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きみの去った背中を見送る。……そうか。きみも「そう」だったのか。金の威力に戦き、負ける烏合の衆……それが、きみだったのか。
いや、むしろ、「拒否」した辺り、金の亡者になりかけたのを自ら阻んだかたちか。ぼくが彼女の理解者であるなら、あっぱれと言って拍手を送るところだ。
酷いことを言った。きみはもう……魅力的に生まれ変わったきみはもう、おれのことなんかすぐに忘れて、他にいい男を見つけるだろう。二岡や……広河。他にいい男なんかごまんといる。
歩き出すとぽつり、となにかが落ちた。……雨。
「なわけねえだろ」
毒づくおれは、ひとり、孤独な道を歩いた。彼女とはもう交わることのない、隔たれた道を。
それでもおれはこのときに決意を固めていた。明日、きみを誘い、思い出作りをしようと。三年余りに及ぶ片思いの終幕があんなんじゃ、ちょっと浮かばれない。
泣きながら……泣き続けながら歩く帰り道。きみのことをただ想った。想い続けた。
*