その日の晩、夢を見た。
私だ。
中学生くらいの私だろうか。
私は、またあの松の木に登っていて____
泣いていた。
『どうして……どうしてみんな分かってくれないの』
どうして____?
『私は視えるのに……こんなに好きなのにどうして信じてもらえないの』
視える……?____
一体何が……
「人の子よ、泣くでない。我らは妖怪、普通は人間には見えんもんじゃ」
『私には視えるんだもん…』
視えるからこそ……
そう言って、もたれ掛かる先には黒い髪で綺麗な顔立ちをした男性____
誰……?
覚えてないけれど、どこか懐かしい____
優しく私の頭を撫でてくれる____
ああ、懐かしい____
「そなたも妖怪の我を好く等……物好きだな」
『そういう市松様だって!』
そう言って2人、笑う____
「けれど……、我はお前が傷つくのをもう見たくない」
『え?……』
「我は木の養分を糧とする弱き妖怪ぞ。何百年と生きた。寿命も残り後わずかなのだ
……そなたと一緒に長く居たいが……」
『…………』
嫌だ、嫌だ____
「人間とは醜く自分が見えている都合のいい物ばかり信じようとする生き物なのだ。
簡単に人を傷つけ、罵り、蔑む。
それはそなたも存分に理解したであろう?」
『そう、だけど……』
嫌だ、それ以上は____
「我ら事は……、恋仲ではなく今後は親しい友人として努めんか?」
『嫌だ!そんなの嫌ッ……私は市松様が好きなのに……
みんな……分かってくれなくて辛いけど……
それでもいい!』
そう、私は言うと
「我も傷つくのはもう見たくないのだ……」
市松様は
そう言って優しく、切なさもどこか感じる顔で微笑み____
「馬鹿な人の子よ……」
私をギュッと抱き締めた____
私も、手を回し
『市松様……市松様……ッすき……』
「ああ……そなたの気持ちは充分知っているとも……」
2人、見つめ合い
キスをした_______
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