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チャイムが鳴ると、教室内が一気にざわつき、皆が荷物をまとめ始める。その中で、かなはすぐに立ち上がり、バッグを肩にかけると、さっと教室を出ようとする。
「かな、ちょっと待って。」
はるがすぐに立ち上がり、かなの前に歩み寄る。かなは一瞬足を止め、驚いたように振り返る。
「え? 何?」
「そのまま帰るつもり? まだ少し話したいことがあるんだけど。」
かなは少し考えてから、苦笑いを浮かべる。
「話したいことって、何?」
「うーん…まあ、別に大したことじゃないんだけど。」
「だったら、いいよ。」
かなは軽く肩をすくめて、また歩き出すが、はるはすかさずその肩を軽く掴んだ。
「ちょっと待ってよ、かな。」
「え?」
はるは目を合わせると、少し照れくさそうに笑った。
「…なんか、急に帰るのって、寂しいなって思って。」
かなはその言葉に、思わず息を呑む。普段冷静で、感情をあまり表に出さないはるが、こんな風に少し照れながら言うなんて意外だったからだ。
「何それ、照れるじゃん。」
「だから、帰らないで。」
「…え?」
はるは、また少し照れくさい笑みを浮かべてから、言葉を続ける。
「今日は一緒に帰ろうよ。ちょっとだけでも、二人で。」
「まあ…仕方ないな。」
かなは少し困った顔をして、それでもどこか嬉しそうに頷く。
「ありがとう、かな。」
「うるさいな。別に」
その後、二人は並んで教室を出て、廊下を歩きながら少し会話を交わす。はるの優しさが、かなの心に少しずつ温かさを与えているようだった。