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泣く準備ok?
1話から読んだ?
――白水 澪(ポオ転生)視点
綾月と出会ってから、
夢が変わった。
声のない、でも暖かい夢。
誰かが優しく笑って、僕の名前を呼ぶ。
その声は、現実では聞いたことがない。
だけど、懐かしくて、
何度も、何度も、目が覚めると泣いている。
学校では誰とも話さず、
図書館で詩集だけを読む毎日。
けれど、綾月さんだけは、僕に「おかえり」って言ってくれる。
そんなふうに話しかけられると、
なぜか、胸が苦しくなる。
ノートに書けない“気持ち”が、
言葉にならずに心に溜まっていく。
その日は、図書館の天井から、細かい埃が舞っていた。
いつも通り綾月さんと、古い本の整理をしていた。
部屋の奥にある、誰も開かない金属製の引き出しを開けたときだった。
綾月さんが笑いながら言う。
「これ、完全に化石。……あ、でも何か入ってる。」
引き出しの底に、ひとつだけ。
茶色く変色したページが、くしゃっと丸まっていた。
綾月さんがそれを開くと、まるで風が吹いたみたいに、空気が変わった。
紙には、こう書かれていた。
『君が泣く時は、僕が笑わせるって約束したろ?』
その文字を見た瞬間、
胸の奥が強く脈打った。
だれ……
これ……知ってる。
いや、知ってるじゃない。これは“僕”の言葉だ。
思い出せないはずの過去が、
張り詰めていたガラスみたいに、一気にひび割れて広がった。
古びたベンチ。
たい焼きの甘い匂い。
指先に残るやさしいぬくもり。
笑った顔。
泣きそうな目。
そして、最後に聞いた声。
「ポオ君、またね。」
――ポオ、くん。
そう呼ばれたのは、いったい、いつだった?
意識がふらついて、本の山に手をかけた。
頭がぐらぐらする。
心臓の音がうるさい。
綾月さんが慌てて近寄ってきた。
でも、その顔を見た瞬間、
僕は、もう限界だった。
「……っあ……っ……」
喉が震えて、
何年も出せなかった“音”が、こぼれた。
それは、ただの短い声。
だけど、たったそれだけの音に、全部の記憶が詰まっていた。
綾月さんが、ゆっくり僕に手を伸ばす。
優しく、でも迷いのない手。
僕の肩を抱くように、そっと支えてくれた。
「澪……今、声……」
僕は、喉を押さえながら、涙をこらえるように目を閉じた。
次に声が出なかったらどうしよう。
でも、出さなきゃいけない気がした。
出さなきゃ、“大事なもの”が、またどこかへ消えてしまう気がした。
だから、
「……ま……ってた……」
その二文字すら、かすれた声だった。
けれど――
綾月さんの瞳が、震えていた。
そして小さく、泣きそうな声で笑った。
「うん……僕も、ずっと待ってた。」
まるで、遠い星から声が戻ってきたみたいだった。
喉が、思い出していく。
どうやって、君の名前を呼べばよかったか。
どうやって、「好き」と言えばよかったか。
それは、たったひとつの音から始まった。
でもその日が、**僕にとって“生まれ直した日”**だった。
ワオ……
書いてて泣く(前に書いてたやつのコピペ貼り付けただけ)
続きは少々お待ちを