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あおいです🌷 第32話、読み終わりました! タートルタイタスのカーリング攻撃、めちゃくちゃ迫力ありましたね…!あの質量とスピードの描写で、画面越しに地響きが伝わってきそうでした。 何より、各国がバラバラになりかけた中で「民を守れぬ国に明日などない」と言い放つ王子の姿勢に胸が熱くなりました。セレーネが「最初に助けてくれたのはリガルド」と返す場面も、彼女の心情の変化が感じられて好きです。 次回、どうなるんだろう…!
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瑞希 流星♟也中
372
🍎🥧アップルパイ
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セレーネを救助すると、アンドリューからの声が響いた。
「王子、同盟軍の撤退の目処が立ちました! 王子も離脱を!」
ならばさっさと離脱しようと、俺は再びナハト(大犬)の背中に飛び乗る。
「よし、帰るぞ。さぁ乗るんだ」
俺はセレーネに手を伸ばす。
「よ、よろしいのですか?」
「早くしろ」
「わたくし、殿方に誘われたことがなく……」
セレーネは照れたように、おずおずとその手を差し出す。
「すまねぇな。防壁の外まで頼むわ」
どかっと後ろに乗るジャガー。
「お前に言うとらんわ」
「硬いこと言うなよ。さっきは乗れって言っただろ」
「厚かましいやつだ。育ちが出てる」
「オレとお前は大して差がないと見ている」
「失敬な。我王子ぞ」
「オレもオレも」
俺はセレーネの手を掴んで、ナハトの背中の上に乗せる。
『僕は馬車じゃないんだけどねぇ』
「それはごめんて」
ぼやくナハトをなだめつつ、ダークライン防壁の方へと戻ろうとした時だった。
空から何かが降ってきた。
銀色と金の何かは、地面に落ちて人型の穴を開ける。
なにが落ちてきたんだ? と覗き込むと、それは銀セイントみたいな格好をしたソニアだった。
「大丈夫か?」
「上を見ろ!」
言われて空を見上げると、一瞬影がさした。まるで空が落ちてきたのかと思ったが、よく見るとどうやらそれはバカでかい甲羅の裏側だった。
全長約12メートルほどの甲羅が空から降ってきて、地面に落着。そのすさまじい質量に大地が激しく揺れる。
「か、亀?」
としか思えない。色とりどりの鉱石がびっちりくっついた甲羅は、まるで宝石の山のようにも見える。その美しさとは対象的に、甲羅から肉厚な四肢がニョキッと飛び出す。手足の一本一本が象以上に太く、地面に深々と爪痕を刻む。
最後に飛び出た顔は、口が長く亀というよりワニである。
この魔獣の容姿を例えるなら、鉱石を背負ったワニガメ。
「この亀どこにいたんだ?」
「向こうの丘から、回転しながら滑ってきたんだ!」
ソニアは奥の丘を指差す。
「そんなカーリングみたいなことある?」
大亀は4足で起き上がると、まるで要塞のように頑強な佇まいを見せている。
「魔獣タートルタイタスか……」
俺はこの魔獣というより、ほぼ怪獣に見覚えがあった。ゲーム内中盤に出てくるボスクラスモンスターで、防御力が非常に高く、口から火は吐くわ、回転して体当りしてくるわでめちゃくちゃ強かった記憶がある。
タイタスと戦っていたソニアは、大きく首を振る。
「防御力が高すぎる! 魔法も剣も何も通じない! まるで山と戦っているようなものだ!」
タイタスは黄色く光る目で、俺達を見下ろす。その口の端から青白い炎が漏れ出ている。
部隊は撤退を開始してるし、こいつに構っていられる余裕はない。
「こんな怪獣と戦ってられるか、さっさと帰ろうぜ」
「メタボ王子に賛成だ。とっと逃げよう!」
俺達が逃げようとすると、タイタスは再び甲羅の中に頭と手足を収納し、ダークライン防壁に向かって回転しながら荒野を滑っていく。
そのスピードは凄まじく、鈍足な亀とは思えないフリスビーみたいな速度だ。
防壁が魔獣の接近を察知して、半透明の魔力シールドを展開する。
タイタスの回転アタックがシールドへと炸裂すると、バチバチと防壁内のシールド発生装置が火花を上げる。
「やべぇぞ、あんな強い攻撃繰り返されたら防壁が持たねぇ!」
防壁の内部構造に詳しいジャガーが、焦りの声をあげる。
「ダークラインの壁を壊してるのって、あいつかよ」
「防壁のシールドが発生しなくなってませんか?」
セレーネの言う通り、先程の攻撃で半透明のシールドが消えてしまっている。
「バカみたいにぶつかるから、装置が壊れたんだ」
タイタスは、無防備になった壁に対して何度も体当たりを浴びせる。
防壁はメキメキと嫌な音をたて、外壁の一部がボロボロと剥がれ落ちていく。
「このままじゃ決壊するぞ!」
ズドンと更にもう一撃、回転体当たりが壁に炸裂。ひび割れた壁の隙間から、外が見えている。
「まずい、防壁が壊れたら魔獣が外に漏れ出す! なんとか食い止めないと!」
俺はナハトに乗って防壁まで走ると、壁を背に盾を構えて立ちふさがる。当然ジャガーは俺の行動を見て声を荒げる。
「馬鹿野郎、何やってんだ! 防壁をもぶち壊す大魔獣の回転攻撃だぞ! 人間なんかミンチにされて終わりだ!」
「だが引くわけには行かない! ナハト、聖剣に戻って俺に力を貸してくれ!」
ナハトが大犬形態から、俺の持つ聖剣に戻ると、彼女の魔力が伝わってくる。
俺の行動を見て、撤退中だったリガルドの暗黒騎士隊が横列を組んで防御態勢に入る。
その中にはアンドリューも含まれていた。
「王子、後ろにお下がり下さい!」
「俺は兵のトップに立つ者! ここは退いてはならんところだ!」
アンドリューの顔が険しいものにかわる。
怒ったって、俺はここからどかんぞ。
「総員、王子を中心にセンチネル陣形を組め! 絶対に王子をお守りせよ!」
アンドリューの命令で、暗黒騎士達は陣形を組み直し、漆黒の大盾を構える。
「すまんなアンドリュー」
「大人しい方だと思っていたのですが、蓋を開けてみるとイヤミル様よりじゃじゃ馬です」
呆れられてはいるが、魔獣と立ち向かうことは許してもらえたようだ。
「お前ら、やめろって! あんなのがぶつかったらただじゃ済まないぞ!」
「そうです、壁はまた作り直せばよいではありませんか!」
ジャガーとセレーネの言葉に俺は首を振る。
「ここを守りきれなければ、新たな防壁を作る必要がある。それは人類が魔獣に後退したことを意味する。奴らにくれてやる土地は一つとしてない!」
「お前、いくら最強の暗黒騎士隊でも、できることとできないことがあんだぞ!?」
「なら今こそ我ら各国が協力すべきではないか!? 各々の個性を活かすべきはここであろう!」
「「「!」」」
「メタルコアだの、魔獣退治だの、実績だの、欲しいものはあるだろうが、民の安全が最優先だろう! 民を守れぬ国に明日などない!」
各国の代表は視線を見合わせる。するとアクアレムの騎士、オクタスが前に出る。
「姫様、この男は危険です! あの亀と我々を戦わせて一網打尽にするつもりかもしれません! リガルド帝国が、血も涙もない国だとわかっているでしょう!? この国に協力すれば、我々も悪の国と思われますぞ!」
「…………」
代表全員の頭に、悪の国に協力すれば自分も悪の国になると認識されただろう。
これで引くならそれで構わない。この5カ国は一生手をとることはないだろう。
しかしセレーネは、オクタスを押しのけて前に出た。
「多分、彼にそんな意図はないと思います。だって……最初に助けてくれたのはリガルドなんですよ」
「それが奴らの策なのです。甘い顔をして、一気に裏切る!」
「いや、やるなら最初の段階でオレ達を討てば良い話」
「そう、王子の言う通り人類の後退は許されない」
ジャガーとソニアも前に出る。
「残存しているアクアリムのヒーラーよ! 暗黒騎士隊を支援します!」
「トリスタン騎士隊、陣形を組む!」
「ギデオン工作部隊、仕事の始まりだ」