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みら

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みら

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沖縄一日目。
飛行機が那覇空港へ到着すると、阿部は窓の外を見て嬉しそうに笑った。
「めめ!」
「海!」
「すごく青い!」
「うん。」
目黒も自然と笑顔になる。
レンタカーを借りると、阿部が助手席で旅行ノートを開いた。
「最初はここ!」
クイズ番組で紹介されていた絶景スポット。
青い海と空がどこまでも広がり、二人はしばらく何も話さず景色を眺めていた。
「綺麗だね。」
阿部が小さく呟く。
「うん。」
「でも。」
目黒は阿部を見つめて笑う。
「あべちゃんの方が綺麗。」
「もう。」
阿部は照れながら目黒の肩を軽く叩いた。
「沖縄まで来てそれ?」
「本音だから。」
二人は笑い合った。
その日の夜は、海が見えるホテルへ。
テラスで波の音を聞きながらジュースで乾杯した。
「旅行っていいね。」
阿部が幸せそうに笑った。
___________
二日目。
今日は阿部が楽しみにしていた「デートの日」。
水族館でゆっくり魚を眺める。
巨大な水槽の前では、二人とも子どものようにはしゃいでいた。
「ジンベエザメだ!」
「大きい!」
そのあと海辺を散歩し、おしゃれなカフェへ。
パンケーキを半分ずつ食べながら、他愛もない話をする。
仕事の話は一切しない。
「こういう普通のデート。」
阿部がコーヒーを飲みながら笑う。
「ずっとしてみたかった。」
目黒は優しく頷いた。
「また来よう。」
「うん。」
___________
三日目。
昔、仕事で訪れた場所へ向かう。
「あの時は。」
阿部が懐かしそうに笑う。
「写真だけ撮ってすぐ移動だった。」
「今日は時間気にしなくていい。」
目黒の言葉に、阿部は嬉しそうに頷く。
ゆっくり景色を眺めて。
写真を撮って。
お土産屋さんをのぞいて。
「あの頃より。」
阿部が空を見上げる。
「今の方が幸せ。」
目黒はその言葉が嬉しくて、小さく「あべちゃん」と呼んだ。
___________
四日目。
市場を歩く。
試食をして笑い。
フルーツジュースを飲み。
地元の人と少し話す。
「芸能人って気づかれてないね。」
阿部が小声で言う。
「変装成功。」
目黒は親指を立てた。
夜はホテル近くの浜辺へ。
満天の星空。
「東京じゃ見えないね。」
「うん。」
目黒は阿部の左手をそっと握る。
薬指の指輪が月明かりに照らされていた。
___________
五日目。
朝からお土産探し。
「これ、佐久間喜びそう。」
「ラウールにはこれかな。」
「照とふっか、おそろいで使えそう。」
「しょっぴーと舘さんにはお酒。」
二人でメンバーの顔を思い浮かべながら選んでいく。
気が付けば紙袋はいっぱいだった。
「買いすぎた。」
阿部が笑う。
「まあ。」
目黒も笑う。
「みんなの分だから。」
夕方。
二人は旅行最後のホテルへ到着した。
少し高台に建つ、海が一望できるホテルだった。
部屋へ入ると、大きな窓の向こうに夕焼けの海が広がっている。
「……。」
阿部は荷物も置かず、窓際へ歩いていった。
オレンジ色に染まる海。
静かな波。
「綺麗……。」
その声は、とても穏やかだった。
目黒は隣へ並ぶ。
「明日帰るね。」
「うん。」
「寂しい?」
「少し。」
阿部は笑った。
「でも。」
「また来ればいい。」
目黒も笑顔になる。
「そうだね。」
二人は部屋のテラスへ出た。
心地よい潮風が吹く。
阿部は大きく深呼吸をした。
「めめ。」
「この旅行。」
「本当に楽しかった。」
「ありがとう。」
目黒は首を横に振る。
「俺も。」
「楽しかった。」
「……あべちゃん。」
「なに?」
「旅行に来てから。」
「仕事の話、一回もしなかったね。」
阿部は少し驚いたあと、小さく笑った。
「ほんとだ。」
気づけば。
あれほど頭から離れなかった映画のことを、この五日間、一度も思い出していなかった。
「めめと笑ってたら。」
「忘れちゃった。」
その言葉を聞いた目黒は、心の中で静かに安堵した。
みんなから託された願い。
『阿部が笑える旅行にしてこい。』
その願いは、ちゃんと叶えられた気がした。
夕焼けが少しずつ夜へ変わっていく。
二人は肩を寄せ合いながら、沖縄最後の夜を静かに迎えるのだった。
___________
沖縄旅行、最終日。
飛行機はゆっくりと沖縄を離れ、青い海が少しずつ遠ざかっていく。
阿部は窓の外を眺めながら、小さく微笑んだ。
「楽しかったね。」
「うん。」
目黒も穏やかに頷く。
二人の間には、旅行を終えた心地よい静けさが流れていた。
しばらくして、阿部がぽつりと口を開く。
「めめ。」
「ん?」
「実はね。」
少し照れくさそうに笑う。
「この旅行。」
「傷を癒すための旅行だって、最初から分かってた。」
目黒は驚いたように阿部を見る。
「気づいてたの?」
阿部は頷く。
「うん。」
「急に五泊六日の休みが取れたことも。」
「プランを全部俺に考えさせたことも。」
「映画のことを一回も話さなかったことも。」
「全部優しかったから。」
目黒は少し困ったように笑った。
「やっぱり、あべちゃんにはバレるか。」
阿部は窓の外へ視線を戻す。
「でもね。」
「めめが何も言わなかったから。」
「旅行を心から楽しめた。」
「あの五日間、本当に映画のことを忘れられたんだ。」
その言葉に、目黒は胸をなで下ろした。
「それならよかった。」
少し間を置いて、目黒は阿部の手をそっと握る。
「ねぇ、あべちゃん。」
「うん。」
「全部一気に変わろうとしなくていい。」
「でも。」
「少しずつでいいから。」
「我慢する癖も。」
「一人で抱え込む癖も。」
「一緒に治していこう。」
阿部は静かに目黒を見つめた。
「昔からの癖だから。」
「すぐには治らないと思う。」
「それでも。」
「俺が何度でも声を掛ける。」
「一人で抱え込まなくていいって。」
「何度でも伝える。」
阿部は少し目を潤ませながら笑った。
「うん。」
「約束する。」
「前よりはちゃんと頼る。」
目黒も安心したように微笑む。
「ありがとう。」
そして、少しだけ表情を変えた。
「あべちゃん。」
「もう一つ話がある。」
「なに?」
「実は。」
「映画の続編のオファーが来てる。」
阿部は目を丸くした。
「続編?」
目黒は頷く。
「二人が結ばれたあとの物語。」
「スペシャルドラマとして映像化したいって。」
阿部は驚きながら話を聞く。
目黒は続けた。
「制作スタッフから聞いたんだけど。」
「映画は大ヒットした。」
「でも、その一方で。」
「『途中が苦しすぎた。』」
「『結ばれたのは嬉しいけど、もっと幸せな二人が見たい。』」
「そういう感想がすごく多かったらしい。」
「だから。」
「続編は、甘くてキュンとする話にしたいって。」
阿部は静かに窓の外を見つめた。
映画の撮影。
苦しかった日々。
高熱を出した夜。
すべてが頭をよぎる。
少しだけ目を閉じる。
「……。」
目黒は急かさなかった。
「無理なら断ろう。」
「俺はあべちゃんが笑ってる方が大事だから。」
阿部はゆっくりと目を開けた。
そして、目黒の方を向く。
「少し怖い。」
その言葉に、目黒は黙って頷く。
「でも。」
阿部は優しく笑った。
「めめと一緒なら頑張りたい。」
「苦しい物語じゃなくて。」
「幸せな二人を演じられるなら。」
「挑戦してみたい。」
目黒の表情がぱっと明るくなる。
「本当に?」
「うん。」
「今度は役じゃなくて。」
「めめと一緒に、いっぱい笑える作品にしたい。」
目黒は嬉しそうに笑うと、阿部の手をぎゅっと握った。
「じゃあ。」
「今度の撮影は。」
「二人で最高に幸せな恋人を演じよう。」
阿部も笑顔で頷く。
「うん。」
飛行機は雲の上を静かに飛び続ける。
沖縄で過ごした六日間は、傷を消し去る魔法ではなかった。
けれど、その傷を一人で抱えなくてもいいと気づけた、大切な旅だった。
そして二人は、新しい一歩を踏み出すために、東京へと帰っていくのだった。
コメント
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一気に読まして頂きました♪ 幸せなはずなのに 何かあれば抱え込む 閉じ込める でもその小さな変化をメンバーや🖤が しっかり拾い上げて笑顔にしてあげる😀 凄いな 少しでも一緒に前を向いて良い方向に 続きがいろいろ読めるので嬉しいです♪☺️ 有り難う御座います🙇 🖤💚不足 私的に荒んでいるので 癒されます♪
読了しました。沖縄編、とても素敵でした……! 阿部ちゃんが「傷を癒すための旅行だって最初から分かってた」って気づいてたところに、目黒くんの優しさがちゃんと届いてたんだなと感動しました。ひとりで抱え込まなくていい、一緒に治していこうっていう言葉、すごく沁みます。最後の続編の話も、前を向く二人の温度が伝わってきて、ほっとしました。温かい旅をありがとうございます🌷