「わかってる。でも」
(え……)
「会って話したい」だなんて言われると思わなくて、一瞬呆然とした。
彼の真意はわからない。
わからないけど、でもこの機会を逃せば彼にもう会うことはないかもしれない、という感覚は漠然とあった。
それなら断る選択肢は浮かばない。
だって、私は―――。
「……大丈夫です」
小声で言うと、 紀坂(きさか)は普段通りの声で返事をした。
「じゃあ東京駅で待ち合わせよう。前と同じ、丸の内南口に12時でいい?」
「わかりました」
電話を切った後、全速力で走った後のように、激しい動悸が体を駆けている。
彼の意図がわからない。
それでも彼と終わりたくないという気持ちのほうが強くて、緊張を落ち着けようと胸を押さえた。
現在時刻は10時31分。
このまま向かえば東京駅に着くのはすこし早いけど、もう出ようと荷物を手に部屋を後にした。
リビングにいた**********************
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