テラーノベル
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レオンとの戦いから
一ヶ月が経過した
半径50mを越えた代償────
右手の甲に刻まれた『3』の数字
それは、ロス・タンカーの異能
“瞬間移動” が使える残りの回数であった
(気に入らないな……全く……)
一命を取り留めたロスは右手の甲を見つめ
刻まれた数字を強く掻きむしる
『………まぁ……悪くなかったかな』
サウサントの空は
雲ひとつない晴天だった
穏やかな春風が
満開な桜の木々を揺らす
『ハンス……』
『ラスク……』
『そして…国家異能師よ』
『………精々、上手くやれ』
第17話【亀裂】
降り注ぐ大雨
サウサントの夜は冷え切っていた
何を思い────
何を知り────
何をその異能で殺す
『………………』
黒い傘を差して街を歩くレオン・ピーター
一ヶ月弱の休息の末に傷は完治
しかし、その足取りはどこか歪だった
(国家異能師……国家…異能師……)
傘を握った右手が小刻みに震え
腕に無数の血管が走る
(ヤツらの過ちを……ヤツらの…大罪を……この蛇顎旅団の手で……!)
ビキビキビキッ………
『コーヒーでも……一杯如何かな』
背後から聞こえた
揺るぎなく落ち着いたその声は
壊れかけだったレオンの理性を揺さぶる
『…誰……だ………』
声がした方へゆっくりと振り向く
そこには────
『誰とは失礼な…一度殺し合った仲だろう』
パラソル下のテラス席で
コーヒーを嗜むロス・タンカーが座っていた
『ッ…貴様……!!なぜ…ここに……』
『落ち着け…互いに武器は無いだろう』
ロスは隣の席を顎で差し
「いいから座れ」とレオンに促す
『…武器……?お前は武器使いじゃなかったハズだ……瞬間移動を……』
そう言いながらレオンは椅子を引き
レオンの目の前の席に腰掛ける
『ああ…だが、その瞬間移動にも……どうやら限界が来たらしい』
『限界………?』
ロスは襟口を捲って
右手の甲をレオンに見せる
そこには、
消える事のない『3』の数字
『3……?なんの数字なんだ?コレは』
『異能が…瞬間移動が使える残りの回数らしい……参ったもんだ』
それを聞いたレオンはフッと笑い
雨に濡れた傘の先端をロスに突き付ける
『ほぉう……目の前の敵に自らの弱味を見せてどうする?三流か…貴様は……』
『生憎、もう敵じゃないらしい……すまんが…オレは国家異能師を辞めたんでな』
『………な…なんの冗談だ』
ロスは何食わぬ顔で煙草を出し
咥えてライターで火をつける
シュボッ────………
『冗談じゃない……本気だ』
パラソルに強く打ち付けられる雨の音が響く
暗く冷えた夜を照らす煙草の火
レオンは無言のまま傘を下ろし
ロスは煙を吐いて口を開く
『なぁ………』
『お前にひとつ────』
『聞きたいことがあるんだが』
コメント
1件
うわ、第17話「亀裂」、読み終わりました…! 冒頭のロス、右手の甲に刻まれた「3」の数字がもう重すぎますね。瞬間移動の残り回数って、命のリミットみたいでゾッとしました。それでも「悪くなかったかな」と空を見上げるロス、いいキャラになってきたなあ。そしてレオンの復讐心に歪む姿も痛々しい…そこに現れたロスが「もう敵じゃない」って、国家異能師を辞めたって!? この二人の会話、雨の冷たさと煙草の火が象徴的で、めちゃくちゃ心掴まれました。続きが気になる…!
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