テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
朝、ギルドの掲示板はたくさんの冒険者でにぎわっていた。 俺とリバは自分たちの冒険者証を首から下げ、どきどきしながら依頼札を眺めていた。
「いろいろあるな……【失せ物探し】【薬草採取】【討伐】【荷物運び】……どれがいい?」 「初心者向けなら、やっぱり薬草採取や小動物の駆除でしょうか!」
ふたりでじっと掲示板を見ていると、受付のエルフ女性が声をかけてきた。
「マッシュさん、リバさん。もしよろしければ、【薬草採取】の依頼などいかがですか?入門冒険者によく選ばれています」
「薬草かぁ、モンスターもそんなに強くない場所らしいし、いいかもな」 「はい!がんばります!」
ということで
【薬草採取:北の森のキラメキ草を10本集める(報酬:銀貨3枚)】
に決定!
すぐに装備と道具をそろえ、地図を片手に村の外へ。
「……よし、北の森はこっちだ。薬草なんて簡単そうだが、本物見分けられるかな?」 「大丈夫です!――と、思います。……実は私も初めてなんです」
北の森は静かで明るく、足元にはそれらしい草がちらほら。
「たしか、青い葉っぱに銀色の斑点……これか?」 「すみません、ちょっとお借りします。……うーん?――これは毒草かも!」
「アブねぇ!!」
慌てて手を離す俺。
リバも真剣に色々調べていく。
なんとか七本までは順調だったが、最後の三本が見つからない。
「うーん、見つからないなー」 俺がキノコの傘で地面をかき分けていたその時――
ガサッ!!
草むらからイノシシ型モンスターが飛び出した!
「ひぃっ! リバ、来るぞっ!」 「マッシュ様、下がってください!」
リバが飛び出して剣でイノシシの進路を塞ぐ。
「せいやっ!!」
渾身の一撃を叩き込むが、イノシシは素早くかわして突進。
「ぎゃっ――!?」
間一髪、俺が「眠り胞子」を噴射!
バサッ……とモンスターはそのまま昏倒。
「よかった……ありがとう、マッシュ様!」 「お、おう。お前が前で受け止めるから安心してフォローできるよ」
再び慎重に探索。
イノシシの寝転んだ場所で、なんと目当てのキラメキ草が三本まとまって生えていた!
「やった、これで10本!」 「今日で草博士になれそうだな……」
村に戻ると、ギルドの受付嬢はにこやかに出迎えてくれた。
「おかえりなさい。イノシシモンスターも撃退なさったとか……本当に立派です」 「ありがとうございます!」
銀貨3枚と、冒険者手帳に最初の“達成スタンプ”が押された。
小さなことのようだけど
ふたりで協力したことが嬉しくて、俺もリバも自然と笑顔になった。
「次も、またふたりで頑張ろうな」 「はいっ、いろんな依頼をクリアして、一人前の冒険者になります!」
俺たちの冒険は、まだ始まったばかりだ――