朝起きると、俺はベッドで寝ていた。
ラウに運ばれたんだろうか。
早く寝てしまった分、いつもより早く目が覚めた。
そっとリビングに出ると、ラウはいつも通り朝ごはんを作っていた。
こんな時間から起きているんだ。生活の終わりが近付いても、まだ知らない事があった。
🤍「おはよう、翔太くん」
そして何もなかったかのように声をかけてくる。どこまで大人な奴なんだろう。
あんな振る舞いをした事が居た堪れなくて、俺は思わずキッチンに立つラウに後ろから抱きついていた。
🤍「どうしたの?」
ラウは火を止めて俺の方に向き直り、優しい声と共にそのまま抱きしめてくれた。
会社の先輩後輩とか、そんな事は頭にない。
昨日所詮ニセモノだと思ってしまったけど、この空間にはやっぱり俺とラウの新婚生活とやらが存在しているんだと、抱きしめられる心地よさをそう感じた。
しばらくすり寄って、やっと話し出せた。
💙「昨日、あんな態度とってごめん。ちょっと不安になって」
🤍「そうだったんだ。朝ごはん食べる?」
💙「食べる」
ラウが焼いてくれたフレンチトーストを食べながら、昨日見た事を話した。
💙「あれ見て、この生活って作られたもので期限があるものなんだなって急に実感しちゃって」
🤍「そっかぁ」
ラウは落ち着いたまま『確かに告白されたんだよね、でもフッちゃった』と話す。
💙「そうなの?可愛い子だったじゃん」
🤍「そうなんだけどね」
食べ終わって立ち上がり『今日ちょっと早く行くんだ』と食器を持ったラウは俺の頭を通りすがりに撫で
🤍「俺には、もっと大切な人がいるんだよね」
と言って食器を洗うと、そのまま出ていってしまった。
残された俺はソワソワして、今日は髪型もうまく決まらなかった。
❤️「何その頭」
宮舘に爆笑されたけど、話せる人もこいつしかいない。
💙「かくかくしかじかで俺ラ…村上に惑わされてるかも知れん」
❤️「ふふっ」
💙「何だよ」
❤️「なんでもないよ。でもあのプラン、みんな最初は戸惑うけど、最後には何だかんだ楽しんでるんだって。悔いのないようにね」
悔いのないように。
その言葉が妙に刺さり、昼の時間俺はまた宮舘を飯に連れ出して作戦会議をした。
コメント
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髪型決まらないは、あの短編思い出してにやついてしまう💚💙