きみが消えた後のベッドの匂いを嗅ぐ。……ああ、莉子。きみは最高だ……きみのなかに入ったとき、ぼくは味わったことのない感情に支配される。
きみの苦しみを「なかったこと」には出来ないけれど。少しでも……いっときでもあの苦しみから解放される……その手段になりたいと思う。
きみのいなくなった部屋は寂しい。本当はもっともっと……愛し合いたい。きみに触れたい。頭がおかしくなりそうなくらいにきみを愛している。
月曜日は自由……あんな約束をしてしまったことを早くも後悔している。明日みんなに打ち明けようと持ちかけたのはきみのためというより、自分のためだ。
きみに好意を持つ連中がわんさかいることは知っている。牽制。嫉妬……さまざまな感情がぼくのなかで爆発する。
「莉子。ああ……愛している」ベッドに残されたきみの匂いを嗅ぐ自分は狂っている。「もっと……触れたい。抱きたい……きみに触れたい」
そうして自身を剥き出しにし、自己を導いてみても、きみのなかに入ったときほどの快楽は得られないのだ。きみの声……表情……叫び……気配……感触。すべてを引っくるめてきみを愛している。
こんなぼくを知ったらきみはどう思うだろう。気持ち悪い? ……きみに嫌われたら生きていけないとすら思うのだ。もし、きみに捨てられたらと思うだけでぞっとする。
だから……こんな自分は捨てなくては。捨てなくてはならないと思うのに、ひとりのときは孤独な自分を持て余す。
分かっている。莉子……。きみは強い女の子だ。きっといまなら、きみはひとりで生きていける。自分という人間の価値を知ったきみなら。ところがおれは……。
きみとこころを通わせて幸せである一方、おれは孤独で未熟な自分を持て余していた。こんなおれの本性が露出するまで、間もなくと迫っていた。
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