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注意⚠️**「優しい嘘と、君の声」**を読んでから来てね?約束だよ?
登場人物(現世)
▸ 綾月(りょうづき)
=転生前の「乱歩」
廃校寸前の旧図書館でアルバイトをしている大学生。
本にしか興味がないはずだったのに、
ある日、ボロボロの文献室にいた少年と出会い、
“言いようのない既視感”に襲われる。
▸ 白水 澪(しらみず れい)
=転生前の「ポオ」
失語症を抱える転校生。
図書館の古文書だけをじっと読む日々。
人と話せない代わりに、“誰かの声”が心の中でずっと響いている。
――綾月視点
その日、僕は書庫で眠っていた。
昼休みになると、いつも誰も来ない奥の部屋で、古い本の匂いに埋もれるのが好きだった。
だけどその日は、違った。
扉の隙間から誰かの影が差し込んで、
そっとページをめくる音がした。
目を開けると、
見知らぬ少年が、古いソファに座っていた。
白い指で、一冊の詩集を開いている。
何も話さない。
ただ、静かに目を動かしていた。
それだけなのに、
胸が痛くなった。
「……どうして、知ってる気がするんだろう。」
「……名前、聞いてもいい?」
そう尋ねたら、彼は顔を上げた。
口は動かなかったけど、
彼はそっとノートを開いて、そこに書いた。
『白水 澪』
その字を見た瞬間――
背中に冷たい風が走った。
その名前も、
その筆跡も、
見たことなんてないのに、涙が出そうになった。
綾月は気づいていない。
でも、彼の中には前世(?)で愛した人の“声”の記憶が残っている。
そして澪もまた、声をなくした代わりに、綾月の夢を見続けている。
声がなくても、
名前が変わっても、
姿が違っても。
ふたりはまた、
“たしかに知っている人”を、見つけてしまった。
ハッピーエンドなのでよろしく