テラーノベル
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「おかえり」
「ただいま」
もうすっかり慣れきった挨拶を交わすけれど、今日はお互いの顔を見ただけで胸が高鳴る。
「打ち上げ、もっと遅くなるかと思ってた」
「今日の事話したら、早く帰れって言ってくれて」
しかもケーキ買って帰ってやれ!ってお金まで出してくれて、と太っ腹な共演者からのお土産を出す目黒と、それを見るなり目が輝く阿部。
「すごい」
「今日が終わる前に、お祝いしよう?」
テーブルに箱を置いてケーキを取り出す。
普遍的なホールのショートケーキだけど、阿部からは絶賛が止まらない。
「綺麗!可愛い!美味しそう!すごい!」
「阿部ちゃん、子どもみたい」
「だって嬉しくて」
顔が緩んでしまっている可愛い恋人の頭を撫でてからキッチンにナイフを取りに行き、毎年恒例のケーキカット。
2人で一緒にナイフを持ってケーキを切る。
「真ん中バースデー、おめでとう」
「おめでとう」
それからフォークで直にケーキを食べる。
最初の一口は、食べさせ合い。いつも目黒がわざとクリームを口の端や頬につける。
「もう、いつになったら綺麗に食べさせてくれるの?」
「その日は来ません」
「えーっ」
「だって、こうしたいから」
言うが早いか、クリームのついた所に唇を寄せて舐め取る。
毎年やっているのに、毎年照れて言葉を失ってしまう阿部が可愛い。
「阿部ちゃんもして?」
「やだ」
「じゃあ、普通にキスしよう」
ダイニングテーブルに押し付けるようにして逃げ場をなくし、唇を重ね、舌で割る。
そのまま身体を撫で、服に手を入れながらキスを深くしていく。
「はぁ…ん」
可愛い阿部は、もう目黒とこれからする行為で頭がいっぱいになったかのようにキスに夢中だ。
置いていたフォークに手が当たって、ちゃりん、と音を立てて床に落ちた。
「これからも愛してるよ」
目黒の愛おしげな低い声が、その場を甘く支配していた。
終
コメント
11件
ケーキよりも甘いね( ˶ˆ꒳ˆ˵ )ニマニマ
フライングしちゃった!笑
あーあーあー見てらんない🫣🫣🫣w