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⚠️ こちらはd!の二次創作です ⚠️
死ネタ BL要素 が これから出てきます
地雷 彡 は 回れ右 !
診察室は静かだった。
窓から差し込む光が、机の端を白く照らしている。
向かいの椅子に座った院長は、穏やかな表情をしていた。
院長「シャオロンくん、今日は来てくれてありがとう」
sha「……いえ」
カルテを机に置く音。
紙を揃える、ゆっくりとした動き。
院長は、いきなり核心には触れなかった。
最近の体調。
息切れの頻度。
食事量。
一つひとつ、確認するみたいに聞かれる。
sha「……前より、ちょっとしんどくなることが増えました」
sha「でも、我慢出来ないほどではないです」
院長は、小さく頷いた。
院長「正直に話してくれて、ありがとう」
その一言で、シャオロンは悟った。
sha(……あぁ)
来るな、と。
院長は、カルテから目を上げて、まっすぐにシャオロンを見る。
院長「結論から言いますね」
声は、驚くほど落ち着いていた。
院長「病気の進行が、想定より早いです」
院長「現時点で、有効な治療法はありません」
一拍。
院長「……長期的な回復は、難しいと判断しています」
“長くない”。
その言葉は、使われなかった。
でも、意味は同じだった。
シャオロンは、少しだけ瞬きをした。
sha「……そうですか」
思ったより、声は震えなかった。
sha「だいたい……どれくらい、ですか」
院長は、言葉を選ぶために、ほんの一瞬だけ視線を落とした。
院長「……はっきりした期間を断言することはできません」
院長「ただ、月単位で考える必要はあります」
月単位。
sha(……年、じゃないんやな)
不思議と、頭は冷えていた。
sha「……入院は、続けたほうがいいですか」
院長「それも、一つの選択です」
少しだけ姿勢を変えて言った。
院長「今後は、“治す”ための治療ではなく」
院長「“どう生きるか”を大切にする段階になります」
シャオロンは、ゆっくり息を吸った。
sha「……あの」
院長「はい」
sha「じゃあ……」
一度、言葉を切る。
sha「最期は……俺の好きなように生きることってできますか?」
院長は、すぐには答えなかった。
でも、その沈黙は、否定じゃなかった。
院長「……できます」
静かな、はっきりした声。
院長「むしろ、それが一番大切だと思います」
院長「やりたいこと、会いたい人、行きたい場所」
院長「全部、遠慮しなくていい」
シャオロンは、少しだけ笑った。
sha「……長くないなら」
sha「今まで、やりたかったけど出来なかったことをやりたいです」
それは、願いというより、決意だった。
院長「そのために、私たちもできる限りサポートします」
院長「主治医とも、きちんと連携しますから」
“主治医”。
その言葉に、胸の奥が、きゅっと鳴った。
sha「……ありがとうございます」
sha「……あの」
院長「はい」
少し、迷うように視線を落としてから、シャオロンは続けた。
sha「この話……主治医の先生には、もう伝わってますよね」
院長「いえ。まだ検査結果までしか知らないと思います」
sha「そうですか……」
一度、息を吸う。
sha「じゃあ……ロボロには」
言葉が、途中で止まる。
唇を噛んで、考える。
ほんの数秒。
でも、その間に、たくさんの感情が渦を巻いていた。
sha「……まだ」
sha「今は、言わないでほしいです」
院長は、驚いたように目を瞬いたが、すぐに表情を崩さなかった。
院長「理由を、聞いてもいいですか」
sha「……自分から、言いたいんです」
声は、静かだった。
sha「先生の口から聞いたってなったら」
sha「きっと、彼奴……」
そこまで言って、言葉を飲み込む。
sha「……医者の顔に、戻ると思うから」
院長は、何も言わずに聞いていた。
sha「それが、嫌なんです」
sha「最後まで、俺にとってのロボロで居てほしくて……」
震えそうになる声を、必死に抑える。
sha「ちゃんと、俺の言葉で伝えたいんです」
しばらくの沈黙。
やがて、院長は静かに頷いた。
院長「……分かりました」
院長「ご本人から話す、という意思を尊重します」
sha「……ありがとうございます」
深く、頭を下げる。
院長「ただし」
sha「……はい」
院長「無理はしないでください。一人で抱え込むには、あまりにも重い話です」
シャオロンは、小さく笑った。
sha「……重いですね」
sha「でも」
顔を上げる。
sha「それでも、俺が決めたことなんで」
その目は、もう、覚悟を決めていた。
診察室を出る。
廊下の窓から、午後の光が差し込んでいる。
sha(……いつ、言おうか)
sha(どんな顔で、言おうか)
答えは、まだ出ない。
でも、一つだけはっきりしていた。
sha(俺は)
sha(最後まで、ロボロと生きたい)
そう思いながら、シャオロンは、ゆっくり病室へ戻っていった。
***
その日、ロボロは休みだった。
目覚ましを止めても、布団から出る気にならない。
身体は確かに休めているはずなのに、胸の奥が落ち着かなかった。
rbr(……なんやろ)
理由のない不安。
焦りとも違う。
ただ、何かを忘れているような感覚。
時計を見る。
病院の午前の回診が、そろそろ終わる時間。
rbr(シャオロンは……今頃、なにしとるんやろ)
そう思った瞬間、 胸の奥が、きゅっと締めつけられた。
rbr(……あかん)
理由は分からない。
でも、嫌な予感だけが、はっきりとある。
rbr(今日は、何もないはずや)
rbr(ただの休みや)
そう言い聞かせても、心臓の音が速い。
窓の外は、穏やかな天気だった。
あの日、シャオロンと歩いた庭と、同じ色の空。
rbr(……連絡、来てないよな)
スマホを見る。
通知はない。
それでも、指が止まらない。
無意識に、病院の連絡先を開いている。
自嘲気味に息を吐く。
rbr(患者のこと、四六時中考えるなって自分で言うてたくせに)
スマホを伏せる。
ソファに深く腰を下ろす。
頭に浮かぶのは、あの笑顔。
「今日は調子ええわ」と言った声。
rbr(……頼むから)
小さく、誰に向けたかも分からない祈りが零れる。
rbr(今日は、何も起こないでくれ)
その願いとは裏腹に、 胸の奥の違和感は、消えなかった。
シャオロンは、病室のベッドに座っていた。
膝の上には、病院の売店で買ったメモ帳。
sha(……やりたいこと、か)
診察室で言った言葉を、もう一度思い出す。
「やりたいこと、やりたいです」
ペンを持つ手が、少しだけ震えた。
sha(別に、大したことじゃなくていい)
そう思って、深呼吸を一つ。
ペン先を紙に落とす。
――ロボロと、もう一回散歩する
――ロボロの作るご飯食べる
書いてみると、どれも小さなことばかりだった。
sha(……欲張りすぎかな)
一瞬だけ迷って、 それでも、続きを書く。
――手、繋いで寝る
ーーロボロとたくさん話す
最後の一行を書くとき、 ペン先が、紙の上で止まった。
sha(……最後)
しばらく、考えてから。
――ちゃんと、ありがとうって言う
ペンを置く。
メモ帳を閉じる。
sha(……言えるかな)
そのとき。
コン、とノックの音。
sha「どうぞ」
ドアが開いて、ロボロが入ってくる。
白衣じゃない。 私服だった。
sha「あ」
sha「来てくれたんや」
rbr「……顔、見たくなってな」
少し照れたように視線を逸らすロボロに、 シャオロンは、くすっと笑った。
sha「休みやろ?」
rbr「まぁな」
ベッドの横に腰掛ける。 いつもの距離。
sha「今日な、昼飯めっちゃ微妙やってん」
rbr「病院食やろ、期待したらあかん」
sha「せやけど、あれはないわ」
どうでもいい会話。
いつも通りのやりとり。
でも、シャオロンの指は、ずっとメモ帳を握ったままだった。
rbr「……なんやそれ」
視線に気づいて、ロボロが言う。
sha「あー……」
sha「ちょっと、ね」
rbr「宿題か?」
sha「あるわけないやろw」
一拍。
sha「……なぁ、ロボロ」
rbr「ん?」
シャオロンは、メモ帳を膝に置いたまま、顔を上げた。
sha「俺な」
sha「言わなあかんこと、あんねん」
空気が、変わる。
rbr「……急やな」
sha「ごめん」
一度、息を吸う。
sha「今日、午後な」
sha「院長先生に呼ばれてん」
ロボロの表情が、わずかに固まる。
rbr「……話、あったんか」
sha「うん」
sha「病気のこと」
ここで止められるかもしれない。
でも、シャオロンは止まらなかった。
sha「進行、早いんやって」
sha「……長くないらしい」
言葉は、静かだった。
泣いてもいない。
取り乱してもいない。
rbr「……」
ロボロが、ゆっくり立ち上がる。
rbr「待て」
rbr「……俺は、そんなん聞いてない」
sha「せやろな」
sha「俺が、言わないでほしいって頼んだし」
rbr「……なんで」
声が、低くなる。
sha「自分で、言いたかったから」
ロボロは、拳を握る。
rbr「……あかん」
rbr「そんな話、今すぐ整理する」
rbr「俺が主治医や。もう一回検査――」
sha「ロボロ」
遮る。
sha「医者の話、せんで」
rbr「何言って……」
sha「今のロボロ、医者の顔や」
sha「俺は今、先生やなくて」
sha「ロボロに、聞いてほしい」
沈黙。
rbr「……それは、無理や」
sha「え」
rbr「俺は医者や」
rbr「患者を前にして、医者やめるなんてできん」
sha「……そっか」
シャオロンは、小さく笑った。
sha「やっぱりな」
その笑顔が、 ロボロには、残酷だった。
sha「せやから」
sha「俺、決めてん」
メモ帳を、差し出す。
sha「これ、やりたいことリスト」
rbr「……」
sha「全部、ロボロとやりたいこと」
rbr「……やめろ」
rbr「そんなもん」
rbr「まるで、終わりみたいやないか」
sha「終わるんやで」
静かな一言。
sha「……だからちゃんと生きたい」
sha「やりたいことしてみたい」
ロボロの肩が、震える。
rbr「……あかん」
rbr「そんな選択、俺は認めへん」
rbr「医者として――」
sha「医者として、治せんやろ」
容赦のない言葉。
sha「それ、ロボロが一番分かってるやろ」
ロボロは、何も言えなくなる。
sha「俺の前では」
sha「普通の、ロボロで居てほしい」
rbr(……医者で居る限り、きっと俺は、この現実から逃げ続ける)
震える息。
rbr「……分かった」
声が、かすれる。
一歩、ベッドに近づく。
シャオロンの手を、強く握る。
rbr「……それでも」
rbr「失う覚悟は、まだできてない」
sha「うん」
sha「それでいいよ」
ロボロは、シャオロンの手を握ったまま、動けずにいた。
強く握っているはずなのに、指先の感覚が、どこか遠い。
rbr(……あったかい)
それが、どうしようもなく怖かった。
sha「……ロボロ?」
小さく呼ばれて、はっとする。
rbr「……ごめん」
何に対してか、自分でも分からないまま、そう言った。
しばらく、二人とも何も言わなかった。
病室の時計の秒針だけが、やけに大きく聞こえる。
rbr「……なぁ」
sha「ん?」
ロボロは、視線を落としたまま、ぽつりと言った。
rbr「俺、今日休みなのに、ずっと胸騒ぎしててん」
sha「……」
rbr「理由もないのに」
rbr「嫌な予感だけあって」
喉が、詰まる。
rbr「それでここ来たら、これや……」
自嘲気味に、笑おうとする。
でも、口角はうまく上がらなかった。
sha「……ごめんな」
rbr「なんで謝るんや」
即座に返した声が、少し強すぎて、ロボロ自身が驚いた。
rbr「謝るんは、俺やろ」
rbr「何も気づかんで」
rbr「普通に、話して」
シャオロンは、首を振る。
sha「それが、俺は嬉しかった」
sha「いつも通りが」
その言葉が、胸に刺さる。
rbr(……いつも通り)
rbr(もう、それが続かんって話やのに)
ロボロは、ぎゅっと目を閉じた。
rbr「……怖い」
低く、掠れた声。
sha「……」
rbr「失うのが」
rbr「お前が消えてしまうかもしれないって考えるだけで」
rbr「……息、できんくなる」
初めて、感情が零れた。
rbr「強いふりしてた」
rbr「大丈夫やって、自分に言い聞かせてた」
rbr「でも、もう無理や」
シャオロンは、何も言わず、ロボロの手を握り返す。
その小さな動きが、決定打だった。
rbr「……なぁ」
sha「ん?」
rbr「一つだけ、約束して」
sha「……うん」
rbr「急に、いなくならんといて」
rbr「ちゃんと、俺の前では笑ってて」
必死な声。
子どもみたいな願い。
シャオロンは、少しだけ困った顔をしてから、微笑んだ。
sha「……それは、頑張る」
rbr「……努力目標かい」
sha「まぁね」
小さく、笑い合う。
でも、その笑いは、長く続かなかった。
ロボロは、シャオロンの額に、そっと自分の額を預けた。
rbr「……お前が書いたリスト」
rbr「一個ずつ、一緒にやろな」
sha「……うん」
rbr「全部」
rbr「一個も、残さんように」
それは、誓いというより、失う未来に抗うための、必死な願いだった。
病室の外は、いつもと同じ夕暮れ。
でもロボロの世界は、もう、静かに色を失い始めていた。
コメント
4件
ガチで泣けました、しゃおぉ…生きてロボロと幸せになってくれよぉなんでこんなにもかわちいしゃおが治療法のない病気になるかがわからん。神はしゃおの可愛さに嫉妬したんか
苦しかった…心が痛ぇ、死にそう 奇跡でも何でもいいから起これよぉ!!!rbrはshaいないとダメなんだから、死なないでください。まじで