晶をかき消し、勢いでおれに襲い掛かってくる。咄嗟のことでフィーサを手にすることが出来ていない。エドラはおれの首を掴み、思いきり締め上げる。
「……っぅう、あ、案外切れやすいんだな」
「よぐもぉぉぉ……!! ぐぉのぉぉ! 雑魚がぁぁぁ!!」
「本性を出すのが早いこと……だな……くっ――」
「化け物の手にかかって、無様に絶えやがれぇぇ!!」
近接攻撃を仕掛けて来るのは予想していなかったわけじゃない。ということで、ガチャで出た装備を使ってみることにする。
「――あがあぁぁぁ!? なん……」
「ドレイングローブだ。おれに触れている限り、お前の生命力は常に奪われ続ける」
「がぁっっ!!」
「おっ、素直に放してくれて助かる。その体はスキュラのモノだからな」
「フフッフフフ……そう、その通り。わたくしを苦しめれば、化け物をも苦しめることになる。どうあってもわたくしを倒すことなど出来やしない!!」
エドラはおれから離れ、元いた場所に後退した。おれには氷と水魔法が効かないことを知ったようだ。
「迷ってる暇は無いなの! わらわを使ってスキュラに斬りこむなの!」
「フィーサをか? しかし……」
「炎で焼き尽くされた相手なら炎属性が有効なはずなの」
「……それで試してみるか」
エドラの攻撃はおれには通用しない。しかしおれの攻撃もスキュラの魂ごと消してしまう恐れがある。ここはフィーサに従って試すだけだ。