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どうやら なるみちゃんは
ワタシの部屋に青桜が入り浸って
いる現状がよろしく無いので
ワタシにまともな男性を紹介
しようと計画したらしい
そして 説教こみで青桜にも
その事は伝えていた と
いう話しだった
『えぇ ワタシにも教えててよ
そういうことならさ』
『1対1で紹介とか言ったら
アンタ逃げるじゃん』
『ですよねー さすが姐さん
わかってらっしゃる』
そんなんされたら絶対
強めの人見知りを発動して
しまっただろう
カズくんの友達のなかでは
随分 まともそうな好青年
だとは思ったよ
そういうことか
しかし ヒロくんかなちゃんと
仲良くなってるよ?
悲しいかな ワタシなんか
眼中にないよ?
その辺は自然の成り行きに
任せてた だそうです
そんで青桜はというと
「トビの部屋が泊まれなく
なったら困るぅ しばらく彼氏
とか作らんでイイじゃんよ」
って 笑ってた
『オマエが決めんな!』
『あと ウチは宿屋じゃ
ありません!』
わぁ ワタシ マジ宿屋だった
女戦士レベル1でもない
完全なNPCじゃないか
少しもコイツのストーリーに
関係ない モブ….凹むわー
ーーーー
家に帰ってきた
当然の如く 泊まろうとする
青桜にムカついて抵抗を試みる
「なに?怒ってんの?」
『別に 今日は疲れたから
帰れって言ってるだけじゃん』
「えぇー?ヒロくんと仲良く
なれなかったから?」
『はあ”?』
『そんなとこじゃな..怒ってない
って 言ってんじゃん!』
「じゃ 何に怒ってんの?」
「今日オレ楽しかったよ 凄く」
「トビにスノボ教えて
もらってさぁ」
ご機嫌をとるように猫撫で声を
出し 背中に巻き付く 狐
ホント こういうのお手のもの
なんだな オマエ
呆れて ため息が出た
「なんで ため息だよ?」
「あ コレにビビってんの?
もしかして」
青桜がグイとトレーナーの襟首を
引っ張り 残る鬱血のあとを
唇でそっと撫でる
首のソレに触れたまま
「マーキングしたから?」
と 喋る狐の唇
柔らかい唇と皮膚のモソモソ
と動く感触と
濡れた吐息が首筋にかかる
うぎゃ! わあああー!
『やめろー!』
『エロい触り方すんなあ!』
『そこで喋るなー!』
ぶはっ はは
「エロい触り方? だねぇ」
「悪い 悪い 刺激が
強すぎたかな トビちゃんには」
肘を思いっきり背後に
打ち込んでやった
「痛って」
「もう しない しないから!
今日は泊めてよぉ」
「オレだって疲れてんだから
帰るのダルいってぇー」
「今日はコタツで寝るからぁー」
コタツに入って面板に突っ伏し
しがみ付き ジタバタする青桜
ここから動きませんってアピール
してる
『あー もう 面倒くさい』
『勝手にすれば?』
「やった!」
これ ヤバいなぁ
勘違いで 本気になられない
ように 突き放し といて
だからといって離れようと
すれば 引き戻す
コイツが意識してやってるのか
ただ その場のバランス感覚で
やってきて身についてんのか
わからないけど
初対面で コイツのこと
怖いと思ったんだよな
そういえば すっかり忘れた
手のひらの上でコロがされてる
って 感じかな? これは
『夕飯作りたくない』
『チャーハン作って』
ワタシもコタツに入り
一緒にTVを見てダラダラ
してたら 根っこが生えた
「ヤダよ オレだって 」
前に一度 作ってくれたことが
あるのを思い出し頼んでみたが
断られた
それしか作れないらしいけど
なかなか美味しかった
『今日は無理って言ったのに
泊まるんだからさー..』
「あー アレあったでしょ?
カップ焼きそば」
「アレで良くない?」
『なんで他人の家のカップ麺の
在庫まで把握してんのよ?』
「コレ洗濯しといてぇ」
とかいって衣服も何枚か
置いていくから
普通にコイツの着替え用
の衣服は家にある
生活に侵蝕してきてる..
『オマエ 怖いわー』
二人でカップ焼きそばを食べ
ながら ふと気になっていた
ことを聞いてみた
『青桜のその指輪ってさ
いつも左の薬指だね』
『彼女とお揃い?』
「うーん お揃いではないね
こんなゴツいの彼女に
似合わないし」
「でも オレにとっては
ステディリングみたいなもん」
『ステディリング?』
「本命の指輪ってこと」
『見して 見して』
『内側になんか彫ってあんの?』
「触んな」
リングに触れると手を引っ込め
られた
『ごめん』
珍しく ガチのトーンの声に
びっくりしてワタシも手を
引っ込めた
なにそれ ここでマジになんのか
あー また凹んだわー
しかも 気付いてしまった
彫ってあるのはリングに
じゃない
指にタトゥーが入ってた
UNTIL DEATH…
全部見えた訳じゃないが
察したわ
死が二人を別つまで
じゃない?
タトゥーの方がステディリング
なんだね?ゴツい指輪は
それを隠してるだけ
もう誓いの言葉ですやん
そこまですんなら 結婚したら
いいんじゃないの?
なんか事情があんのかもしれない
けど 他の女んとこに遊びに
来てちゃダメだろ 絶対
こんなに近くにいるのに
オマエが全然分かりません
ワタシには 正体を見せて
無いんじゃないだろうか?
なんとなく気まずいので
お風呂を準備して先に
入ってもらう
明日も休みだ
いつもなら 夜更かしする
パターンだけど
今日は本当に疲れたから
さっさと寝よう
ワタシが上がってくると
青桜はもうベットで寝てた
『おい 今日はコタツで寝る
って言ってなかった?』
「…」
返事がない
狐って狸寝入りするんだっけ?
ドライヤーで髪を乾かして
戻ってもまだ寝てる
『おーい』
「…」
マジで寝たのかな?
ま 今日 大分はしゃいでたし
コイツも疲れてるだろうから
このままでもイイか別に
部屋の明かりを消して
青桜を少し押しやるようにして
ベットに入る
うつ伏せで向こうを向いている
青桜の肩に額をつけて
背中にそっと 手を回す
昨日と同じく くっついて
眠ろうとした
「なぁ トビ オマエさぁ
それ.. 」
『げ 起きてた?』
ビクっとして身体を離し
いつものように戯けて誤魔化そう
とした が
振り返った青桜と目が合う
暗闇の中で光りだしそうな瞳と
全ての表情が抜け落ちた顔が
獣を思わせた
のそり と身を起こし
ゆっくり距離を詰める青桜
ワタシは 逃げなければ
喰われるというのに
動けなくなる愚図な小動物
のように 身を縮めて見上げる
ばかりで 声も出ない
暗いうえに 薄く差し込んでくる
外の明かりからも逆光になり
青桜の 表情は全く見えなくなった
笑ってる? 冗談?
『な..ん!』
やっと声が出せたと思った瞬間
に喰われた
本当に食いつかれたと思った
たぶん青桜からしても暗くて
よく標的が見えていないの
かもしれない
大雑把に口から 顎の辺りまで
グチャグチャに 食い散らかされた
うわあ!ファーストキスがぁー
喰われたぁー
ショックを受けてる間に
部屋着を捲り上げた コイツの手は
胸まで 這い上がってきていた
澱みのない動きに こっちは
全く情報処理が追いつかない
パニックの中 ヤケクソになる
ワタシ
ああ もういいや
こんなクソ野郎を好きに
なっちゃった記念に
初めてはくれてやるぁ
ワタシも同じだ クソ女だ
本命の彼女がいるってわかって
いるのに 碌に抵抗もできない
んだから
だけど もういい
これでいいんだ
これで終わりにするんだから
こんな関係は もう