rt side
何か言いながら部屋の扉を開けて出ていく部長
俺は部長が何を言ったかすら覚えていない
だけど殴られたのは確かで
こんなの慣れていたはずなのに…
今日は、今日だけは、
心の温かさを感じたくなってしまって
自分の周りを必死に探したけど
俺が求めていた温かさはどこにも無く
ただ部長のモノや嫌な空気が充満していた
『…おれって、ほんと馬鹿だよなぁ、』
すっと目を瞑ると頭の中で部長が中心となり
俺を罵倒する夢が見えた
目を瞑っても結局俺に逃げ場はなくて
気が付くと、俺の首は部長の手の中
あぁ、むしろ楽かな、って
俺はそれに身を委ねた
「れ、レトさん!!!」
『…きよ、くん』
声と共に俺に近寄って揺さぶるキヨくん
キヨくんが俺を助けてくれたんだ
助ける…?
あれ、助けるって何?
おれ、ここまで独りだったじゃん
自分しか信用してこなかったじゃん
【他人を信じていいの?】
ぐるぐると回る思考
頭は正常に回っている筈がなくて
ぱっと目を開けるとキヨくんの顔
それが、殴る体制をとるさっきの部長と
重ねてしまって
『…や、だっ』
『…ヒュッ、ごめんなさ、い、』
『殴らないで…』
キヨくんの手を払ってずるずると後ろに下がるけど
背後にぶつかったのは黒い壁で
俺は頭を抱えて自分を守った
ふわりと身体を寄せられて
気付くと俺はキヨくんの腕の中にいた
「安心して、レトさん」
「俺は、レトさんの悲しむことなんてしないから」
「ね、?」
そう言って優しく俺の頭を撫でる
頭を抱えていた手は次第とキヨくんの
背中に回っていて
温かい身体をぎゅっと抱き締めて
泣きじゃくった
『ごめん、ごめんっ、きよく、』
『きよくんはっ、味方、なのに』
『おれ、つきはなしたっ、』
『ごめん、ごめんなさいっ、』
「…いいんだよ気にしなくて」
「今は、気が済むまで泣いていいんだから」
「大丈夫、俺がついてるから」
_____________________
ky side
疲れ果ててしまったレトさんは
少し時間が立つと俺の腕の中で
寝息を立てていた
とりあえずレトさん連れて
早く家に帰る事を目標にして
レトさんが怒られるのは避けたいから
ささっと部屋を綺麗にして
レトさんを抱えてその場を後にした
結局帰りはタクシーを使った
あの部屋は暗かったし、俺もパニクってたから気づかなかったけど
腕や脚には痛々しい程のアザがあって
何故、こんなになるまで気付かなかったのか。
悔しさと、“部長”に対する怒りが込み上げる
詳しい事は、また後で聞こう
無理には言わせないこと、これは絶対守ろう
でも、少しでも俺が力になれたらいいよな
…どうすればいいんだろ
「すみません、お客さーん?」
「着きましたよ」
「はっ、!す、すみません」
相当お疲れですね、と運転手さんに笑われる
すみません、wと言いながらタクシー代を払い
ありがとうございました、とお礼を言って
家の扉へと向かった
…
暫く経つとベッドからレトさんが起き上がった
「…おはよう、気分は?」
『平気。』
『…キヨくん、』
俺の名前を呼ぶとベッドから降りて
体育座りで下を向きながら
『…さっきは、ごめん。と、ありがと。』
と泣きそうに言うもんだから
きゅっ、と握り締めているレトさんの手を
優しく握る
「…さっきの事、話しにくい事だったら
無理に話さなくていいよ」
「だけどね、俺、このままにはできないの」
「レトさんが悲しい思いするのは見てられないの」
「レトさんが悲しいと、俺も悲しいの」
レトさんは鼻を啜り目を赤くしながら
ゆっくりと顔をあげる
「だからね?言い方難しいんだけど…」
「…悲しくなる前に、俺が“助けになる”事は、できないかな、?」
「ほら、よくいるじゃん?映画で危険な時に助けてくれるスーパーマン」
「俺は、大切な人を守れるスーパーマンになりたい」
「だから、レトさんを、守らせてくれないかな」
気付けば俺も泣いていて
最後の言葉がちゃんとレトさんに届いているか心配になったけど
『キヨくん、俺を…』
『助けて、っ!』
ちゃんと届いていた様だった
_____________________
rt side
今までの事を話すってなった時
言おうと思ってはいるんだけど、声が出なくて
だけどキヨくんは俺の背中をさすって
「ゆっくりでいいからね、大丈夫」
と言ってくれた
途切れながらも話は伝わったようで
全部伝えた頃にはキヨくんは悔しそうに
顔を顰めて、涙目になりながら俺に抱きついた
「ほんと…もう、
よく頑張ったな」
キヨくんの温もりが誰よりも暖かくて
俺もキヨくんに腕を回した
…
「で、どうする、?」
「これから。」
キヨくんの真剣な目に俺を背筋が伸びる
『…会社は、辞めれないかな』
『生活もあるし、ね』
「そう、だよね」
キヨくんは、うーん、と顎に手を当てて悩んでいる
「レトさん」
顔を上げるとニヤッとしたキヨくん
「ちょっと、行動起こしてみてもいい?」
_____________________
長らく更新していなかったのは、
ごめんなさい!!
今後も亀更新となってしまうので
そのところ把握でお願いしたいです😿
次かその次で連載終了の予定です
たぶん。
オチも全く考えていないのは内緒ですが
どうか最後まで頑張って書くと思うので
よろしくお願いします🖐🏻
じゃあの。
追記
レトさんのラバーマスコット販売日は
合宿でした泣こうかな
コメント
4件
久しぶりの投稿…ずっと待ってた… あぁ…ぁ…(死) 俺も買える気がしないよ…合宿頑張って…!!
いやああああああああ!!! レトさん弱り+キヨ助けるは最高すぎる!!!!! ありがとおおおおおおおお