非力ながらも

目黒と渡辺がちょっと、言い合いをした。例の男の出るのが渡辺の家の近く。

男の目的は、目黒を紹介すること。もしくは、渡辺が相手すること。目黒はどちらも聞けないが、自分に会うことが目的なら、構わない。渡辺がその男の相手することを考えたら。

目黒ー翔太くん、俺平気だから。

渡辺ー何？

目黒ー友達のフリして写真撮るくらい。

渡辺ー何で？

目黒ー翔太くんに何かされるよりマシ。

渡辺ーだから！俺そんなに弱い？お前を守ること出来ないって思ってる？

目黒ーこんな細くて敵うと思ってるの？

渡辺ー帰る！勝手にしろ！

タクシーで帰って来たら、男が近寄ってきた。

男ーそろそろ、どっちか決めろや。

渡辺ー何？

男ー目黒を紹介するか、お前が相手するか。

渡辺ーどっちも断る。

男ーそういうわけにはいかないんだな。

渡辺ー何？

男ー仲間と賭けしてるんだ。俺が負けるわけにはいかない。

渡辺ー勝手に賭けして、そんなの知らないし。

男ー後１週間なんだ、それまでに考えときな。でないと俺は何するか分からんからな。お前も自分の身が大事だろ？

渡辺ー・・。

追い詰められていく。

その時、後ろからふわりと抱きしめられた。

外だ、慌てて振り払う。

目黒ー聞いたから。

渡辺ー・・。

目黒ー明日から毎日、こっちへ帰って来る。あの男に会う。

渡辺ー写真撮るの？

目黒ーあんな男、翔太くんに触れさせない。

渡辺ー写真出回ったら・・

目黒ーこの身体は俺のもの。触らせない。

渡辺ー俺は何の役にも立たないんだな。とにかく家に入ろう。

ちょっと怒った渡辺が家に向かう。

目黒は後を付いて行きながら、厄介なことになったと思った。

渡辺を役立たずと思ってないけれど、関わらせたくない。

自分が写真に撮られて済むのなら、写真くらい構わない。

渡辺の身体を好きにさせるわけにはいかない。それが渡辺には通じない。