文化祭が近づくにつれ、学校全体が賑わい始めた。掲示板には様々な出し物のポスターが貼り出され、学生たちはどれに参加するかで熱心に話し合っていた。イレブンとセーニャも、どの出し物に参加するかを決めなければならなかった。
「イレブン様、どんな出し物に参加しますか?」
セーニャがイレブンに尋ねると、イレブンは少し考えた後、笑顔で言った。
「そうだな、やっぱり二人で協力できるものがいいよね。だから、僕たちは演劇に挑戦してみよう!」
「演劇ですか?」
セーニャは驚いたように目を大きくしてイレブンを見つめた。演劇と言われると、少し緊張しそうだが、イレブンの提案に心が躍る部分もあった。
「うん、セーニャはきっと素晴らしい女優になれるよ!」
イレブンが自信を持って言うと、セーニャも思わず微笑んだ。
「ありがとうございます、イレブン様。でも、演技なんてうまくできるか不安ですわ。」
「大丈夫だよ。僕も初めてだし、練習していけばきっと上手くいく。」
イレブンの言葉に、セーニャは少し安心したようだった。二人は演劇の台本を決めるために集まり、どんな内容にするかを話し合った。
「ロマンチックな話にしようよ!」
イレブンが提案すると、セーニャも賛成した。
「私もそう思いますわ。恋愛がテーマの物語がいいですね。」
二人は役柄を決め、セーニャがヒロイン、イレブンが勇敢な騎士の役を担当することに決まった。セーニャはヒロインとして、優雅で可愛らしい役を演じることに少し緊張しながらも、やる気を見せていた。
そして、二人は放課後に演劇の練習を始めた。最初はお互いにセリフを覚えることから始まり、次第に動きや表情、演技の細かい部分にもこだわるようになった。セーニャは初めての演技に少し戸惑いながらも、イレブンの助けを借りて、少しずつ役に入っていった。
「セーニャ、そのセリフはもう少し感情を込めてみて。例えば、僕に向かって言うときはもっと優しくしてみて。」
イレブンがアドバイスをくれると、セーニャは何度もやり直しながら、より感情を込めるよう努力した。
「どうしても恥ずかしくて…でも、イレブン様の目を見ると安心しますわ。」
セーニャは恥ずかしそうに言いながらも、イレブンの真剣な表情に勇気づけられ、演技を続けた。
数日間の練習を経て、ついに文化祭の日がやってきた。緊張感が漂う中、イレブンとセーニャは舞台裏で待機していた。セーニャは少し緊張しながらも、イレブンが側にいることで少しだけ落ち着きを取り戻していた。
「大丈夫だよ、セーニャ。」
イレブンが優しく声をかけると、セーニャは小さく頷き、微笑んだ。
「はい、イレブン様。あなたと一緒にできるから、頑張れます。」
そして、ついに二人の出番がやってきた。舞台の幕が上がり、観客の注目を集める中、二人は堂々と登場した。セーニャはヒロインの役にぴったりな可愛らしい衣装を着て、イレブンは騎士らしい格好で勇ましく立っていた。
物語が進んでいくにつれて、二人の息がぴったり合い、自然な演技ができるようになった。セーニャはイレブンに向かって、心からの言葉を投げかけ、イレブンもそれに応じて力強くセリフを返した。
「セーニャ、君を守るためなら、どんな困難も乗り越える。」
イレブンのセリフに観客からは小さな拍手が起き、セーニャの目にも少し涙が浮かぶ。
「私も、イレブン様と一緒なら、どんな未来も恐れません。」
セーニャが力強く答えると、二人の演技は最高潮に達し、舞台が終了する頃には観客から大きな拍手が送られた。
舞台が終わると、二人は息を切らしながらも、満足げに顔を見合わせた。
「やったね、セーニャ!」
イレブンが言うと、セーニャは微笑みながら答えた。
「はい、イレブン様。あなたのおかげで素晴らしい舞台になりました。」
次回予告:
第9話では、文化祭の余韻を楽しんだ後、二人に新たな試練が訪れる…。試験の成績が発表され、二人の関係に影響を与える出来事が起きるのか?
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