テラーノベル
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次の授業は、錬金術。
席についても、デュースの意識はまるでそこになかった。
頭に浮かぶのは、保健室のベッドで苦しそうにしていたエースの顔ばかりだ。
俺のせいだ。
怒鳴らなきゃ、あんなふうに泣かせずに済んだ。苦しませずに済んだ…
嫌われちゃったか…?
ガシャーン!!
試験管が割れた。
その後も失敗は続いた。
順序を間違え、火にかける時間も、気づけば計画よりも長くなっている。
「……駄犬」
クルーウェル先生の声で、はっと我に返る。
「失敗ばかりしているが、何を考えながら実験をしている?どうやればそんなおかしな魔法薬ができるんだ…?」
フラスコの中身は明らかに失敗作だった。
「申し訳ありません……」
頭を下げながら、デュースは唇を噛みしめる。集中できていないのが、自分でも嫌になるほど分かっていた。
授業が終わるまで、ずっと心が重かった。
授業が終わると、デュースはまっすぐ保健室へ向かった。ずっと、気がかりだったから。
静かに扉を開ける。
エースはベッドに横になったまま、目を閉じていた。
氷嚢は、少し溶けている。
「……」
新しい氷嚢に替え、そっと額に乗せる。
起きてないと確認して帰ろうとした、そのとき。
「……まっ……て……」
ほとんど消え入りそうな声。
振り返ると、エースが薄く目を開けていた。
「……悪かった……」
小さく謝ると、エースは何も言わなかった。
それでも、追い出されなかっただけで救われる。
だが、時計を見ると次の授業まで時間がない。
名残惜しさを押し殺し、保健室を出た。
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