テラーノベル
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これは昔に書いた100物語体験の日常の話です。
お家でホラーゲーム
それはチイの一言から始まった。
「アユこれやって!」
チイはアユに向かってゲームソフトを押し付ける。
「は?」
「これだよこれ!!」
アユの顔に至近距離でパッケージを見せるが
「近い。」
無論見えない。呆れながらも見える位置にゲームソフトを移動させる。
「む……ごめん。」
「いや、いいけどさ。………え?ホラー!?」
アユは改めてゲームを見て驚愕する。そんなアユを余所にチイは目を輝かせながら
「やって!」
と言う。
「で、出来るかぁ!!」
「出来る!」
「ふざけんな!決めつけんな!」
見てるのはいいが自分でやるのは嫌なアユは必死だった。ましてや少人数(1人とか論外)など。
「わかった………皆も連れてくる!」
「よしわかったやろう。」
気心知れた皆も来るなら話は別だったが。
「即答www」
「はよ連れてこい。」
すっかりやる気になったアユはワクワクとしながらゲームを始める準備をし始めた。
「はーい。」
そんな姿を見ながらもチイは皆を集めるため軽い足取りで駆けていった。
数分後。集められた四人は嫌な予感がしているのか冷や汗を流す。
「集められた理由求む。」
「皆でホラー。OK?」
にこやかなチイとその後ろでいそいそとゲーム機器のチェックをしているアユに全員が「やっぱりか。」と思う。
この二人からの提案は大抵がホラーばかりなので馴れたと言えば馴れた事だった。
「いやいやOKじゃないから!」
一人は毎回のように反論するけど。
「煩いよソラ。」
「!?」
ソラにだけは当たりが強いチイ。言葉も少しだが乱暴だ。
「か、帰っても?」
「拒否権は有りません。主にユユカは。」
既に泣きそうなユユカに笑顔で逃がさない宣言をするアユ。
「何で!?」
「一番付き合い悪いから。」
「皆と関わるとほとんどホラーなんだもん!」
「ふっ………関係ないね!ユユカが悪いのよ!」
「り、理不尽!!」
ユユカの隣にいたメイが諦めろと言わんばかりにユユカの肩に手を置いた。
ユユカはガックリと項垂れた。
皆が集まり部屋の電気を少しだけ暗くする。
「ひぃ!?」
「ユユカ早い。」
「ご、ご、ごめん!?」
「……はじめていい?」
『どーぞ。』
「いっきまーす。」
ユユカが無駄に早くビビりながら
ホラーゲームが始まった。
ゲームが始まってからはアユは基本的に笑ってばかり。怖がっているのか、楽しんでいるのかがわからない。恐らく後者だろうが。
アユの左隣に居るチイが驚く度にアユを叩くのでアユが持っているコントローラーが落ち、その度にゲーム画面の主人公が止まり、さらに叫ぶの繰り返し。チイに叩かれない事を諦めたアユはこの状況を少し楽しんでいる。
アユの右隣に居るメイは基本的に驚いて叫ぶだけ。叫ぶといっても「わっ!
?」とか「ひゃっ!?」とか短い悲鳴ばかりで大した迷惑は無いのだが、メイの右隣のユユカは半泣きだ。本来なら逃げ出したいのに手で顔を覆い隠すしか出来ないからだ。理由はユユカの右隣のソラ。ソラは驚いたり、怖くなると誰かにしがみつきながら騒ぐのだ。その被害者は主にユユカとアユのどちらかで、今はユユカだ。昔恐怖のあまりチイにしがみついたソラはその後怒ったチイに殴られたことがあり、それ以来チイにはしなくなった。と言う経緯がある。
ゲームはすぐ終わるようなものではなかったので途中でセーブして終わった。
終わってからすぐに部屋を明るくしたが五分以上過ぎた今もグスグスと鼻を啜るユユカにチイは呆れている。そして思い付いたように言うのだ。
「よし特訓だ!」
ホラーは数をしていれば慣れる。というアユとチイの持論だ。
「い、いやぁぁぁぁぁぁああ!?」
何時ものように今日もユユカの叫びがホラーの終わり(解散前)に響くのであった。
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