テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「あなたたち……3人全員で、カイのことをないがしろに……」
シュウだけではなかったことを知り、信じられないような思いで、揃う顔を見回した。
「……カイは、僕らのバンドぬ必要だからね……。あの子がヴォーカルになったことで、キラも売れるようになったんだしさ……」
ジンがかったるそうにも話すと、
「……そう、あいつがヴォーカルになって、バンドは売れたが……、
……だが俺は、あいつをキラのヴォーカルとしては、絶対に認めない……」
シュウがそう後を続け、私をまた鋭い眼差しで睨みつけてきた。
「……そんなの、カイの方がヴォーカルにふさわしいって、ただ受け入れたくないだけじゃない……」
漏らした本音に、
「黙れよ…」
と、シュウがナイフの刃先を向ける。
「キラは、俺たちの……俺のバンドだ。あいつのもんじゃない……」
「……カイは、誰のバンドだとかなんて、そんなこと少しも気にしてなんてないから……」
シュウの視線をかわして、
「バカみたい……あなた1人でいきがって……!」
そう吐き捨てると、頬を思いっきり張られた。
じん…と腫れ上がる頬に、冷えたナイフの刃がひたりと当たる。
「……あんたが泣き落としでもすれば、あいつはすぐに飛んでくんだろ…?」
ナイフでひたひたと私の頬を叩きながら、
「見ものだよな……カイの奴が、どんな顔して、ここに来るのか……」
シュウは「くくっ…」と、声を押し殺して笑った。
「……嫌な奴……」
顔をそむけて呟くと、
「……今は、なんとでも言えよ。あいつが来たら、そんなことも言ってられなくなるからな……」
シュウは覚悟をしておけと言うように、ナイフをこれ見よがしに手の中で弄んだ。