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玄関を開けると、そこには「うさぎ」がいた。
僕が誕生日にプレゼントした、淡いピンクのモコモコルームウェア。フードについた長い耳を揺らしながら、白石さんがトタトタと駆け寄ってくる。
「……おかえりなさい、陽一さん。遅かったですね♡」
(……うっ、なんだこの破壊的な可愛いさは。 12時までに帰るって約束したのに……5分もオーバーしてごめん!!)
「遅れてごめん。……怒ってる、かな?」
「ううん。無事に帰ってきてくれたなら、それでいいんです」
彼女は僕に抱きつき、襟元に顔を埋めてクンクンと匂いを嗅ぎ始めた。
「……白石さん? 焼肉とビールの匂いしかしないよ?」
「……静かに。今、浮気チェック中なんです」
「えっ、浮気チェック……!?」
(店の客のほとんどが野郎どもだぞ。一体何をチェックしようとしてるんだ!?)
「……よし。他の女の人の香水も、化粧品の匂いもしません、合格です!」
(……クリアして良かった。でも、もし隣の客がきつい香水の女性だったら……玄関で消されてたのか……?)
カチャッ、ガチャン。
玄関に、無慈悲な金属音が二度響いた。彼女が僕の背後に手を回し、鍵とドアチェーンを立て続けに掛けたのだ。
(……まずい。これ、ただの『おかえり』の空気じゃない。完全に退路を断たれた……!?)
篠原愛紀
#独占欲