ポツポツと、雨が降り始めた。
(僕、傘持ってないのに……!どうしよ……雨がやむのを待つしかないか)
僕は学校の中へ戻ろうとした。
その時だ。
[雨は、お好き?]
突然、後ろから声がした。僕は後ろを振り返る。
そこには、雨に美しく打たれている美少女がいた。
あたる雨も気にせず、毅然と前に立ち尽くしている。
[底にいたら、風邪引いちゃうよ]
[大丈夫!私、絶対に風邪引かないので!]
[私、失敗しないのでみたいに言うのやめてくれます!?]
[君もこっちおいでよ]
[会話の流れがおかしい気がするんですけど!?]
[雨の音って落ち着くわよね]
[僕を無視しないでくれませんか!?]
[私が、雨の世界に君を連れてってあげる]
少女はそういって、僕を引っ張りだした。
雨に打たれている、少女と少年。
これでは完全にバカップルではないか。
青春に溺れているような気分に浸りながら、僕は彼女にされるがままにクルクルと回転した。
水溜まりがバシャバシャ音をたてる。
ずぶ濡れになって、はしゃいで、笑いあって。
いかにも青春をしているみたいだ。
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