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#幽霊
凛道桜嵐 新
193
#日常
がくじゅつてき・あかげ
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わーい
41
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術式で何重にも封印され、箱に入れられた私に、朝霧緑が告げた。
「あなたは多分本白神社に封印される。何をしようと思っても、金谷千歳がそばにいるから」
「そう……」
完全に負けた。集めた霊力もほとんど失くした。もう、手も足も出ない。
箱の蓋が閉められ、私は多分運ばれていった。
それからしばらくして。「ハルちゃん」と声が聞こえた。
高千穗さんの声だった。
暗かった箱の中に光が指し、すぐに蓋が開けられて、そこには高千穗さんがいた。
「高千穂さん!」
私は思わず箱から飛び出して、高千穗さんに抱きついた。あれ、多少は動けるんだ。
「高千穂さん、高千穂さん……」
ぼろぼろ涙が出る。高千穂さんは、私のことをそっと抱きしめた。
「ごめんね。ハルちゃんがそんなに僕を特別に思ってくれてるなんて思わなかったんだ」
「特別に決まっとるやん!だから霊になってすぐそばに行ったのに!」
「そうだったの……」
私がある程度泣き止んでから、高千穂さんは言った。
「あのね、ハルちゃんの見張りに、僕ここに住めって言われてるんだ」
「えっ……」
「千歳さんの口添えでさ。ね、一緒に住んでもいい?」
「ええの!?」
「うん。今日から社務所泊まらせてもらって、これから、この箱が入った祠を取り囲む形で家作らせてもらおうかなって思うんだけど、いい?」
「ええ、すっごくええ……」
私は何度もうなずいた。高千穂さんは笑った。
「ひとまず、ここから通えるところで雇ってくれる病院探すよ。とよか病院クビになっちゃったから」
「ええ!?」
「開業もありかとは思ってるんだけど、さすがにそこまではお金ないから」
「え、クビになったん、うちを匿っとったから?」
「あっはっは」
高千穂さんは笑って、私の背中をぽんぽんした。
「笑ってごまかさんで!ごめん、本当にごめんなさい……」
「いいよ。これでいいんだよ。ねえ、これからいっぱい話そう。……もっと、お互いの個人的な気持ちとか、話すべきだった」
「うん……」
そうだ、お互い、研究とか論文の話しをすれば、相手が喜ぶと思ってた。
これから、いっぱい話そう。高千穂さんと、いろんなことをいっぱい話そう。
全部なくなったと思ってた。だけど、いちばん大事な人が、そばに来てくれた。
コメント
1件
664話、お疲れさまです。番外編で和束さんと高千穂先生の、ぎこちなかった距離がようやく縮まった感じ、じんわりきましたね。「クビになった」とさらっと言う高千穂先生の覚悟の重みと、それでも「これでいいんだよ」と笑う優しさに泣きそうになりました。お互い研究や論文の話ばかりしてたっていう告白も、二人らしくてほっこり。全部失っても、いちばん大事な人がそばに来てくれた——この一文に尽きるエピソードでした。